狐火のまさかの活用方法
愉しくて面白くて、仕方がない。
何度も何度も雪の上に転がって、僕は笑った。
あぁ可笑しい! もう一度試してみよう!
──シュン……。
けれどその火は、遊びすぎたのか すぐ消えてしまって、もう何処にも見当たらない。
『あぁ……消えちゃった……』
少し残念に思ったけれど、あんな炎なんていくらでも出せる。もう一回、出せばいいだけなんだから……!
そう思いなおし、僕はもう一度、ふーっと息を吐く。
『……ん、待てよ?』
僕は考えた。
地面につかないってことはだよ? つまり、そういう事なんじゃないかな……?
『……』
咄嗟に思いついたその考えを試して見たくって、僕はニヤリ……とする。
次は四つの炎を出してみよう……。
──ぽ。ぽ。ぽ。ぽ。
ふふ。僕が何を考えたか、分かる?
そう! そうなんだ! それだよ!!
僕はワクワクしながら、青く輝くその炎にピョンと飛び乗った!
だってほら、地面と反発するんだよ?
だったらさ、これに乗れたら僕、空を飛べるんじゃないかって思ったんだ。
『よっ……と! わ、……わわわわわ……っ!』
ヨロヨロ……とよろけながら、僕は必死になって踏ん張る。
これは結構難しい。
けれど思った通り、炎は僕を乗せて ふわり!と宙を舞った。
うわ! やった……やったやった! 飛べた!!
僕は喜んだ! そしてその瞬間──!
『う……うわ……っ、うわぁあ……!』
……落っこちた。
そりゃそうだよね。初めて乗ったんだし。これは練習が必要だぞ!
僕はペロリ……と口を舐める。
バランスを取るのが、めちゃくちゃ難しい。でも、諦めないぞ!
炎はフラフラっと左右に揺れたかと思うと、すぐさま僕はひっくり返る。
『ふふ、ふふふふふ……っ』
ひっくり返るけれど面白い。
これは やめられない……! 僕はめげずに何度もチャレンジする。
そしてさ、これが上手くいったら、僕って空を飛べるんだよ?
自由に空を駆けることが出来たら、どんなに面白いだろう……!
僕は夢中になって練習をして、雪で真っ白になった。まるで雪だるまのようだ!
だけど やめられない。やめられるわけがない。
面白くって、空を駆けるその日が愉しみで、とてもじゃないけど、やめられないんだ!
× × × つづく× × ×