アバター作成
〈白羽家 CWOサービス開始当日〉
「お父さん、食器ここに置いておくね~!」
食べ終えた夕飯の食器をまとめ、テーブルをふきながらそう口にする花音
「おう、あとはやっておくからCWOのキャラクリとかやってて良いぞ!友達とやるんだろ?」
そう言って置かれている食器達を洗い出すのは花音の父親の白羽 隼人である。「ここは任せて先に行け」とつぶやいてるあたり業が深い
「うん!でもハルとやるのは明日の午後からだから。お父さんはゲームやらないの?」
父のつぶやきが聞こえていながらスルーして言葉を返す
「俺は当分出来ないだよな~~!どっかのヤブ医者が仕事を流して来るせいで!!」
本当に悔しそうに、それはもう悔しそうに嘆いて、洗っている食器を割りそうなぐらいテンションは下がっていく
「そっか。じゃあ~あとはお願いします」
なぜか言葉が丁寧になりながらあまりその事に触れない用にそっとその場を去る花音。背後から聞こえてくる呪詛の様なつぶやきを聴きながら自分の部屋へと向かうのだった。
―――――――――――――――――――――――
部屋に戻りゲームの準備をはじめる花音だが部屋の中は真っ暗なままである。目の見えない花音には明かりに意味はなく音の反響を耳や肌で感じ取っているため明るさは関係ない
「さて明日は休みだし!ハルとやる前に少しは慣れとかないとね!」
そう言いながら自分自身楽しみだったのだろう。その声はとても楽しげだ。
CWO専用VRマシンを付け、ベッドに横になり機械の電源をつけて、全ての準備が終わったのを音で感じ取り、静かに深呼吸をして口にする。
「……一応十六夜さんが私でも問題無くクリエイト・ワールド・オンラインで遊べると言ってくれたし大丈夫だと思うけど…よし!クリエイト・ワールド・オンライン起動!」
花音の意識はゲームの世界へと旅立つ
――――――――――――――――――――――――
「ようこそいらっしゃいました。クリエイト・ワールド・オンライン管理AIナナミと言います。まずはこの世界での貴方の名前を教えてください。」
花音の意識が目覚めてすぐにそう声をかけられ、声の方へ意識を向けると花音の感覚に人と思われる感覚を知覚する。人と断言出来ないのはそれが宙に浮いて居るからだ。
「どうも初めまして私は………キャラクターネームでいいのかな?…サトリ…でいいかな?」
ほんの少し考えすぐにそう名前を口にする花音は宙に浮いて居る物が管理AIだろうとそちらに答える
「わかりましたサトリ様ですね。それではざっとではありますがこの世界の事など少し説明し、その後サトリ様のお姿など決めていきます。ところで何故目を閉じられたままなのですか。」
サトリが目を開けない事を疑問に思いそう口にする。
「私は目が見えないんです…VRの世界でなら限られた時間目を開けてられるんですけど…目を開けてるとひどい頭痛に悩まされるので、ですからなるべく開けない用にしてゲームを終える前に少しだけ目を開けて少しずつでも開けられる時間を伸ばせたらなぁ~と、それに目は見えなくてもあなたを知覚出来ますから。」
一応目を開けられるのに自分が楽しむ為にあえて閉じてる事に罪悪感を感じたのか少し説明めいた口調になってしまっている
「なるほど…わかりました。でしたらこちらでサポート致します。サトリ様にスキャンをかけ、サトリ様の現状などをさぐっても大丈夫でしょうか?もちろん探るものは身体的能力の事のみです。」
サトリからどれだけ目を開けられるのか、どれだけの情報量を見せて良いのかなど知りサポートしてくれると管理AIナナミが言う。
「大丈夫です!医療用のVRで結構慣れてますから!」
普段の生活で記憶を探り目で物を見れる用になる為に治療を受けていたりする。そもそもサトリの目は外傷ではなく心の問題から来る物である。
「わかりました、でわ少し失礼します……………………ありがとうございますスキャン完了しましたサトリ様」
「結構早いんですね?」
「必要な事だけを読み取るだけなどで、それと以前にもこの世界に関わっているようで」
サトリの記憶からテスターの時の事を読み取ったのだろう、そう確認してくる
「ゲームそのものは結局最後まで体験できなかったんですけど私の体質調査やら良くわからない事をいろいろして、そんな事していたら君のおかげでゲームがより完成に近づいたって社長さんが興奮してましたね。たぶんリアルと同じようになるよう私のデータを取ってゲームに応用したんですね。」
テスターと言う名のモルモットの時を思い出しながら答える
「ありがとうございます、それではサトリ様のお姿を作っていきましょうか」
―――――――――――――――――――――――――
「まず体格などはあまり変えることができません。そのかわりに顔や髪型など首より上はかなり自由に変更出来ます」
そう言いながらサトリのデフォルトの姿が出てくる
「ほんの少し髪の色とか変えてくれれば大丈夫ですよ?あまり見た目は気にしませんから」
目が見えない弊害なのか、自分の容姿をあまり気にしないサトリ
「分かりました、それではどの様な髪色にしますか?」
「う~ん…ナナミさんに任せても良いですか?自分だとあまり気にしませんし、ナナミさんが似合うと思う色で構いませんよ」
こういう見た目に関することは完全に丸投げするサトリである
「分かりました、それでわ白い髪にアクセントで赤いメッシュを入れるのはどうでしょう、サトリ様はかなり武芸を嗜んでるようなので白い髪は味のある感じになると思います。」
ナナミは先ほどスキャンしたサトリの身体データを参考に戦う姿に合う色合いを考えたらしい
「それでお願いします、あとは顔とか変える予定もないので次に行って大丈夫です!」
こうして花音のアバターであるサトリが出来上がった




