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召喚された少女は異世界でうさぎを探す  作者: 白黒兎
第二章 異世界の国々
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54話 天才少女は知識の塔に向かう

 獣王国から王都まで続く街道は大型馬車が余裕をもってすれ違えるほどの大きな道になっていて、途中で野宿する用の小さな広場みたいな休憩所が点々とあるみたい。話によると、獣王国から最初と二番目の休憩所の間にある辺りで知識の塔が見えるらしい。



 獣王国に予定よりも長く滞在した間に、知識の塔やクーリアさんについてのことを出来るだけ幅広い人に話を聞いて情報を集めていた。あ、私じゃなくて兄様と綾さんだけどね。私は冒険者としての最低限の依頼をこなして小遣いを稼ぎつつ、魔法の改良とか魔力の操作の精度を上げる練習していたから。千鶴さんは綾さんと一緒に一度だけ情報収集に出掛けたことあるけど、その時に綾さんの妹とかに見られたことにショックを受けてからは私の見張りと兼魔法の練習の付き添いをしてくれていた。ちなみに、その時のことをからかった綾さんは千鶴さんからとても圧のある怖い笑顔で延々と()()()をして、しばらく千鶴さんの声を聞くだけでびくびくとしていたよ。綾さんって頭良いけど結構アホだよね。



 ま、綾さんのことはどうでもよくて、今は知識の塔とクーリアさんについてだね。まずは知識の塔に関しては街で暮らす人、戦士、商人、冒険者と獣人達の話では、世界中から本が集まる知識の倉庫であり、魔人が管理する特殊なダンジョンのような認識みたい。知識の塔は街道から見えるとはいえ、そこに行くまでの道は整備されておらず、害意ある者は決して入り口まで近付けないで森を彷徨い続けるという結界が張られているらしい。そういうことから、獣人達の間ではイタズラばかりする悪童に対する説教として、知識の塔に置いて行くぞっていう言葉が出来たそうだ。更に、知識の塔周辺の森は方向感覚を失いやすく、非常に迷いやすい環境でもあるらしい。五感が鋭く、森での生活に慣れている獣人でも迷うことから、これまた結界とは別の魔法が作用しているんじゃないかと冒険者達が言っていた…らしい。だって私は直接聞いてないし…。



 知識の塔の中は王都の大図書館とは比べ物にならないほどの蔵書数があるんだって。いやいや、まだ王国に行ったことないから知らないし…。知識の塔の中にある本は外への持ち出し厳禁で、もちろん、貸し出しもしていないそうだ。ただ、少ないながら宿泊用のスペースがあり、お金を払えば知識の塔に泊まって本を読むことも出来るみたい。お金払うんだね。まぁ、クーリアさんは魔人みたいだけど、市井にもよく出てくるからお金使うのかな?



 本を外に持ち出そうとした瞬間にどのような手段を用いてもクーリアさんにバレて回収、お仕置きされるそうだ。一応、そこで誰かが殺されるようなことは起きていないらしいけど、陸の孤島のような場所だし誰にもバレていないだけかもしれないからわからないよね。怖いから絶対に持ち出さないようにしよう。もちろんだけど、本を乱雑に扱ったり、傷を付けようとしたりしてももれなくクーリアさんに見付かってお仕置きされるのだとか。一冊一冊に保護の魔法が掛けられているらしく、そう簡単には傷はつかないそうだけど。本は大切に扱おうね!



 商人の話では、知識の塔では本の買い取りもやっているみたい。無名な人の自作の本でも買い取っているそうだから、世間には出ていない名作もいくつも眠っているのだとか。複写することは禁止されていないから、知識の塔を訪れた人が複写した無名の人の本が売れたということもあったんだって。あ、でも、知識の塔にすでに置いてある本は買い取ってくれないみたい。



 とまあこんな感じで、意外にもかなりの情報を仕入れることが出来た。何度か知識の塔に行ったこともあるという人にも会えたみたいで、さっき説明したことはクーリアさんが初めて来た人向けに説明していることで、そこからいろんな人に伝わっていって、今では調べようと思えば簡単に手に入る情報だとか。



「うわぁ、あれが『知識の塔』かぁ。ある意味ファンタジーっぽい」


「あはは。確かにラストダンジョンとか裏ダンジョンっぽい!」


「天空の塔だとか言っていた人も居たね。でも、そんなに言うほど高くはなさそうだね」


「高層ビルの無いこの世界では異質な建造物であることに変わりはありません。ざっと見た感じでは200~300メートルくらいでしょうか?」



 私、綾さん、兄様、千鶴さんが街道から見えた知識の塔を見上げながらそれぞれ感想を溢す。街道から塔まではまだまだかなりの距離がありそうだ。というか、道もないような森の中を突っ切って行かないといけない。方向感覚がおかしくなるらしいし、まだまだ塔までは一筋縄ではいかなそうだ。



 森の手前で少し休憩して、比較的入り易そうな場所を選んでから森の中に足を踏み入れる。人の出入りもあるにしては、足を踏み入れたような跡も見当たらない。これも魔法が作用しているのだろうか?どれだけ広大な魔法が動いているんだろうか。それを一人で管理しているクーリアさんも魔人だとしても相当凄い人なんだと思うよ。



「ふむ。道がないためか、木々を避けているだけでも方向が分からなくなりそうですね」


「千鶴さんでも道に迷いそう?」


「ご心配なく。念のために魔眼も使えば大丈夫でしょう。ただし、出来るだけ近くで行動するようにしてください。少しでも離れると迷子になるかもしれません」


「はーい」


「妹ちゃん、手でも繋ぐ?」


「こんな足元の悪い場所で片手を塞ぐようなことする訳無いでしょ。何言っているの?」


「ふふ。綾さんと一緒に迷子になってはいけませんからね」


「ちょ!?先生ひどっ」


「いい加減にその『先生』を止めないと、本気で指導しますよ?」


「ひっ!き、気を付けます…」



 綾さんと千鶴さんのコントを聞き流しつつ周辺を見回していると、ふと気付いたことがあった。



……この森の中って薬草とかが全く生えていない



 いや、薬とかには使えないような雑草は沢山あるんだけどね。冒険者のギルドで納品出来そうなものが一つも見当たらないのだ。世界中に分布しているという回復薬用の薬草すら見当たらない。



……この辺りだけまるで世界が変わったみたい。月の領域みたいな感じなのかな?



 後でクーリアさんに会ったら聞いてみようと心に決めながら、千鶴さんから離れない様に森の中を進んでいく。



 そして、千鶴さんの先導のおかげで、一度も迷うこともなく、それほどの時間も掛からないでついに知識の塔の入り口にまで辿り着いた。




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