厄日
※アキト視点では、文章が少し変わっております
アキトは状況を解説することはしないため、代わりに擬声語を使っております。
状況が分かりにくいかもしれません。
・・・ここだ。
ギイィィィ・・・、カランカランッ・・・(扉を開き、ドアベルが鳴る音)
「いらっしゃい!」
・・・。
・・・いた。
「・・・おい。」
「ん?」
「・・・。」
「おっ、誰かと思えばアキトさんじゃーありませんか!」
・・・。
・・・猫の付け耳。
・・・相変わらず。
「・・・時間がない、・・・手短に言う。」
「はいはい、了解です。」
「・・・ 人狼 についての情報、・・・ないか?」
「人狼・・・? なんでそんなモノを・・・。」
「・・・時間はない。」
「はいはい・・・、人狼ですね。」
パラパラパラ・・・(女性が取り出した本をめくる音)
・・・。
・・・・・・。
「ごめんなさい。 なにもないわね・・・。」
「・・・そうか。」
・・・。
・・・ならば。
「・・・なら、・・・頼めるか?」
「 人狼 の情報の入手ですか?」
「・・・ああ。」
・・・。
・・・西の国がダメなら、・・・他の国へ行けばいい。
・・・だが、・・・まだ俺は、・・・他へは行けない。
「・・・。」
「わかりました。 アキトさんの頼みですもんね。」
ガタッ(女性が勢いよく椅子から立ち上がる音)
「しばらくは休業となりますね。」
「・・・。」
・・・。
・・・相変わらず、・・・恐ろしいほど従順だ。
「言っておきますが、「すまない」なんて思わないでくださいよ? 私はあなたに"恩"がありますからね。」
「・・・。」
ガバァ(女性がコートを羽織る音)
「では、行ってきますね。 アキトさんも店から出てください。」
・・・。
・・・・・・。
バタン!(扉を閉める音)
「行ってきます。」
「・・・頼んだ。」
「はい!」
タッタッタッタッタッ(女性が足早に出かける音)
・・・。
・・・これで、・・・少なからず情報は入るだろう。
・・・。
・・・あの町へ戻るか。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・!?
・・・奴だ。
・・・どうやら、・・・終わったようだな。
・・・後をつけるか。
・・・。
・・・そういえば、・・・アイツは。
・・・・・・。
・・・後でもいいか。
数分後・・・。
・・・。
・・・・・・。
・・・どこへ向かっている。
・・・。
・・・この方向は、・・・外か?
・・・別の町へ、・・・行く気か?
さらに、数十分後・・・。
・・・またか。
・・・また、・・・この町に戻ってきたか。
・・・当然、・・・シェリアの店も見える。
・・・この町の住人か?
・・・。
・・・この町には、・・・何度も来ている。
・・・だが、・・・こんな奴は見たことない。
・・・一体、・・・何者だ?
「おっと兄貴、来ましたね。」
「ああ。 ヤツは来ているか?」
「はい。」
・・・。
・・・建物の中へ入っていく。
・・・見張りが邪魔だ。
・・・だが、・・・悪党だという証拠はない。
・・・処罰はできない。
・・・仕方ない。
・・・あの手を使うか。
数十分後・・・。
・・・ようやくだ。
・・・大体、・・・15回ほどか?
・・・聴力を高めるだけだから、・・・意外と早かった。
・・・。
・・・さて、・・・聞くとするか。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・。
・・・!
・・・・・・?
・・・・・・、・・・!?
・・・!?
・・・これは。
数十分後・・・。
「どうでした?」
「また、よろしくだとさ。」
「そうですか。」
・・・。
・・・さっきの男か。
・・・どこへ、・・・歩いていくのか。
・・・だが、・・・今はいい。
・・・問題は、・・・話していた男だ。
・・・嫌な予感が。
・・・近々、・・・大事が起きる可能性が。
・・・。
・・・噂をすれば、・・・出てきたか。
・・・。
・・・ローブを羽織っているか。
・・・危機管理は、・・・ちゃんとしているようだ。
・・・さて、・・・奴を追うか。
・・・人目のない場所へ、・・・奴が行くのを待とう。
数分後・・・。
・・・。
・・・平原。
・・・この辺りでいいか。
・・・奴の正体を、・・・暴く。
タッタッタッタッ(アキトがなるべく小さな足音で走っている)
ガキンッ!!(アキトが何者かに真横から殴られた音)
ダンッ!(吹っ飛ばされたアキトが地面に強くぶつかる音)
・・・!?
・・・なんだ、・・・一体。
「危機一髪、というところだったな。」
「はい? え、・・・ひっ!?」
・・・。
・・・さっきの男か。
・・・厄介なことになった。
「死にたくなければ、早く逃げることだ。」
「わ、わかった・・・!」
トタタタタタ・・・(ローブの男が走って逃げた音)
・・・。
・・・逃したか。
・・・だが、・・・今はそれより。
「何者かは知らねえが、どうやら生かしちゃおけねえヤツらしいなぁ!!」
ドドドドドド(男が全速力でアキトに近付く音)
・・・。
サッ・・・(大男のパンチをアキトがしゃがみながら避けた音)
・・・。
・・・話の内容から、・・・コイツは悪党だ。
・・・ならば、・・・処罰するだけだ。
ドカァ!!(立ち上がりながら勢いよく大男にアッパーカットを放った音)
「グオオオォォォー・・・。」
・・・。
・・・さすがにまだ、・・・気を失わないか。
「や、やってくれるじゃねえか・・・。 ならば俺も容赦はしねえ・・・!」
ダッ・・・!!(大男が大きく飛び上がった音)
・・・!?
・・・なんだ、・・・あの脚力は!?
・・・それに、・・・あの構えは。
・・・まさか、・・・ダブルスレッジハンマーか。
ダッ、ダン!(アキトが前方へ走り、回転しながら避けた音)
ダァァン!!!(アキトが避けたことにより、大男が地面にダブルスレッジハンマーを放った音)
「ちっ・・・、避けやがったか。」
・・・。
・・・わかったことは、・・・コイツは強い。
・・・油断をしては、・・・ならない。
「ウゥォォリアァァァー!!!」
・・・単純な右ストレート。
・・・横にかわすか?
・・・いや、・・・横に振られると当たる。
・・・後方に跳ぶか。
・・・攻撃終了後、・・・再攻撃を仕掛ける。
ダッ!(アキトが後方に跳んだ音)
「ククッ・・・。」
・・・?
・・・今、・・・笑ったか?
・・・なぜだ?
ダァン!!!(大男の拳から衝撃波が放たれた音)
・・・なんだと!!?
バァアン!!!(衝撃波に弾き飛ばされた音)
・・・んな、・・・バカな。
ボカァン!ボコォン!!(大男が倒れたアキトに急接近して殴りまくる音)
・・・。
・・・痛みはない。
・・・だが、・・・身体が動かない。
・・・。
・・・チッ。
・・・。
・・・・・・。
・・・蘇生完了。
・・・奴が、・・・あんな技を使うとは。
・・・予想外だ。
・・・バカ野郎。
ガバァ!!(着替えを完了してマントを羽織る音)
・・・。
・・・奴はどこだ?
・・・遠くへは、・・・行ってないと思うが。
「んお!!?」
・・・。
・・・・・・。
・・・厄介なことになった。
「あれ、今・・・光が・・・、その中から、え、えっと・・・、えっ・・・!!?」
・・・。
・・・一番知られたくない奴に、・・・見られちまった。
「あー、えっと説明してくれるかな?」
「・・・。」
「もしかして、取り込み中?」
「・・・そうだ。」
「そうかぁ・・・。」
・・・。
・・・チッ。
・・・今は、・・・奴を探す方が先だ。
「えっと、もしかして全身に刺青を入れた大男だったりするか?」
「・・・なぜ、・・・それを。」
「あそこで倒れてるぞ。」
・・・。
・・・奴だ。
・・・だが、・・・なぜ倒れている?
「誰かを殴っているのを見かけたから、ちょっと話を聞こうと声をかけたら突然襲い掛かって来たんだよ。 んで、いわゆる正当防衛ってヤツさ。」
「・・・。」
「しっかし、殴られていたのがアンタだったとはな。」
・・・。
・・・一人で、・・・倒したのか。
・・・実力は、・・・やはり本物なのか。
「んでさ・・・、そろそろ教えてくれないかなぁ・・・。 アンタの秘密。」
「・・・。」
「一応言っておくが、俺は真面目に聞いているんだぞ。 それは分かってくれ。」
「・・・。」
・・・。
・・・チッ。
数分後・・・。
「蘇生術・・・?」
「・・・ああ。」
「そんな夢みたいな話・・・と言いたいところだが、実際に目の当たりにしてるしなぁ・・・。」
「・・・。」
・・・。
・・・・・・。
「アンタの強さの秘密はそれか・・・。」
「・・・ああ。」
「そりゃ悪党どもが勝てないわけだ・・・。」
「・・・。」
「なぁ・・・、ちょっと口元の布を外してくれねえか?」
「・・・なぜだ。」
「いや、素顔を見損ねたからさ。」
「・・・断る。」
「チェッ、そうかい。」
・・・。
・・・コイツは、・・・なにを考えているんだ。
「・・・言っておくが、・・・話すなよ。」
「ハハッ、分かってるって。 こう見えて口は堅いんだぜ、俺。」
・・・。
・・・信用できん。
「"信用できない"って感じだな。」
「・・・。」
「まあ、アンタは色々な人間を見てきたであろうからな。 簡単に人を信用できないのだろう?」
「・・・。」
・・・。
・・・間違ってはいない。
「じゃあさ、信頼の印として飲みにでも行かねえか?」
「・・・?」
・・・。
・・・コイツ。
・・・一体、・・・なにを言ってるんだ?
「へぇー、そんな顔もするんだな。」
「・・・なにが、・・・目的だ?」
「目的・・・?」
・・・。
・・・コイツは、・・・ある意味不気味なヤツだ。
・・・予想不可能だ。
「まあ、そうか。 俺たちってまだ付き合い短いし仕方ねえな。」
「・・・そういう、・・・問題ではない。」
「へ?」
「・・・俺に、・・・かまうな。」
ダッダッダッダッ!(アキトが倒れた大男に近づく音)
・・・。
・・・コイツは、・・・見た範囲なら"小悪党"か。
・・・だが、・・・問題はもう一人の方だ。
・・・ヤツは、・・・なにかを起こす。
・・・探さねば。
「なぁ・・・、なにかあったのか?」
・・・。
・・・そういえば、・・・コイツは。
・・・教えておくべきか。
「・・・近々、・・・大事が起きる。」
「え?」
「・・・城内に、・・・悪党がいる。」
「!?」
・・・話の内容から、・・・あの人物は城の住人。
・・・既に不穏だ。
「し、城に悪党が・・・?」
「・・・ああ。」
「なんかの冗談・・・か?」
「・・・。」
・・・。
・・・不穏だ。
・・・とりあえず、・・・あの男娼のところへ行くか。
・・・時間をかけすぎた。
ザッザッザッザッザッ(アキトがゆっくりと草むらを歩く音)
「お、もう行くのか。」
「・・・。」
「あー、前も言ったが、『道』を間違えたらその時は遠慮なく斬るからな。」
「・・・。」
・・・。
・・・・・・。
「んじゃ、じゃあな"紅い悪夢"」。
「・・・。」
・・・。
・・・チッ。
「・・・アキトだ。」
「え?」
「・・・俺は、・・・アキトだ。 ・・・二度と、・・・その名前で呼ぶな。」
「おおっ、ほほっ。 わかった、アキト。」
・・・。
・・・なぜ笑った。
・・・まあ、・・・いい。
・・・行くか。




