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召喚された少女は異世界でうさぎを探す  作者: 白黒兎
第二章 異世界の国々
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50話 天才少女と指名依頼

 襲われていた馬車は王国から来た商人だったみたいで、兄様が助けたことによって九死に一生を得たようだ。更に壊れた馬車を私達が修復したことで大変に感謝され、そこにすかさず綾さんが言葉巧みに言いくるめて王国の情報とかいくつかの品物を貰うことに成功した。まぁ、命の恩人相手のお願いを無下には出来ないよね。綾さんもちゃんと加減しているみたいだし。多少はいっか。



 冒険者ギルドにクリアリザードの事を報告した後にクーリアさんとはギルドの建物前で別れた。獣王国の王宮に捕まえたクリアリザードを放つんだとか言っていたけど、ホントにやったのかな?気になるけど、知らない振りをすることにする。



 本音を言うなら、クーリアさんともうちょっと魔法の話とかしたかったけど、今回の件で王都方面の街道の問題も解決に向かうだろうし、そうなったら『知識の塔』に向かうからすぐ会えるよね?



 私の予想通り、次の日には獣王国の戦士達と冒険者の混合で討伐隊が組まれ、王国方面の街道に向けて出発した。連日続いた魔物の騒ぎもこれですぐに収まるはずだ。



 時間の空いた私達は適当な依頼でも受けて時間を潰そうと思って冒険者ギルドに来たんだけど、猫耳な受付嬢さんに呼び止められてしまった。嫌な予感がしつつもカウンターまで行くと、受付嬢さんが申し訳なさそうな顔で一つの依頼書を手渡してくる。それに目を通すと、ギルドから私達宛てへの指名依頼について書いてあった。



「私達に指名依頼?ここのギルドから?」


「はい。もちろん、当ギルドに所属していない皆様には断ることが出来る権利があります。ですが、出来ればご協力をお願いしたいのです」



 受付嬢さんの話では、一週間ほど前から東側の熱帯雨林に、本来はこの辺りには居ないはずの魔物の目撃情報が入ってきているそうだ。王国方面の街道の調査が遅れていた原因はこの件も関係あるらしい。今は王国方面の街道の件で獣王国所属の冒険者の多くが駆り出され、獣王国の戦士達だけでは中々情報が集まらないらしい。そこで白羽の矢が立ったのが、クーリアさんと一緒に街道方面の調査をした私達みたい。



「今ギルドに残っている冒険者達で東の奥地まで行けるメンバーは限られています。その中でも実績があり、クーリア様からお褒めの言葉を頂けるほどの方々に是非ご協力して欲しいと考えています。もちろん、ギルドからの指名依頼として、報酬も相場より高くしますし、情報量によっては割増も致します。どうかお引き受けして頂けないでしょうか?」



 猫耳をぴくぴくさせている受付嬢さんの必死な様子に、私は「どうする?」とみんなの顔を伺う。



「ん~。私としてはこれ以上の面倒事は止めた方が良いと思うなぁ。前回と違ってクーリアさんっていう保険も無いし」


「うん。それに索敵魔法の使える輪音の冒険者ランクからしても、東の奥地は危険度が高い。俺も反対かな」


「きゅい!」


「……」


「……?千鶴さん?」



 千鶴さんの足元に居るルナちゃんが鳴いたタイミングで千鶴さんが考え込むように頬に手を当てた。私達の安全を誰よりも優先する千鶴さんなら同じ様に反対すると思ったんだけど…。綾さんと兄様も不思議そうな顔で千鶴さんの回答を待っている。



 考え込むこと一分…。ようやく千鶴さんが顔を上げて口を開いた。



「今回は依頼を受けましょう」


「えー?安全第一な千鶴先生にしては珍しい」


「なんか考え込んでいたみたいだけど、何か理由があるんだよね?」



 私がそう聞くと、千鶴さんはちょっと困ったような顔になった。うん?まさかこれといって理由は無いの?っと一瞬思ったけど、千鶴さんはゆっくりと言葉を選ぶように理由を話し出した。



「そうですね…。指名依頼ということで通常の依頼よりも報酬が多いということ、あくまで調査なので危険と判断した時点で調査を放棄出来るということ、今回はギルド側からのお願いということもあるので、依頼に失敗してもペナルティは無いのでしょう?」


「はい。本来ならばギルド所属の冒険者にお願いすることですから。万が一依頼が遂行できなくても、報酬は支払えませんが、冒険者としての評価も下がりません」



 受付嬢さんの言葉に頷いた千鶴さんは話を続ける。



「確かに面倒事かもしれませんが、そこまで危険の多い依頼でもありません。まだ新米冒険者である私達が

経験を積むのにはちょうど良いのではありませんか?…それに、どうせ王国方面の街道が使えるようになるまでにはもうしばらくかかるでしょう。時間を潰すのにもちょうど良いと思います」


「むむむ…。千鶴さんがそこまで言うなら…。」


「んー…。本当にそれだけです?」



 私は千鶴さんの言葉…何よりも時間を潰すという面で賛成側に傾きつつあるけど、綾さんはじとーっとした目で「あやしいなぁ…」と呟きながら千鶴さんを見ていた。うん、まぁ、私もちょっと千鶴さんっぽくうないなぁとは思うけど、千鶴さんの言うことに別におかしいところもないもんね。



 兄様も千鶴さんの言葉を吟味するように考え込んでいたけど、どうするか決めたように顔を上げた。



「千鶴さんの言う通り、デメリットも特に無いし、依頼受けてみようか。それに、この依頼を断っても他の依頼で東の熱帯雨林地帯には行くかもしれないからね。それなら、ここで依頼を受けてもあんまり変わらないだろう」


「確かにそうですけどぉ~。ギルドからの指名依頼っていうところが面倒そうな予感しかしないんですけどぉ~?」


「綾さん、面倒くさい人になってるよ?」


「私は反対だけど、みんなが賛成側に回るなら行くしかないじゃない?」


「別に、綾さんだけここに残って待ってても…」


「それはイヤ」


「じゃあ文句言わないの!」



 私が腰に手を当ててぐちぐち言っている綾さんを叱ると、「ぷりぷり怒っている妹ちゃんも可愛いなぁ…」とか全く関係無いことを呟きだした。綾さんはもうダメだね。本当に置いて行こうかな?



 結局、綾さんも渋々ながらギルドからの指名依頼を受けることに賛成し、四人で臨時パーティーとして受けることになった。一度やることが決まればその後の動きは早く、王国方面の調査をした経験もあって手早く必要なものを揃えた私達は、依頼を受けてから一時間後には東の熱帯雨林に足を踏み入れた。




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