鼻から出てきた青い炎。
本当に誰もいないの?
僕はここだよ?
『……』
僕は悲しくなって、耳を伏せる。
それから、くぅんと鼻を鳴らしてみた。
誰がこの声を聞きつけて、来てくれるかもって思ったんだ。
だけど、何もいない。
誰もいない。
静かな静かな雪の平原が、どこまでもどこまでも続くばかり。
──とさとさとさ……。
遠くの林の木の枝から、ぱさりと雪が落ちた。
僕はその音にビックリして少し飛び上がる。
誰かがいるかも知れない! そう思った。
期待を込めて、ウキウキと辺りを見廻した。けれど、すぐに物音はしなくなる。
『……』
なぁんだ……と僕は再び、鼻を鳴らす。
………………。
……。
。
『あー! もうっ!!』
僕は叫ぶ。
こんな事をしていても、埒が明かない。いっそここから飛び出して、誰かを探しに行こう!
『よし!』
僕は立ち上がる。
じっとここで待っていても誰も来ない。だったら僕から行けばいいんだ!
『そうだ! 仲間を探しに行こう!!』
僕は氷の玉を見た。
ついさっき、僕が生まれた場所。
僕がさっきまで、眠っていた場所。
ここを離れるのはちょっと寂しかったけれど、いつまでもひとりぼっちではいられない。僕は僕の友だちを見つけに行くんだ!
月と星と雪の光だけが、僕を見ていて僕を照らしてくれていた。
静かな静かな、雪降る夜。
だけど、それだけなのは嫌なんだ。
月明かりはとても優しい光を放ってくれるけれど、何も話してくれないんだ。
冷たい雪もいいけれど、あったかい誰かに傍にいて欲しかった。
──『きっと見つかるよ……』
『!?』
ふと、そんな声が聞こえたような気がした。
僕は声の主を探して、辺りを見廻した。
とさとさとさ……と、また雪が落ちた。
けれど近くには、何もなくて、ただただ銀色の世界が、広がるばかり……。
『……』
僕は、仲間を探して歩き始める。
──ギュッ、ギュッ、ギュッ、ギュッ……。
……雪の上って、結構歩きにくいんだよね。
冷たいのは平気だったけれど、一歩一歩踏みしめる度に、雪が『行かないで!』って足を引っ張ってるみたい。
でも僕、行かなくちゃ。
だってここには、何もない……。
だけど、歩いても歩いても、どこもかしこも雪ばっかり。
『……本当に、何にもないや』
僕はガッカリする。
あるのは、真っ白い雪と冷たい氷だけ。
『くしゅん!』
僕は小さく、くしゃみをする。
そしたらね、驚くようなことが起こったんだ……!
──ぽっ!
『え?』
くしゃみをしたら、チョロリって青い炎が鼻から出てきた!!
え。何これ。なんなの!?
信じられる? まるで生き物のように、鼻から炎が吹き出るんだよ!?
当然僕は、目を丸くした!
『ぶふっ……。何これ、面白い』
鼻から飛び出たその炎の動きがおかしくって、僕は思わず笑ってしまう。
僕ってさ、今の今までひとりぼっちだったでしょ? だから、遊び相手もいなくって、この時初めて《遊ぶ》ってことを知ったんだ。
その炎が面白くって仕方がなくて、僕は夢中になって、鼻から炎を出して遊んだ!
息を吹くのに合わせて、ボボボーっボボボーって、青い炎が空を舞うの。
それがめちゃくちゃ綺麗で、僕は目を見張った。
うわ、綺麗……!
『うわぁ……すごい。すごい……っ!』
嬉しくなって、僕は跳る。
こんなの今まで見た事ない。……まぁ、産まれたてだからそうなんだけど……。
でも目の前の光景は、そんな言い方がピッタリくる。
本当に綺麗で、まるで花火みたい!
炎は雪の上をクルクルくるくる踊るように廻る。
鼻からふーん! と、火を吹くと、その炎も、僕の動きに合わせてクルクル舞った。
ちぎれた炎の欠片がチカチカ光って、本当に本当に、とっても綺麗だった!!
× × × つづく× × ×
┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈
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