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召喚された少女は異世界でうさぎを探す  作者: 白黒兎
第二章 異世界の国々
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43話 天才少女と獣王国散策

 獣王国にやって来た次の日から街の散策をしているんだけど…。ちょっと面倒というか、いや、うん、面倒なことになったよ。



「ねぇ、アレ置いて行っちゃダメかな?」


「置いて行くと交渉で使えなくなるからダメ」


「ん~…ルナちゃん?あの辺りの食材とかはどのような感じでした?」


「きゅい!」



 千鶴さんがルナちゃんと会話を始めちゃってるよ。っで、私達が何かをやっている訳ではなくて、私達と一緒に行動している兄様がね。まあ、いろいろと、ありまして。



「おおう。やるじゃねぇか小僧。良し、もう一本だ」


「あはは…。じゃあ、次勝ったらこれとこれもよろしくお願いしますね?」


「良いぜ!こんなに楽しいのは久し振りだ!手も足も出ねぇぜ!ガハハ」



 朝からどのお店に寄ってもこんな感じ。ここの獣人さんのお店は特に長いかな?最初は腕相撲一回だけで終わったし。



 兄様が何をやっているのかというと、一応模擬戦になるのかな。さっきも言ったけど、最初は腕相撲から始まって、なんやかんやでいろいろ戦ってここまで来た感じ。



 獣人は強い人が大好きで、腕自慢相手にいろいろと勝負を吹っかけて、それに乗って勝った人には商品を割引にしたり、場合によっては無料になることもあるらしい。店の人が必ずしも戦う訳では無くて、知り合いの腕に自信のある人を呼んだり、人を雇ったりして戦わせることもあるの。自分が戦うだけでなく、戦っているのを見るのも好きみたい。



 兄様とお店の店主の獣人さんが戦っているのはお店の前の一般の人も通っている普通の道だ。なんでこんなに無駄に広いんだろうって思っていたら、こういう時の為だと知って呆れたよ。で、いくつものお店が並ぶ商店街で戦っている訳だから観客が増えに増えて…もう私の身長では何が起きているのか見えていない状況だ。それにしても、獣人の種族によるけど、男性が大柄で女性が華奢でスラっとした人が多い気がする。もうそんな情報を伝えることしか出来ないぐらいなんも見えない。



「…ふむ。果物関係はこちらでしか手に入らない物が多いのですね」



 千鶴さんは本格的に兄様を放っておくことにしたようだ。既に違うお店の方に足を向けていた。私は綾さんと顔を見合わせてから、一緒に千鶴さんの後を追った。兄様は放っておいても大丈夫でしょ。傷ついてもちゃんと治療魔法使ってくれる人も居るみたいだし。獣人相手とはいえ、その辺の人に負けるほど弱くないだろうし…



 千鶴さんが立ち止まって見ているお店は果物系が置いてあるところだった。ラインナップはバナナ、ココナッツとかだね。バナナやココナッツの木がどこかにあるのかな?地球と違うのか同じなのか気になる。



「…どれも美味しそうだけど、収納袋や収納魔法は時間停止しないから早めに食べないとだよ?」


「今買って軽く食事にしちゃえば良いんじゃない?ココナッツミルクとかあるのかな…?すいませ~ん!」



 兄様を中心とした騒ぎが収まるのを待つ間、道の脇にあちこちあるベンチの一つを陣取って私達は休憩も兼ねて食事をすることにした。



「ん~美味しい~!」


「やっぱり日本のやつとはちょっと違う味だけど。もぐ……うん。バナナだね」


「ココナッツミルクはほとんど違いがありませんね。全く違う世界に居るというのに…不思議なものですね」


「んぐんぐ…案外根っこは一緒なのかもねー」


「どゆこと、妹ちゃん?」



 私は口の中に入っていたバナナをココナッツミルクで飲み込んでから、綾さんの質問に答えた。



「生物って海から生まれた訳でしょ?根本的な生まれ方に違いが無いならば、似たような生態系が生まれても不思議じゃないんじゃないかな~…ま、知らないけど」


「テキトーだなぁ」


「テキトーも何も、確証の無いことは憶測でしか言えないからね。この世界の歴史的には神様と精霊がこの世界を創ったって話じゃん?どこまで本当の事か分からないけど、魔法がある世界なんだし、神様が生命体を生み出した可能性も無いことも無いし。そこらへん調べるには結構時間掛かると思うよ?」


「今はこの世界の創造に関して調べる余裕はありませんね」


「そうだね。興味が全くない訳ではないけど」


「まずはデバイスを作って、おねえちゃんを探しながらあちこち回って、安住の地を探さないとね~」



 ごくごくとココナッツミルクを飲み干す。ん~美味しかった。さてさて、兄様はっと…うん。まだやってるね。というか野次馬増えてない?観光人も混ざり始めて収拾がつかなくなっているように見えるんだけど…。まぁ、どうにも出来ないし放っておくか。



「この後どうする?あの調子だと日没まで兄様解放されないかも」


「戦利品に期待だね~。私達は私達であちこち回ろっか」


「では次はあちらに向かいましょう」


「きゅい~」



 あ、ルナちゃんもココナッツミルク飲み終えたみたい。特に気にしてなかったけど、あの小さな手でよく人用のコップを持って飲めるね。



 私の両脇を千鶴さんと綾さんが並んで歩き、ルナちゃんは足元をひょこひょこと歩きながら、私達は商店街を練り歩いていく。観光客も多い首都ということで土産物関係も多いけどちょっとだけ気になることがあった。



「…ひょっとして、魔術具のお店って無い?」


「聖都でも見かけた王手のお店は見掛けたけど、個人店舗は見当たらないね」


「元々獣人は魔法の扱いがあまり得意ではなくて、ほとんどが簡単な身体強化魔法しか使えないそうですよ。トリアさんみたいのは例外的な子のようです」


「ふ~ん」



 魔法が使えない訳ではないけど、魔力の扱いがそこまで得意ではないってことかな?魔術具の制作にはかなり精密な魔力の操作が必要らしくって、かなりのベテラン魔術師でも自分で魔術具を作ることが出来ない人も多いってトリアさんから聞いたなぁ。そう考えると種族的に魔力の扱いがあまり得意でないのに、あれだけ魔法が扱えて魔術具も作れるっていうトリアさんは千鶴さんの言う通り例外的な人だよね。



 聖都にも同じあった名前の王手の魔術具店で少しだけ魔術具を買い足したり、ここでしか買えないらしい香辛料っぽいものをいくつか見付けたのでちょっと値段が張るけど買ってしまった。厳密に言うとここでしか買えないというよりは、他の場所で買うと割高になるんだよね。



 そして商店街をぐるりと一回りしたところで兄様のところに戻ってくると何やら様子が変わっていた。




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