詩小説へのはるかな道 第99話 凪と波の物語
原詩: 彼女は凪
彼女は凪
嵐の名残をそっと抱きしめ
波が壊れないように
静かに見守っています
風が止まり
空の色がゆっくりと戻るころ
彼女のまなざしは
その色を映してやわらかくなります
彼は波 彼女は凪
打ち寄せるものと 抱きとめるものが
そっと寄り添うとき
世界は静けさを取り戻します
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詩小説: 凪と波の物語
その海辺の町には、凪子という凪を呼ぶ女がいました。
彼女が浜辺に立つだけで、荒れ狂う波はふっと息をひそめ、風は肩をすくめてどこかへ退きます。
町の人々は「ありがたいねえ」と言いながらも、どこかで少し距離を置いていました。
ある日、旅の青年が町にやってきました。
彼は波の研究者で、海の動きを追いかけて世界中を巡っていました。
「凪を呼ぶ人がいると聞いてね。ぜひ会ってみたい」
そう言って浜辺に向かった青年は、そこで静かに海を見つめる凪子を見つけました。
「あなたが、凪を……?」
問いかける青年に、凪子は首をかしげました。
「私、何もしていませんよ。ただ、海が落ち着くのを待っているだけです」
青年は笑いました。
「それがすごいんだ。僕が来ると、いつも波が騒ぎ出すのに」
その瞬間、海がざわりと揺れました。
さっきまで穏やかだった波が、まるで歓迎するように寄せては返し白い飛沫を上げています。
「ほら、まただ……」
青年が肩を落とすと、凪子はくすりと笑いました。
「きっと、海はあなたが好きなんですよ。だからはしゃいでいるんです」
青年は耳まで赤くしました。
「じゃあ、あなたは……どうして海は静かになるんだろう」
凪子は少し考えてから答えました。
「たぶん、海は私に興味がないんです。だから落ち着いているだけ」
青年は少し考えると言いました。
「そんなことない。あなたが見守るから、海は安心してるんだ」
その言葉に、凪子は照れたように海へ視線を戻しました。
すると、さっきまで騒いでいた波が、急にぴたりと静まりました。
青年は目を丸くしました。
「えっ、なんで……?」
凪子は小さく肩をすくめました。
「あなたが照れたから、海も照れたんじゃないですか」
次の瞬間、波がどん、と大きく跳ねて青年の足元を濡らしました。
まるで「違う!」と抗議するように。
凪子は笑いながら言いました。
「ほら、やっぱりあなた、海に好かれてますよ」
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わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。
連作短歌:凪と波の物語
一 凪を呼ぶ女
浜に立つ
ただいるだけで
風もしずむ
波すこし退く
息をひそめて
二 旅の青年
波追いて
世界を巡る
旅の人
凪子を訪ね
浜に来て立つ
三 凪のことば
凪の海
彼女見つめて
ただ待って
興味ないから
海は静まる
四 騒ぐ波
僕が来て
波は騒いで
しぶきあげ
空へ投げ上げ
海は笑うよ
五 照れの連鎖
照れる君
それを映して
海もまた
そっと波間を
赤くゆらして
六 好かれている人
好かれてる
そう言う声に
寄せる波
「違う」と跳ねて
足もと濡らす
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。
その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。




