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召喚された少女は異世界でうさぎを探す  作者: 白黒兎
第二章 異世界の国々
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閑話 転生うさぎの随伴

 ガタガタガタガタと揺れる馬車の中、わたしは千鶴さんの腕の中に抱かれながら大きく欠伸をします。



……しかし、馬車はホントに遅いですね。転位でちゃちゃっと移動したい衝動に駆られます。



 隣に座る小学生高学年くらいの見た目の少女…輪音は初めて馬車に乗った時は酔いでずっと気分悪そうにしていましたが、今回は魔法で何かやっているようで顔色は良いですね。ですが、酔いを対策したせいで気が紛れるものが無くなったので暇すぎるのか、先ほどからずっと頭をこくりこくりとしながらうたた寝をしています。



 そんな輪音にさりげなく肩を貸してあげているのが綾さん。彼女は高校の頃から比べるとだいぶ大人の女性になりましたね。唯一わたしの記憶の中で容姿が少しだけ変わっている人です。千鶴さんと輪音と全は変わっていませんね。わたしの記憶があやふやなせいかと思い、永久にも確認してみましたが、この三人は本当に変わっていないようです。



 地球という別世界から人為的に転移された彼女達…わたしの知り合いだったのは果たして偶然だったのか?千鶴さんから当時の状況を聞きましたが、正直なところ分かりません。あくまで予想ですが、わたしがこの世界にやってきた影響で、地球と何かしらの繋がりが出来てしまったということも考えられます。



……いえ、そうなると、わたしがこの世界に来た時のことが説明出来ませんね。



 とりあえず、いくつか推測はありますが、他の神獣達と情報共有した上で判断した方が良さそうです。現状はまだ『アレ』に関係する気配は無いですし、これについては確信の持てる情報を得るまでは後回しでも良いでしょう。



「……ふあぁぁ…」


「妹ちゃん、そんなに眠いなら寝ちゃえば良いのに」


「寝ると魔法が切れて揺れで起きちゃうんだよ」


「なるほどね。寝てる時も維持出来ないの?」


「出来なくないけど、魔力の残量管理が出来なくなるからやってない」


「あ~いざという時に妹ちゃんの魔力が枯渇していると困るからね…」



 こくりこくりと船を漕いでいた輪音が、口元に手を当てながら大きく欠伸をしながら綾さんと会話をしています。現状、彼女達は魔法という概念が前提で成り立っているこの世界で、魔力を持っていない世界から来たために魔法が使えません。ですが、輪音だけは、デバイスという外部装置に魔力が入っており、そこから魔力を使っているという荒業でそれを克服しています。わたしは直接確認していませんが、彼女達が体内に直接魔力を入れると、魔力を貯蔵する働きをする器官が存在しないためか体に何かしら不調をきたすようです。



 全は憎たらしいほどに整った容姿で馬車内の女性達の視線を一手に受けながら、黙々と分厚い本を読んでいます。内容は…大陸各地にあるダンジョンについて書かれた本ですね。…あの中にオボロのダンジョンは載っているのでしょうか?ちょっと気になりますね。



 千鶴さんは目を閉じて仮眠しているようです。この人ならば何かあればすぐに起きるでしょうから、休める時に休んでもらった方が良いでしょう。常日頃、輪音や綾さんを気に掛けているようですし。…今は教師ではないのですから、もう少し自分のやりたいことをやれば良いと思うのですけどね。



 ガタゴトとのんびり移動する馬車旅は平穏のまま続き、やがて聖国と獣王国の境界門を抜けてついに輪音達は初めての聖国以外の国に足を踏み入れました。



 浮足立つ輪音を横目に見ながら、わたしは面倒な事が起こらないことを祈りつつ、彼女達の旅路についていくのでした。




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