第終鬼 バイバイ
――はずだった……
「あー。やっぱりこうなっちゃうのかー。どうもあーしって最後までうまくやるセンスってないんだよね……」
――トン。
たった一撃。それで俺の意識は失われた。
一時的に取り戻した平和に何の意味もなかったと言うことを証明するように、呆気なく鬼にやられてしまった。
まだまだ弱い鬼、ただの運が良かった鬼だったんだ。
「バイバイ、そして、また頑張ろうね……」
舞草羽凪は気を失った赤在煉の前で哀しそうに笑った。
物語が終わることはない。
彼はきっとまた立ち上がる。
苦難も困難も艱難も、全てを乗りこえて、物語を紡いでゆく屈強な鬼になってもらわないといけないんだ。
この赤在煉と言う人間がどこまでやれるか分からない。
でも、またやれるところまで、できるところまで継ぎ接ぎで、自転車操業で進めなければならない。
自分の使命は分かっている。
これを自分一人でやってしまうことができればどれほど良かっただろう。
赤在には悪いことをしたと思っている。
「まだ、終わらないよ」
空から落ちて来た少女に恋をした少年は、また新たな物語を紡ぐことになりそうだ。