幼き日のリィラ
本編とは別です。不定期投稿ですがよろしくお願いします。
これはリィラが幼い頃の記憶、村での思い出。
緑豊かな山奥の森の中を駆け抜ける茶髪の少女がいた。
その背中には弓を背負っている。
「外した!」
その少女リィラが狙っていたのは大きな猪の様な風貌をした獣、"アグニル"と呼ばれている。
その肉は村でも美肉と評されお祝い事がある度に用意される事が多い。
「やばっ!」
リィラが狙った事が分かったのか、その猪は憤慨したのか、リィラに向かい突進して来る。
その大きさは見上げる程では無いが少女の顎程までその頭頂部は高さがあった。
リィラはその事態を目の前にしても臆する事なく立ちはだかった。
そしてアグニルに手をかざす。
「"おやすみなさい"」
そして、母であるリペアの"真似"をした。
突如アグニルはリィラの横を滑る様にねむった。
「やった、今日はアグニルの肉が食べられる!」
「リィラ! 心配しましたぞ!」
「あっ、グラウおじさん! 大丈夫だよ!」
ドカドカとリィラの後ろを走ってくる茶色い鱗が生えた竜がいた。
全速力だったのか膝に手を突き息を切らしている。
「ハァッ……そうか……んっ? これはアグニルか? リィラ! まさかやったのか!?」
「うん」