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プライドが邪魔する恋 7

 その時だった。玄関からもの凄い音がしたのは。

 物が倒れ、争い合う音と声。七瀬も含め、その場にいた全員が玄関を振り返る。

「お嬢~っ。いるんでしょ!」

 まず聞こえたのは部長の声。

「なんだ!」

 七瀬以外が外に出て行こうとドアを開けた。

 途端、飛び込んで来たのは

「六本木! それにむっちゃん!」

 二人は思いっきり男達に体当たりする。その後ろから部長が駆け込んで来た。

「お嬢、大丈夫?」

「なんだ、お前ら!」

 七瀬は顔を引きつらせた。

 私は涙を拭う。

 そうだ、私、何してるんだ。こんなに引き下がるなんて、どうかしてた。

 私は立ち上がると、皆に気を取られ私に背を向けていた七瀬の後頭部を思いっきり蹴ってやった。

 七瀬は立ち上がろうとしてた、カメラと照明にコメディみたいにぶつかり、三人もろとも倒れる。

「お嬢~」

 部長とむっちゃんが私を抱き締めてくれた。

 無茶苦茶温かい。

「ありがとう」

 私は今度は温かい涙を零した。

「くそガキがぁ」

 七瀬が立ち上がる。

「皐月先輩!」

 六本木は私達を庇う様に立ち塞がったが、明らかに体格に差がある。

「大人をなめんなよ。どけ! ガキが!」

 顔を思いっきり歪ませた七瀬の拳が振り上げられた! それは息を飲む余裕も与えず、六本木に振り下ろされる!

「六本木!」

 私は思わず叫び、目を閉じた。部長とむっちゃんと三人で固まって身を縮こませる。

 だけど、打音は鳴らなかった。

 とても静かで、何の気配もない。恐る恐る目を開ける。するとそこにあった顔は

「百崎先生!」

 なんと先生が七瀬の拳を掌で受け、寸止めしたのだ。

「全く同感だな。大人をなめるもんじゃない」

「なんだお前」

 いきり立つ男達に、先生は冷静だ。

「顧問だ。説明も面倒だが、表の奴は……」

「片付きましたぁ」

 亮太だ。亮太はわざと手を払いながら入って来て、私に親指を立てて見せた。

 愕然とする七瀬。百崎先生は綺麗な笑みを七瀬にむけ、

「ちなみに私の手の中には警察にすぐ通じる携帯があるんだが」

 そういって奴の手くびを固く握りしめたまま、自分の携帯を揺らして見せた。

「あ……」

 七瀬は口をパクパクさせながら、その携帯とのされた自分の仲間を何度か見比べ、やがて無言で方を落とした。奴にはもう、なす術は残されていなかったのだ。

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