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召喚された少女は異世界でうさぎを探す  作者: 白黒兎
第二章 異世界の国々
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55話 天才少女と知識の塔(図書塔)

 地球の高層ビルのようなとっても高い塔…『知識の塔』の入り口に辿り着いた私達。



 念のため、兄様が先頭に立って重々しい見た目の大きな両扉をゆっくりと開けた。



「うわぁ…!」


「これは…圧巻ですね」


「すごっ!」



 扉を開けた先には無数の本棚が整然と並び、いくつもの本が空中に舞っている光景だった。上を見上げると螺旋階段を通じていくつかの階層があるのがわかる。壁側にもぎっしりと本棚があり、その中に隙間なく本が並べられている。



 そして、意外にもかなりの人の利用者が居るようで、入り口近くから見える範囲でも、冒険者や商人らしき人を中心に、研究者みたいな人や一般人もちらほらと見掛ける。道中に魔物が居ないにしても戦闘力の無い人がここまで来るなんてすごいね。いや、冒険者に護衛を依頼しているからかもしれないけど。だから冒険者も多いのかな?



「塔の高さから考えると天井が低いですね。一般用に解放しているのとは別の区画があるということでしょうか」


「当たりですよ」


「うわっ!びっくりした!」



 千鶴さんの独り言のような呟きに答えたのは、黒くて長い髪をツインテールにした猫耳の少女、クーリアさんだった。彼女はにっこりと可愛らしい笑顔を浮かべている。そうしていると、普通の女の子にしか見えないけど、この塔を管理する魔人で、とっても強い人だ。あと、怒らせると怖い。獣王国の王宮は大丈夫だったのかな?



「予想通り、あの森を苦も無く抜けてきましたね。さすがです」



 この口ぶりだと、どうやらあの森に入った時点でクーリアさんの監視下に入るみたいだ。ひょっとしたら、邪な考えを持っていそうな人を意図的に弾いているのかもしれない。



「この塔の利用方法や私への個人的な話もあるでしょうが、立ち話もなんですから、まずは落ち着ける場所まで案内します」


「助かります」



 クーリアさんの後をついていくと、なんとエレベーターみたいなものに乗りこんだ。これも魔力で動いているんだろうけど、乗り心地はまんまエレベーターだ。こんなものもあるんだなーっと感心していると、静かに止まって扉が開いた。降りて周りを見回すと、どこか執務室のような広々とした部屋だった。クーリアさんに柔らかそうな大きいソファーに勧められて、私達は四人で並んでそこに座った。クーリアさんも対面に静かに座る。クーリアさんって所作も綺麗だよね。



 改めてじっくりと対面に座る彼女を見ても、私にはクーリアさんは普通の人にしか見えない。知らなければ彼女が魔物の上位存在である魔人だと解る人が居るのだろうか?



「さて、ではまずは歓待の言葉からですね。ようこそ、『図書塔』へ!」


「図書塔?知識の塔じゃなかったっけ?」


「他にもいろいろと名前がありましたね…」



 私達が首を傾げると、クーリアさんが苦笑交じりに答えてくれる。



「正式な名前は『図書塔』です。ですが、人族の間では『知識の塔』で一番知られていますね。…おや?セラさんから勧められてここへ来たのではないのですか?彼女は正式名称をご存知のはずですが…」



 そういわれてみれば。いくつかの言っていた名前の中に『図書塔』という名前もあったような気がする…。正式な名前でなくて、一般的に広く伝わっている名前で情報を集めやすくしてくれたのかな?



「まぁ、この塔の名前については特に拘りもありませんし、今まで通り知識の塔で構いません。ですが、折角なので正式名称の方も覚えて行ってくださいね」


「はーい」


「ふふ…。ではこの施設の利用方法について説明しますね?事前に情報を集めていたのならば、知っている話もあると思いますが、齟齬があっては困りますのでよく聞いていてくださいね。いくら貴方達でもルールを破れば相応の対処をさせていただきますので」



 そうして話を始めたクーリアさん。知識の塔(図書塔)のルールに関しては事前に調べた内容とそう差は無さそうだった。



「この塔の一層部分は主に娯楽本や各国の歴史、昔や現在の地図等の他、スキルや魔法に関する本も置いてあります。ほとんどはこの一層の区画で欲しい知識が手に入ると思います。二層目は私が許可を出した人だけが出入りが出来る区画で、解読の難しい魔導書であったり、今では扱える人のほとんどいない魔法に関する知識やスキルの運用法、失われつつある技術等、取り扱いに気を付けるべき知識が保管されています。三層目は宿泊施設になっています。四層目以降は基本的に出入りを許可していません。私のプライベートスペースですね。ちなみにこの部屋もそうですよ?初めて来た方にはこれらのルールが書いてある案内文が書いてあるボードを先に見るよう促してます。今回のように私が直接教えるのは例外ですので、他の方には内緒にしてくださいね。基本的には問題が起こらない限りは姿を見せないようにしていますので。さて、一気に説明しましたが、何か質問はありますか?」



 隣に座る綾さんがすっと手を挙げた。クーリアさんが目で発言を促す。



「私達はどれくらいここに滞在するなわからないのですが、他の利用客と同じように宿泊して大丈夫なのですか?」



 さすがの綾さんも真面目な時は敬語のようだ。私がちょっと顔を背けてくすりとすると、綾さんがそれに気付いて頭に手刀を落としてきた。いったぁ!真面目な口調台無しになっちゃうよ!



「ふふふ。本当に仲が良いですね。皆さんは特別に私のプライベートスペースをお貸ししますので安心してください。本を読みに来ただけでも無いでしょうし、必要になるであろう施設をあとで案内します。ですが、プライベートスペースの書物に関しては勝手に読むことは許しません。読みたいものがあった場合は必ず私に一言声をかけてください。中には危険な内容のものもありますからね」



 私と綾さんのじゃれあいを見てくすくすと笑いながらクーリアさんが質問に答えた。綾さんは「ありがとうございます」と一礼する。



「他には何かありますか?」


「二層までの書物ならば自由に読んでも構わないという認識で間違いありませんか?」


「ええ。二層までならば他の利用客と同じルールて利用して構いません。本の取り扱いについても同じようにやってください」


「食料の備蓄は準備してあるのですが、もしも少なくなってきた場合は街まで買いに行っても良いでしょうか?」


「塔の出入りは自由ですが、ここと獣王国を往復するのは面倒そうですね…。わかりました。その時も私に声をかけてください。転移で送り迎えしますよ」


「それは…助かります。ありがとうございます」



 兄様と千鶴さんの質問も終わり、それから更に細かい確認をいくつか行う。それらも終わると、クーリアさんがどこからともなく(恐らく収納魔法?)ティーカップとお茶菓子を出して私達の前に並べた。



「遠慮なく食べてください。…さて、それではここからが本題になるわけですが。私の力…この場合は知識と技術になりますが…を貸して欲しいそうですね?事情はなんとなくわかりますが、改めて話をしてくれませんか?」



 そうだ。ここに来た最大の理由は兄様達用のデバイスを作ること。そのための知識を得るためにここに来て、可能ならばクーリアさんに協力を求めることだ。



 デバイスに関しては私の領分なので、クーリアさんにデバイスについて少しずつ説明することにした。




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