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3/33

全ての始まり

ガチではなく趣味程度に小説を書きますが、よろしくお願いします。


無計画で、よく考えもせずに、ノリだけで話を書きます!!


 痛い・・・痛い・・・。


 体から俺の血が流れ出てくる・・・。


 俺は・・・死ぬのか・・・?


 ふっ・・・。


 なんて・・・情けない最期だ・・・。


 銀行強盗なんかに・・・負けちまうとは・・・。


 情けねえ・・・。


 役立たずじゃねえか・・・。


 ハハハハハ・・・。




 ・・・。




 ・・・・・・。







≪力が欲しいか?≫



 ・・・声?



≪力が欲しいか?≫



 ・・・力・・・か・・・。


 そうだな・・・。


 力が・・・欲しいな・・・。



≪そうか、欲しいか。≫


≪なら、どういう力が欲しいか?≫



 どんな力か・・・。


 そうだな・・・。


 誰にも負けない・・・。


 決して・・・誰にも負けない・・・、悪党に負けない・・・力・・・。


 そんな力が・・・欲しい・・・かな・・・?



 ・・・はは、なに言ってんだろ・・・。




≪願いは聞き入れられた。≫











 ・・・ん?

 俺は死んだのか・・・?


 起き上がって周りを確認してみた。

 どうやら森の中らしい。


 ・・・ここはどこだ?


 先程まで銀行に居たはずだが・・・。

 ・・・って、さっきまで刺されて血が出ていたはずだが・・・。

 一体どうなってんだ・・・?



 ここは天国か?

 それとも地獄か?


 ・・・とりあえず、(ほほ)を叩いてみた。


 ・・・いてえな。

 あの世でも痛覚(つうかく)ってあるのかな?



 とりあえず歩くかな・・・?



 ん?

 なんか近付いてきている?




 ドガァァァーン!!!




 ・・・。

 一体なんだ・・・?

 体が宙を舞っている・・・?


 ドシンッ!!


 木にぶつかったかと思うと、今度は地面に勢いよく落下した。


 ・・・体が変な方向に曲がってしまった。

 すごく痛くて・・・すごく苦しい・・・。

 指を動かすことさえ辛い・・・。


 ・・・一体なにが起きたんだ?

 というか、なにが起こっているんだ・・・?



 ・・・う。

 また意識が・・・。



 ・・・。






 ・・・ん?

 あれ・・・。


 気が付けば、先程と同じ森の中で突っ立ていた。

 体が無性に寒い・・・。

 ・・・って俺、裸じゃねえか!!

 なんでだ・・・?


 体に怪我はなかった。

 体の骨も問題はなかった。


 ・・・あれは夢だったのか?

 だが、先程と同じ場所だな・・・。


 ・・・だが、明らかに先程とは違っていた。

 まず、目の前に大きなクマがいた。

 その光景にも驚いたが、もっと驚くべきモノがあった。



 ・・・何だ、この落ちているモノは・・・。

 これ・・・「人間」か・・・?

 ・・・っていうかコレ・・・もしかして・・・"俺"か・・・!!?



 明らかに俺の姿をしていた。

 体が変な方向に曲がった俺の死体だった。

 それを俺が見ている。


 ・・・なんなんだコレは!?

 一体なにがどうなっているんだ!!?




 俺がそんな感じに混乱していると、目の前のクマが近付いてきた。

 ・・・どうやらやる気のようだ。


 訳が分からないが、とりあえず俺は目の前のことに集中した。

 裸のままだが、そうも言ってはいられねえか・・・。

 クマを相手に戦闘態勢になる。

 自慢じゃないが、俺は強いんだぞ。


 クマが腕を突き出して攻撃してきた。

 俺はすぐに攻撃をかわし、反撃をした。

 クマのボディにキツイ右ストレートを放った。



 ・・・だが、クマは全く微動もしなかった。

 若干慢心(まんしん)していた俺は、次のクマの攻撃をかわせなかった。

 胸にクマの鋭い爪が突き刺さり、体を貫通した。


 俺は・・・血を吐き・・・そして・・・。



 俺にもっと・・・、筋力があれば・・・。






 んわぁ!!?

 俺は、俺はどうしたんだ!!?

 ・・・あれ、体がなんともない!?

 裸のままだが・・・。


 俺は体の刺された部分を触った。

 しかし、体はなんともなかった。


 ・・・ん?

 いや待て。

 俺ってこんなに胸板(むないた)が厚かったっけ?

 き、気のせいかな・・・?



 そんなことより、もっと気にするべきことがあった。

 目の前にまたクマがいる。

 どうやら夢ではなかったようだ。

 ・・・そして、俺そっくりの死体がまた床に落ちていた。

 しかも二つも・・・。

 その内の一つ、服を着ている方はミイラのように()からびていた。


 一体どうなってるんだ・・・。

 これって、死んだらまた復活しているってことか・・・?

 俺はどうなっちまったんだ・・・。

 というか、「どうなった」ってレベルの問題じゃねえ・・・。



 と、とりあえず目の前のクマをなんとかしねえと・・・。


 俺は再び戦闘態勢に入った。

 今度は先手必勝だ。

 再び右ストレートをクマに放った。

 だが、今度は頭に向かってだ。



 ドゴォン!!



 手ごたえはあった。

 実際にクマの頭が向こうに回っていた。

 そしてクマはバランスを崩し、後ろに倒れた。


 ・・・チャンスだ!

 このまま攻める!!


 俺はクマに馬乗りになり、何度も顔面を殴った。

 明らかに攻撃が通っていた感覚がした。


 いける!

 これはいけるぞぉ!!



 ・・・と思ったのは一瞬だけだった。

 クマは体を暴れさせ、俺を吹っ飛ばした。

 そして地面に倒れた俺の腹部に爪を刺した。


 俺は・・・また・・・。






 ・・・まただ。

 これはもう・・・確定だな。

 どうやら俺は、死んでも生き返るらしい。

 だが普通に生き返るのではなく、新たに誕生して生き返る形らしいな。

 実際に目の前には俺の死体が三つもある。

 その内二つは完全に腐っているが・・・。


 クマはまた突っ立っていた。

 だが、顔の怪我はそのままだった。

 この怪我が、夢でないことの証拠だな。


 しっかし・・・、なぜこのようなことになっているのだろうか?

 まったく理解できん・・・。


 ・・・とりあえず、クマを倒してから考えるとしよう。








 ・・・それから何十回俺は死んだのだろうか。

 胸を爪で突き刺され、腹を爪で刺され、頭を喰われ、体の骨を砕かれた。

 そんなことが続いた。


 戦っていくうちに、クマが俺を不思議な目で見ていたこともなんとなくわかった。

 まあ、何度も生き返っている光景はクマじゃなくとも驚くだろうな・・・。

 俺自身だって、何故このようなことになっているか全く理解不能だった。

 ただ、クマを倒すまでは深く考えることをやめていた。



 戦う内に、だんだんクマと対等になってきた。

 きっかけは俺のある変化だった。


 ついさっき俺は胸板の厚さを気にしたが、それは間違いではなかった。

 その後も俺の体には(いく)つか変化があったからだ。

 胸板以外にも、爪の硬度、歯の鋭さ、身体の柔らかさ、そして毛髪の減少だ。

 なぜだか分からなかったが、俺が死ぬ度に変わっていった。

 ・・・だが、数回死んでついに気付いた。

 全部、死ぬ直前に俺が望んだことだった。


 「爪が頑丈だったら」、「歯が鋭かったら」、「身体が柔らかかったら」、「もう少し髪が少なかったら」と。

 実際胸板のときも、思い返したら俺は筋力を欲しがっていた。

 それが叶ったのだ。




 そして数十回の死の末、俺はついにクマを討ち取った。

 クマを地面に倒し、首を()み千切ったのがトドメだった。






 さて、クマを倒したことだし、本題に入ろう。


 俺は俺の死体から服とズボンを脱がせ、それを着た。

 思えば、ずっと全裸で戦っていたのか・・・。

 まあ、服を着る暇が無かったからな。



 俺は銀行で殺されたはずだが、森の中にいた。

 これに関しては、全くわからん。

 とりあえず、今は置いておこう。



 もう一つは、俺が死んでも(よみがえ)ることだ。

 そして蘇る内に俺の体は理想通りに変わっていった。

 これも不明だが、一つ思い出したことがある。


 あの不思議な「声」だ。

 確か「≪力が欲しいか?≫」だったか。

 あれが関係あるのだとしたら、俺が望んだ『決して誰にも負けない力』というのが、この能力のことか?


 ・・・確かに死ぬことはあっても負けはしないな。

 そして、俺の理想の身体にもなれるしな。

 もしそうなら、「違う、そうじゃない」とツッコミたいところだが・・・。




 ・・・だが、確かにこの力なら俺の理想を叶えることができるかもしれん。


 俺の理想・・・『悪党たちから人々を守る』・・・。


 ・・・できるかもしれない。

 この力があれば・・・。




 とりあえず、この森を抜けよう。


 ここは、どこなんだ・・・?






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