ジョーン122年目
そして、ジョーンの二度目の人生の70才。レティシアとカイγーンを膝の上に抱き、揺り椅子に揺られていた。
死と若返りの眠りに就く前に、リーシャの息子で暴食の大鼠(大きいと言っても、プレーリードッグぐらいなサイズ)、予知のリュカが白昼夢を見たのが気がかりだ。
この領が襲われる夢だったという。
記憶を読める悪魔と、それを何か(紙とか壁とか)に転写できる悪魔が、みなにわかるように大きく絵のようなものを作っておく、予定だった。
起きる頃には、出来上がっているだろう。
ジョーンは今回はだらだらと何もせずに終わったなぁと思ったが。
一度目の人生の精算(娘夫婦の死や曾孫娘の村脱出助力)や後始末、村の掌握と悪魔崇拝者と村人の融和に尽力した。
悪魔達と悪魔崇拝者が村にとけ込むのに軽く一世代、15年かかった。
レティシアが完全に懐くのは、秒だったが(餌を手渡ししたらすぐだった)。
そして常に常に、カイγーンと一緒に居た日々だった。
それは満たされる日々で、満足だった。
ゆっくりゆっくりと、意識が遠くなる。
抱いていられなくなるからと、二匹を膝からおろそうとしたら、しがみつかれた。
ふはっと、吐息のように笑って。
「また、な」
と、今回の生を閉じた。




