3…いつものこと
ずりずり
私は今廊下に転がっている高橋くんを保健室まで運んでいくことにしました。
ずりずり
「あのさー。」
ずりずり
なんて心優しいんでしょう。
「やまだー。」
ずりずり
「…なんですか?」
せっかく親切に保健室まで運んでやろうと思いましたのに。
「やあ気持ちは嬉しいんだけどさ、もう少し優しくつれてってくれないかなーなんて。」
高橋くんの右足を持って引っ張っていたのですが。
「お姫さまだっこでもしろと。」
「やあそうじゃ…」
「か弱い私にスカートめくりしたあげく自業自得で怪我した男を、お姫さまだっこで保健室まで運べと。」
「だからそ…」
「スカートをめくりたいという欲望に勝てずさらに…「いい加減しゃべらせてくれよ!!!」
はぁ。鈴ちゃんは可愛いから叫んでてもおっけーなのですが…こう、むさくるしい男が叫んでても…ねぇ?嫌悪感が込み上げるというか。
「ねぇ聞こえてるって。」
か弱い女の子に右足を捕まれ、仰向けに寝転がったままつぶやく姿はなんともいえないものです。
「その、哀れみとも蔑みとも言えない目で俺を見ないで。」
はぁ…と軽くため息をつき私は持っていた右足をはなしました。
「いでッいきなりはなすな!!!」
かかと結構打ち付けちゃったみたいですね。
高橋くんは廊下で取れ立ての魚のようにのたうち回っています。
「いてー。」
いや、今のあなたの姿が何よりも痛いです。
キーンコーンカーンコーン
あ、ちょうどよく授業開始の合図です。
「やまだー。1限移動教室だよ。」
あ、いつのまにか鈴ちゃんが帰ってきました。
まるで何事もなかったかのように振る舞う鈴ちゃんはやっぱり大物だと思います。
廊下に転がっている高橋くんを全力でスルーしてるあたりも。
「あら、急がなくてはなりませんね。」
「あー!!!宿題家に忘れた!!!」
相変わらずさわがしいです。
まあいつものことですけど。
「とりあえず教室行きましょうか。」
「急ぐわよ!!!」
鈴ちゃんはいつもアクティブです。
私たちの一日はいつもこのような始まりです。
さぁ先生が来る前に教室に入らなくては。
あれ?
なにか…?
ま、いっか。
どうも高橋です。
授業開始のチャイムがなったため、廊下はまったく人気がなくなりました。
おいてかれちゃったよ。
まあいつものことですけど。
べ、別に寂しくなんかないもんね。
ねっ!!!
はじめまして、サキです。つたない文章ですが、暇潰しにでも読んでもらえたら嬉しいです(*^^*)