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6話 天才少女と異世界のお勉強(スキル編)

「スキルのは大きく分けて3種類あります」



 プリシラさんが、教科書のページをめくって、その一部分をプロジェクターみたいなもので拡大して説明してくれる。私達も手持ちのページをめくって目の前の白い壁に映し出されているページを探した。えーと。ここかな。スキルに関する簡単な説明と、スキルの一覧表が載ってる。一般的な人が持っていることが多いスキルが抜粋されているみたいだね、



「まずはコモンスキル。最も多くの種類があり、基本的に全ての人が手に入れることが出来るスキルです。各種魔法スキル。身体能力を上げるスキル。料理などの特殊な技能能力を上げるスキルなど、その種類は様々です。そして、これらのコモンスキルにはレベルがあり、これらのレベルが10に達すると上限となります。さらに、一部のスキルはレベル10になった後にさらに経験を積むことでより上位の強力なスキルに進化します。コモンスキルはほとんどが、技能能力の向上、つまりはスキルを使うことでその能力が使いやすくなる、またはより強く、より効果的な能力を発揮しやすくするものが多いです。例えば〈怪力〉スキルを持っている場合、スキルを使うことで、本来の筋力ではありえないような力を発揮することができます」



 当たり前だけれど、私達の世界には全くない概念の話だから、説明されてなんとなく理解は出来るけれど、あんまりイメージは湧かない。ゲームとかによくある補助的な効果を行うパッシブスキルやアクティブスキルのようなものだろうか。



「次にエクストラスキル。レベルによる成長が無い代わりに、より特殊な能力が使えるようになるスキルです。コモンスキルよりも習得が困難なものが多く、また、レベルという概念が無い為、使いこなすには習得した後も本人の努力が必要です。また、特定の種族限定の能力もこちらに分類されることが多いです。いまいち例としてはイメージしにくいと思いますが、例えば〈念話〉スキルを持っている場合、スキル保持者が伝えたいことを言葉として周囲の人に伝えることができます。ただし、〈念話〉スキルは普段は言葉や文字でコミュニケーションをとらない魔物が覚えていることが多いスキルです。相当特殊な訓練を積めば、人族でも覚えることは出来ますけどね」



 エクストラスキルは特殊な能力が使えるようになるスキル。覚えたよ。プリシラさんが例に出した〈念話〉スキルがあれば、言葉の伝わらない相手に自分の考えていることを言葉として伝えることが出来るみたい。何それめっちゃ便利じゃん。あ、でもこの世界の国々は一つの言語で統一されているんだっけ?じゃあ、別に必要ないかな。



……そういえば、おねえちゃんに似てるあの人は口を動かさないで、直接私達の頭に語りかけるように話していたよね?あれが〈念話〉なのかな?



 ってことは、あの人は人間ではない?いやでも、人間でも全く覚えられないものでもないんだよね。決め付けるには早計かな。



「最後にユニークスキル。こちらはその人の魂に根付いた力となっていて、例外を除いて同じ名前のスキルは世界に一つしかありません。この場合の例外は、主に加護と名の付いた能力のことです。加護は元になった力を持つ人ととても近しい存在になった時に得られるもので、例としては強力な魔物が自らの魔力で生み出した眷族などが持っていることが多いです。そして、ユニークスキルはスキル一つでいくつかの能力を持っていることがあります。そのいずれもとても強力なものばかりです」



 ユニークスキル。ようは個人しか持っていないチートな能力のことで良いのかな。少し気になるところは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってところだね。この言い方だと、違う名前で同じような能力があるってことなのかな?



 そもそもスキルってどうやったら持っているのがわかるんだろう?よくラノベとかに出てくる鑑定スキルみたいなやつとかあるのかな?わからないことは聞いてみよう。



 ピシッと右手を上げた私にプリシラさんが微笑みながら「質問ですか?どうぞ」と促してくれる。



「そのスキルって、どうやって持っているのを確かめるの?」


「はい。色んな方法がありますが、一番簡単な方法で全ての所持スキルを知る方法は、やはり冒険者ギルドに登録してギルドカードを手に入れることです。冒険者ギルドのギルドカードには特別な鑑定能力が付与されていますので、自分のユニークスキルのことまで知ることが出来ます。その他には、各教会にお布施を支払うことで洗礼と共に鑑定してもらえます。ただしここでわかるのは、所持しているコモンスキルとエクストラスキル、それと、悪魔スキルまたは天使スキルの保持者かどうかだけです。あとは、〈鑑定〉スキル持ちに鑑定してもらうことですね。ですが、他人が普通の〈鑑定〉スキルで見えるのは最高レベルでエクストラスキルまでが限界です。自分で〈鑑定〉スキルを持っている場合は自分でユニークスキルまで見ることが出来るそうですけど、そもそも、〈鑑定〉スキル自体が非常に習得難度の高いレアなコモンスキルなので持っている人自体が少ないでしょう」



 ふーん。レベルがあるってことは、鑑定はコモンスキルなんだね。特殊技能的なものっぽいからエクストラスキルの枠に感じるけど。いまいち区分があやふやだなぁ。



「これらのスキルのほとんどは、意識的にスキルを使うことしなければ効果が発揮されません。一部のスキルは自動で発動するものもありますよ。そうそう。皆さんへの一通りの授業を終えたら、スキル鑑定を行う予定になっているそうです。この世界に来た以上は、この世界のルールに則ってスキルが顕現している可能性が高いそうです。鑑定までの間にきちんと知識を積んで、強力なスキルがあっても悪用しないようにしてください」



 私達はそれぞれ神妙な顔で頷いた。私達がこの世界に来たことによって何かチートな能力があったら、普通の国だったら取り込もうとしてくるだろう。たとえそれらの能力が無くても、私達には異世界の知識もあるし。悪用する気が無くても利用されてしまう可能性だってあるのだ。



……先の事を考えると気が重いよ。物語の主人公たちみたいになりたいとか絶対思いたくない。



 読み物としては波乱万丈な人生の方が面白いと思うけれど、実際に体験はしたくないよね。出来れば平穏に生きたい…。そして思う存分好きな事を研究したい。研究…?あっ!



 研究という単語が頭に浮かんできて思い出した。そういえば、手首にこのデバイス着けたままだった!いや、お風呂の時とか外してたけど。また無意識に着けてたんだよね。今日部屋に戻ったらみんなに相談しなきゃ!



 それにさっき説明があった魔力!私のデバイスの中に入っている物質に凄く近い性質をしているような気がする。まさか本当に魔力なのかも?調べることって出来ないかな?



「妹ちゃん?どうしたの?なんかぼーっとしてるけど」


「ふえっ!?な、なんでもないよ!」


「ふえって…。ふ~ん。まあ良いけど」



 アヤさんが少しだけ訝しげに私を見ていたけど、お勉強の途中だからすぐに切り替えて顔を逸らした。ふぅ。デバイスのことを相談するにしても、この世界の人に話していいか分からないからね。ここで追及されなくて良かった。



「スキルに関しては大体こんなところですね。大分話がずれてしまいましたが、時間もちょうど良いですし、一般常識の残りは明日にしましょうか」



 プリシラさんがそう言ったタイミングでいつも夕食のタイミングで鳴る鐘が鳴った。午前中は言葉の練習も兼ねて本の内容を復唱したり、プリシラさんと雑談したりしていたから今日のお勉強はこれで終わりだ。



 顔見知りになってきたシスター服の少女達がいつものように夕ご飯を配膳してくれる。彼女達の配膳が終わったところで、夕食だけ一緒に食べるプリシラさんが手と手を合わせた。私達もそれに倣って両手を合わせる。



「世界を造りたもうし神々と数多の精霊達よ。その命の恵みに感謝し、この食事を頂きます」



 プリシラさんの言葉に続くように私達もお祈りの言葉を言ってから食事を始めた。まだちょっと慣れないけれど、いただきますのちょっと長いバージョンということで頭に納得させている。



 教会によっては食事中のお喋りは禁止になっているところもあるらしいが、プリシラさんは孤児院として子供達と暮らしていた経験もあるので気にしないようだ。むしろ、言葉の練習になるからと食事中の会話を推奨している。



 そして和やかに食事を終えた私達は、いろいろと教えてくれたプリシラさんにお礼を言ってから、部屋に戻るために講堂から出た。




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