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召喚された少女は異世界でうさぎを探す  作者: 白黒兎
第二章 異世界の国々
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47話 天才少女と黒猫魔女と指名理由

「今回は私達がやることはあくまで調査です。討伐は私達の調査の後に無駄にプライドの高い獣王国の戦士達がやるので安心してください」



 私の隣で一緒に歩きながらそう説明する黒いローブを着た少女は、ローブと同じくらい黒いツインテールの黒髪をなびかせ、頭にある黒い猫耳をゆらゆらと揺らし、綺麗な金色の瞳をしたとても可愛らしい顔をした人だ。少女という表現をした通り、見た目だけなら15~17歳くらい。近くで見るともう少し幼い印象も受ける。名前はクーリアさんと言うらしい。



「貴方達のことはセラさんから聞いています。境遇のことも全て。なので、変に隠し事はしなくてもよいですよ」


「なるほどね。そういえば、熾天使さんが『知識の塔』に居る魔人は冒険者時代の時のパーティー仲間って言っていたね」


「ええ。随分と昔の話ではありますがね」



 昔の話とは言いながらも、私達の境遇のことを話せるくらいには信用されているし、交流もあるみたいだ。そんなに仲が良いのに解散になってしまったのにも理由とかあるんだろうな。獣人の姿をしているけど、クーリアさんは魔人だって話だし、その辺に何か理由があるのかも。地雷っぽい感じがするから聞かないけどね。



 さて、改めて今の状況なんだけど、クーリアさんに声を掛けられたことで、私達は半強制的に街道の調査をすることになったんだよね…。今回の問題については、街道まで魔物が出るようになったとか、巣がどこかにあるかもしれないとかその程度の情報しか持っていないんだよね。



「何か準備をするものはありますか?お手数をかけるお詫びに、必要なものの買い足しでしたらお支払いしますよ」


「何かあったっけ?」


「んー折角だからなにかおごってもらいたいけれど…元々簡単な依頼を受ける予定で出てきたし、特に用意するものは無いんだよね。逆に調査に必要なものとかってあるんですか?」


「いえ、基本的には索敵系のスキルや魔力感知などのスキルがあれば大丈夫ですよ。日帰りの収集系や討伐系の依頼の準備が出来ていれば問題無いと思います」


「そうですか。それならば大丈夫ですね」


「…」



 こういう時は綾さんがしれっと何か高いものをそれとなく購入させる方向にもっていくと思っていたけれど、意外にも普通のやりとりをしていて驚いた。いや、ちょっと本音が混じっていたけども。



 私の考えていることが分かったのか、綾さんがすっと口元を私の耳元に寄せてきた。



「妹ちゃんが考えていることはわかるけど、相手はあの熾天使さんの知り合いだからね。下手なことはしないに越したことはないよ」


「なるほどねー…」



 うん。とりあえず理由はわかったけど、こんな大きな道の真ん中で恥ずかしいことしないで。なんかくすぐったいしすぐ離れて!



 私が首をぶんぶんして綾さんを追い払うと、綾さんがくすくすと笑いだした。ぐぬぅ…弄ばれている気がする。



 ふと視線感じて横を見ると、クーリアさんが微笑ましそうに…というよりは懐かしいものを見るような目で私達のやり取りを見詰めていた。うわ!恥ずかしい…。



「こほん。それで、私達は具体的に何をやれば良いのでしょう?…というより、私達が何かやる必要があるのでしょうか?」



 千鶴さんが咳払いしてから話をもとに戻す。そうだよね。あの熾天使さんと一緒に冒険者をやっていたほどの人ならば、私達が手伝う必要なんて無さそうだよね。



 千鶴さんの疑問にクーリアさんは苦笑交じりに口を開いた。



「実は、私はとある事情がありまして、この国の問題事に直接手を出すことが出来ません。今回もアドバイスをするぐらいが限界で、私が直接調査をすることは出来ないのです」


「つまり、調査自体は私達だけでやるってこと?」


「そういうことになりますね」


「えぇ…クーリアさんがやった方が絶対早く終わるのに…」



 私が愚痴っぽくそう呟くと、クーリアさんは「ですが…」と話を続けた。



「貴方達は少しだけ例外になりますので、万が一調査が行き詰った時や危険な目に遭いそうな場合には、私が介入出来ます」


「私達が例外?」


「はい。貴方達は友人であるセラさんから紹介された客人であり、月の領域のうさぎと一緒に旅をしている。だから例外です」


「前半はわかるけど…ルナちゃんと一緒に居ることが例外の理由…?」



 いつものように足元をちょろちょろと動き回っているルナちゃんに視線を向ける。ルナちゃんはこちらの話など興味も無さそうにあくびをしていた。兄様がそんなルナちゃんを見ながらなるほどと頷いてポツリと呟いた。



「…貴女は月の領域の関係者という訳ですか」


「……ええ。正解です。私は月の領域を管理する主の眷族です。なので、月の領域での話も私の耳に入ってきているのですよ。そういうことなので、あの場所の住人である月兎と一緒に居る貴方達を無下に扱うことはありません」



 兄様の答えに返しつつも、クーリアさんの声にほんの少しだけ警戒感が混じっていたのに気付いた私は、すかさず兄様の脇腹にパンチした。



「もう!察しが良いのはいいけど、警戒されるようなことをホイホイと言っちゃダメでしょ!」


「あはは…。ごめんごめん」


「あ~、まぁ、この人はこんな感じで憎たらしいくらい有能な人ですけど、悪いことするような人じゃないんで…」


「分かっていますよ。オボロちゃんが迷惑をかけたらしいですし、主からも『お願い』されていますからね。先ほども言いましたが、貴方達を無下に扱うようなことはしません」



 私達の必死のフォローにクーリアさんが苦笑しながらそう答える。ふぅ。良かった。まーた兄様が変な因縁つけられるのかと冷や冷やしたよ…。



 それからは特にこれといったことも無く、私からクーリアさんに魔法とか魔力についていくつか質問したり、逆にクーリアさんから私達に当たり障りのない雑談をしながら歩いていた。それにしても、クーリアさんと一緒に歩いているからか、妙に獣人達に避けられている気がする。でも無視している感じでもないんだよね。怖いというか、畏れられているというか…なんか獣王国とクーリアさんの関係って一体何なんだろう?



 そして、寄り道もしなかったためかそれほど時間も掛からずに、私達は王国方面の街道に出る門から外に出た。




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