表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風花夜月妖譚【かざはな やげつ ようたん】  作者: YUQARI
第二章 茅葺き屋根の古寺
13/36

見つけた古いお寺。

 僕は、自分のいる場所を改めて見てみた。


 そこは、茅葺(かやぶき)屋根の、結構大きな建物だった。



『えっと、ここはお寺、かな……?』




 僕が降り立ったのは、人里から離れた古寺だった。

 周りには、何にもない。山の中に取り残されたように、そのお寺はひっそりと建っていた。



 まるで僕みたい……。



 古いけれど、手入れはされている。

 その境内にはいくつもの大きな木が生えていて、なんだか荘厳(そうごん)な感じがした。


『……』

 ……ま、正直に言って《荘厳》の意味、よく分かんないんだけどね。とにかく、そのお寺は、そんな感じだったんだ。


 だからさすがの僕も、気圧(けお)される。




 なんとも言えない圧迫感に、僕は少し後ずさったけれど、嫌な感じはしない。

 どっしりとしたその雰囲気は、敵となれば恐ろしいけれど、味方となればきっと心強い。


 こんなところで生きていけたら、どんなにいいだろう? きっと心の底から安心して過ごせるに違いない。



 その上、大好きな人たちに出会えることが出来たのなら、もう何も言うことはない。

『……』


 自然の要塞に護られながら、そのお寺はひっそりと建っていた。まるで何かに隠れるように……。



 お寺は古いものではあったけれど、掃除は行き届いていて、不思議と(ちり)一つ落ちていない。

 信心深い人でも、いるのかな?


 どう考えてみても、ここは人里から離れていて、足繁く通うには向いていない。だからこそ、僕はここにいたいって思ったんだけどね。


 僕ってほら……嫌われているから……。



 今度は、誰かと友だちになれるかな……?

 考えながら、心は重く沈んでいく。


『……』


 もしかしたら、また逃げられてしまうかも知れない。そう思わずにはいられない。



 どうしてみんな、僕を嫌うのだろう?

 僕の姿が怖いのだろうか?


 僕は、自分の姿を振り返って見てみた。フワッと白いしっぽが揺らめいた。

 ……全然、怖い感じはしないんだけどなぁ……。




 前に僕は、湖に自分の姿を映して見たこともあるんだよ? あの時は、怖い……というよりも、《可愛い》とちょっと自惚(うぬぼ)れた。


 だって考えても見てよ? 僕って ちっこいキツネなんだよ?


 フワフワの真っ白な毛皮に包まれて、そりゃ目は金色だから鋭く光って見えるかも知れないけれど、丸くって大きくて、湖から覗くその瞳はくりくりで、どう見たって怖くなかったもの……。


『……』


 ううん。自惚れなんかじゃないと思う!


 だって、前に見た子ギツネたちと、そんなに姿は変わらなかったし、違うところと言えば、この真っ白な毛皮くらいだったから……!


『……』

 じゃあどうしてみんな、逃げて行くのだろう……?




──友だちになれないのなら、いっそ……。




 そんな不吉な想いが、頭をよぎる。


 自棄(やけ)になって、全てを壊してしまおうと思ったことだってある。

 ダメな事だって、ちゃんと分かってる! だけど僕だって本当はつらいんだ……‼


『……』

 フルフルと頭を小さく振りながら、僕は地面へと飛び降りた。妙なことは考えるな!

 変なことを考えれば考えるほど、僕は堕ちていくんだぞ……!


 ギュッと目をつぶって、僕はいつもそうやって、自分を叱りつける。褒める人もいないけれど、叱ってくれる人だって僕にはいない。


 褒めるのも叱るのも、(なぐさ)めるのだって、いつも僕!


 僕僕ぼくぼく、ぼく……。






──「おやおや? 誰か来たのかね?」




『ひゃっ!』

 不意に声を掛けられた。

 僕はピクンっと跳び跳ねる。



──全く、気配を感じなかった……⁉



 僕は身を強ばらせ、警戒した。

 未だかつて、こんな経験をしたことがない。


 けれど、嫌な感じはしない。

『……』



 声の主は、お寺のお縁に座っていた。


 僕はしばらく全身の毛を逆立たせていたんだけど、すぐにクゥンと小さく鼻を鳴らし、耳を伏せる。



 相手は僕に、嫌なことをする気はないようだ。

 僕の返事をにこやかに笑って、待っててくれた。


 そんな態度を取られたことは、生まれてこの方一度もない。目の前の人は、僕を恐れているわけでも、捕まえようとも思っていないみたい。


 ただ純粋に、語りかけてくれている、だけ……?



 僕は思わず、ホッと安堵の溜め息をついた。



    挿絵(By みてみん)


          × × × つづく× × ×


   ┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈



     お読み頂きありがとうございますm(*_ _)m


        誤字大魔王ですので誤字報告、

        切実にお待ちしております。


   そして随時、感想、評価もお待ちしております(*^^*)

     気軽にお立ち寄り、もしくはポチり下さい♡


        更新は不定期となっております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ