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将来、介護や福祉に従事しようと考えている人、介護や福祉に関心がある人に読んで欲しいもの。しかし、得にも損にもならないかも知れない。

作者: 聖魔光闇

福祉に関心のある方以外が読んでも、面白味も何も無いですよ。



 今後、老人福祉や障がい福祉に携わる人々へ、教科書や学校では教えてくれない話をレクチャーしよう。

 まあ、大概の人達が将来、老化に伴い高齢者になるであろうし、何かの事故に伴い障がい者になる事もあるであろうから、全ての人に無関係であるとは言い難い。無関心というのであれば、話は別なのだが。

 と、話したところで話の主旨は変わるのだが、皆さんは介護福祉士や介護職員初任者研修修了者(旧ヘルパー2級)という職種の事をどう思っているだろうか。介護のプロフェッショナル、福祉のプロフェッショナル等と考えているのならば、大きな勘違いである。

 特に施設内で介護を行う介護員達は、介護のプロフェッショナルでもなければ、福祉のプロフェッショナルでもない。ただの現実の負け犬であり、現実という壁を壊そうとも乗り越えようともしない愚者そのものだ。

 介護福祉士や社会福祉士を目指す者ならば、誰しも学ぶADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)の向上、それらを全て放棄しているのだ。

 ADLとはActivities of Daily Livingの略称であり、食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など生活を営む上で不可欠な基本的行動を指す。日常生活動作は、単に能力を回復するだけでなく装具や施設を対応させることでも向上させることができるのだが、施設そのものがADLを加齢(老化)に伴い向上不可と定義していたり、リハビリテーション・装具使用をしても健常者と同等の能力を確保出来ないと定義している。本来ならば、リハビリテーション・装具使用に伴い健常者同等の能力を目指すべきものなのであるが、これは、理想論とされ夢想者の行う行為であるとされている。しかしながら世界規模で見れば、スーパーマーケット等に設置されたスロープや、駅等に設置されたエレベーター。各所に点在する車椅子のマークの付いたトイレ。これらもADL向上を前提としたユニバーサルデザインの一環なのであるが……。

 もうひとつがQOL(Quality of lifeの略称)なのだが、これは、一人一人の人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指す。つまり人がどれだけ人間らしい生活やその人らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。QOLの幸福とは、身心の健康、良好な人間関係、やりがいのある仕事、快適な住環境、十分な教育、レクリエーション活動、レジャーなど様々な観点から成り立つのだが、これもまた、ADL同様、又はADLの向上を望めないがために、向上不可能なものとされている。


 それではここで、例題を挙げてみるとしよう。

『S・Hさん72歳。要介護度3。自宅では、杖歩行が可能であったが、多少の歩行不安定がみられ、外出時にはガイドヘルパー及び、ホームヘルパーの付き添いを必要とし、介助歩行を行っていたが、1ヶ月前に転倒し、大腿骨頚部骨折になり、当月、当施設に入所の運びとなった』

 もしも、このようなケースがあった場合、ADL及びQOLの向上を考えるならば、施設内においても、付き添い介助歩行から、歩行器を使用した歩行を試み、もし、歩行精度が安定してくるのであれば、4点杖→通常杖での歩行確保に尽力するべきであるが、現在の施設では、再転倒の可能性を考慮し、車椅子対応の処置が施される。

 では、何故、車椅子対応が問題であるのかを述べると、【S・Hさんは元々不安定ながらも歩行が可能であった】という観点を無視し、再転倒防止の為だけに、下肢筋力の低下を促す車椅子対応にしてしまい、もしS・Hさんが、車椅子から立ち上がろうとすれば、施設職員は揃って「倒れたら大変なので座りましょう」と促す筈なのだ。これでは、S・Hさんの下肢筋力は低下の一途を辿り、最終的には介助歩行どころか立位すらも出来なくなってしまうのだ。では、職員が口を揃えて言う【大変】とは何なのかなのだが、確かに再転倒に伴う再骨折の危険性も考えられるが、それよりも【立ち上がりの際に、見守り不十分からの転倒に繋がる施設責任の大変】が念頭に挙げられる。

 もし、このような質問を施設職員にすれば、上記のような返答は得られない。それは何故か? 一応でも良いので、施設職員はADL・QOLの向上に尽力しなければならないからだ。

 しかしながら、現実とは過酷なもので、施設職員は先にも論じた通り、ADL・QOLの向上を目指してはいない。ADL・QOLの向上を目指すという観点は、監査用のプログラムでしかないのだ。


 話は変わって、介護保険制度の話をしよう。

 私は過去に2度、介護支援専門員ケアマネジャーの試験に落ちている。そう言われれば、そんな奴の話を聞いても、ろくに役にも立たないと思われるであろうが、まあ、役にも立たない話だと思って聞いてくれれば、私も随分気が楽である。

 介護保険制度というのは、1997年の国会で制定され、2000年4月1日から施行された日本の社会保険制度の事である。

 介護保険制度と聞けば、介護を受ける為に必要不可欠な制度という認識が強いと思われるが、私はそうではない。過去に遡ると、措置制度という介護制度が存在した。この措置制度の頃の介護従事者の事を、準公務員と呼ぶ者もあり、公務員の字の如く、国からの支援によって施設が成り立っていた。

 それが介護保険制度に変わる事でどうなったのかというと、国からの支援金が大幅に減少し、非営利企業であった措置制度から、営利企業である介護保険制度に移り変わったのである。

 この制度の移り変わりの経緯に、国はこんな事は言っていないが、【高齢者の切り捨て】である。皆さんもご存知の通り、年金制度、年金額の減少、国債の増加もあり、国が高齢者に対して、そして障がい者に(障がい者自立支援法に基づく)対して、支援金を支払う事が困難になった為だと私は考えている。

 また、この介護保険制度には少しばかりの欠陥があり、昨今、世間で問題視される認知症については、介護度の判定にあまり関与しないのである。

 前述したADLを前提とした介護度判定を行い、それに主治医の意見書を伴って介護度が認定されるのであるが、ADLの高い認知症高齢者は、介護度が極端に低いという現状を生んでいる。

 では介護度とは何か。という事になるであろうが、人間が生活するに当たって、排泄・食事・入浴・移動・更衣・会話等を総合的に判定し、一人の人間(高齢者)を7段階(要支援1・要支援2・要介護1・要介護2・要介護3・要介護4・要介護5)の数的基準に置き換えたものである。

 この要介護度が5に近くなるほど、重症介護者とされ、要支援1や2においては、介護保険制度を活用することも出来ずに、介護予防を行わなければならないとしている。しかも、施設入所では、要介護者の要介護度が平均3.8〜4.2以上はないと収益が得られないとされ、要介護度1や2の高齢者は入所困難な状態となっている。

 では要介護度1や2の高齢者はどうやって生活しているのかというと、ホームヘルプサービスを活用したり、デイサービスを活用したりしながら、施設入所の時を待っているという現状にある。(要介護度3以上の、後から並んだ高齢者に順番を抜かされているとも知らされずに)


 と、ここまで話したところで、どうやら私の頭が限界に達してしまったようなので、この場はお開きにさせていただきたいと思います。





質疑応答は受け付けます。


私のわかる範疇での回答となり、また、私個人の私観も入ると思いますが、それでも良ければ、感想にて質問してください。


少しばかり、考える時間が必要になる場合は、返答が遅れる場合がありますが……。





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― 新着の感想 ―
[良い点] パチパチパチパチ 特養では、リハビリを必要としていないとは言え、生活動作の維持はしましょうよって感じ。自分がそんな対応されたらどうなの?と、想像力に欠けた方々が介護職に多いように思います。…
[良い点] 理想は分かる…悲しいかな、人手が足りないんですよ。介護二十年選手にしてみりゃ昔より遥かにマシな状況かと。一人ひとりに手厚い介護が理想的ですよ
[良い点] 現実に起きている問題に、従事している側からの見解として話を書こうと思われた事は、素晴らしいと思います。 [気になる点] 住む場所により対応は様々ですが、症例の例が(実際あった事なのでしょう…
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