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風花夜月妖譚【かざはな やげつ ようたん】  作者: YUQARI
第二章 茅葺き屋根の古寺
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和尚さまとの言い合い。

 見上げれば、和尚さまの顔は歪んでいた。

 その顔はまるで、《不憫(ふびん)でならない》って言ってるみたい。


『……っ、』

 僕は居心地が悪くなる。そんな顔、して欲しくなかった!


 隠し通そうとした努力は、報われなかった。

 それが痛いほどに分かるから、すごく辛い。



 和尚さまの表情を見ると、自分が情けなくなって、泣きたくなった。



 弦月(げんげつ)和尚さまは、はぁと溜め息をついた。

「それは困った。名前がないとなると不便じゃな」


 その一言で、僕はムッとする。


 せっかく雰囲気を明るくしようと思ったのに、事態は思わぬ方向へ進んでしまった。

 思ってもみなかった状況の変化に、僕の苛立ちは隠せない。


『僕は困った事なんてない!

 第一ここには和尚さましか、いないじゃないか!』


 ぷいっとそっぽを向き、僕は怒鳴る。

 そして辺りを見廻した。



 弦月(げんげつ)和尚さまは、目が見えないのに、この古寺には小僧さんがひとりもいない。


 だって人の気配が全くしないんだもん。

 確かにお寺の境内には、チリひとつとしてない。だけど多分それは、和尚さまが掃除したんだろうと思った。


 参拝する人だって、そういないみたいに見えたから。


 目が見えないのに、傍には誰もいない。それでよく、生活が出来るものだと、僕は不思議に思う。

 それこそ僕には、考えられない。



 目が見えなかったら、狩りが出来ない。

 狩りが出来なければ、食べていけない。

 食べなければ生きてはいけない。


 和尚さまは、誰の助けを借りて、生きているのだろう? まさか、一人で生きていけるわけもないだろうし……。


 僕は眉を寄せ、和尚さまの心配をする。



「何を言うか。名は(てい)を示すと言うではないか。名前は必要じゃ!」


 急に和尚さまが声を張り上げて、怒ったような声を出した。

 僕は和尚さまのその大きな声に驚いて、ビクッと体を震わせる。



 僕の(おび)えを感じとったのか、和尚さまは声を荒らげてしまった事にハッとする。

「すまない……。驚かせてしまったの……」

 慌てて申し訳なさそうに、そう謝った。


 僕は小さく頭を振る。

『ううん。いいの。大丈夫……』


 謝られて一応は許したものの、やっぱり僕は納得出来なかった。

 だってそうだろ? 僕は必死に隠したんだ。弱味を見せたくなかったから。


 それに怒鳴るほどのことなの? 僕は好きで一人でいたわけじゃない。

 いて欲しくてもいなかった。誰も傍にいてくれなかったんだ!



 名前? 名前なんてものはどうだっていい!

 そんなのなくったって、僕は今の今まで生きて来られたんだから……!!



    挿絵(By みてみん)


          × × × つづく× × ×


   ┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈



     お読み頂きありがとうございますm(*_ _)m


        誤字大魔王ですので誤字報告、

        切実にお待ちしております。


   そして随時、感想、評価もお待ちしております(*^^*)

     気軽にお立ち寄り、もしくはポチり下さい♡


        更新は不定期となっております。

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