出会いと再会
※アキト視点では、文章が少し変わっております
アキトは状況を解説することはしないため、代わりに擬声語を使っております。
状況が分かりにくいかもしれません。
「アキトさん、こんにちは。」
「・・・ストーカーが。」
「違います! 本当に偶然ですって!!」
「・・・偶然が続くな。」
「本当なんですって・・・。」
・・・本気な顔してやがる。
・・・マジで、・・・偶然なのか?
「・・・なにか用か?」
「あ、そうでした。 コレを渡すように頼まれてまして。」
・・・手紙か。
・・・また、・・・呼ばれているようだな。
「では、私はこれで。」
トタタタタタ(シルヴィアが走り去る音)
「・・・。」
・・・これで何度目だ。
・・・本当に偶然なのか?
・・・今夜も呼び出された。
・・・だが、・・・今回は違う。
・・・あの男だ。
「昨日の夜、人狼が出やがった。」
「・・・。」
「念のため聞くが、人狼は知ってるか?」
「・・・ああ。」
・・・前に聞いたことがある。
・・・だが、・・・誰からだったか。
「まさか、お前じゃねえよな。」
「・・・。」
「冗談だって。 そんな怖い顔で睨むなよ。」
・・・睨んでない。
「ともかく、「危険なヤツが彷徨いている」ということを伝えておく。」
「・・・なぜ俺に。」
「さあな。 なんとなく思いついただけだ。」
・・・。
・・・コイツは一体、・・・なにを考えている。
「・・・それだけか? ・・・俺はもう行くぞ。」
「ああ、時間をくれてあんがとな。」
・・・食えない奴だ。
次の日・・・。
・・・人狼。
・・・一応、・・・ジュンナに聞いておくか。
・・・。
「あれ、あなたは・・・!!」
・・・?
・・・なんだ?
・・・だがこの声、・・・聞き覚えが。
「やっぱりアキトさんだ!」
・・・。
・・・また、・・・会っちまったか。
・・・確か、・・・なんだったか?
「・・・。」
「怪我は大丈夫そうですね。」
・・・名前は、・・・なんだったか?
・・・花屋。
・・・花。
・・・百合の花。
・・・百合。
・・・。
・・・“リリアン”、・・・だったか。
「これからお仕事ですか?」
「・・・ああ。」
「頑張ってください!」
・・・相変わらず、・・・笑顔を崩さない。
・・・不思議な女だ。
「あの、すみません。」
「あら、なんですか?」
・・・?
・・・冒険者、・・・か?
「リリアンさんでお間違いないでしょうか?」
「は、はい。 私がリリアンです。」
「そうですか。 これを届けに来ました。」
・・・手紙か。
・・・ということは、・・・郵便配達の依頼か。
「ありがとうございます。」
「では、私はこれで。」
コンコンコンコンコン(冒険者が歩き去った音)
「・・・。」
「あら、またあの子からだわ・・・。」
「・・・誰だ?」
「あ、えっと、南の国に住んでいる妹からです。」
・・・南の国。
・・・確かジュンナが、・・・前に言ってたな。
・・・「海が綺麗」と。
「たまにこうして私に仕送りを要求してくるのですよ。」
「・・・なんだと?」
「私の妹は働かず遊んでばかりで、両親が亡くなった今は私が生活費を出しているのです。」
「・・・。」
「あ、すみません。 余計な話をしてしまいましたね。」
・・・当然だが、・・・他国にも悪党はいる。
・・・いつか、・・・南の国にも。
「あの、アキトさんは花を買ったりします?」
「・・・いや。」
「綺麗でいいですよ。」
「・・・。」
・・・花か。
・・・今の俺には、・・・必要ない。
「これなんかどうです? 赤いバラです。」
「・・・。」
「アキトさんのマントと同じ色ですよ。」
「・・・。」
「花言葉は『愛情』、『情熱』などがあります。」
・・・。
・・・愛情、・・・情熱。
「・・・それは、・・・俺には似合わない。」
「そうですか・・・?」
・・・愛情、・・・情熱。
・・・今の俺には、・・・無縁な言葉だ。
「赤いバラの花言葉は他にもありますよ。 例えば・・・。」
「・・・もういい。 ・・・俺は行く。」
「え、あ、はい・・・。 頑張ってください。」
・・・赤いバラ。
・・・愛情、・・・情熱。
・・・今の俺は。
数十分後・・・。
・・・いた。
「・・・おい。」
「アキト! そろそろ来る頃だと思ってた。」
「・・・。」
・・・店の前で、・・・待っていたのか?
「あ、紹介するわ。 こちらは男娼の風俗で働いているアキラくん。」
「・・・?」
「は、初めまして・・・。」
・・・男娼?
・・・女みたいだ。
・・・女物の服を着てるし。
・・・見た目もかなり。
「実は、今日は特に情報が無くてね・・・。 そのことを先に伝えようと思って。」
「・・・そうか。」
・・・情報は無し、・・・か。
・・・まあ、・・・仕方ない。
・・・。
・・・?
・・・そうだ。
「・・・聞きたいことがある。」
「え?」
「・・・人狼を、・・・知っているか?」
「人狼・・・?」
・・・。
・・・ジュンナなら、・・・もしかすると。
「ごめん。 人狼に関連する情報は無いわね・・・。」
「・・・そうか。」
「なに? 人狼のことでなにかあったの?」
・・・。
・・・まだ出回っていないのか。
「・・・昨日の夜、・・・現れたらしい。」
「へぇー・・・。」
・・・なにをしたかは、・・・全く知らないが。
・・・だがヤツの話だと、・・・悪党である可能性が高い。
「・・・情報入手、・・・頼んだ。 ・・・俺は、・・・もう行く。」
・・・まあ、・・・ジュンナならすぐだろ。
・・・また後日。
「あ、待ってアキト。」
「・・・?」
「実は、アキラくんがちょっと面白い話を持っててね。」
「え、ジュンナさん・・・!?」
「・・・?」
数十分後・・・。
「すみません、居心地悪いですよね・・・。」
「・・・いや、・・・大丈夫だ。」
・・・女性客もいれば、・・・男性客もいる。
・・・よく人前でヤれるな。
「個室の方が良かったですか・・・?」
「・・・どっちでもいい。」
・・・ここまで騒がしいと、・・・あまり変わらん。
「あ、あの・・・、アキトさんはその・・・、ソッチ方面に興味は・・・?」
「・・・ない。」
「そ、そうですよね・・・。」
「・・・だが、・・・情報をくれるなら、・・・身体を差し出してもいいぞ。」
「え、ええ!?」
・・・俺は悪党を処罰する。
・・・そのためなら。
「・・・で、・・・話とは?」
「ああ、はい。 実は最近怪しいお客様がご来店するようになりまして・・・。」
「・・・怪しい、・・・客?」
「はい・・・。 全身に刺青を入れた不気味な人が・・・。」
・・・全身に、・・・刺青。
・・・実に怪しい。
「それで、もしかしたら危険な人なのかなと・・・。」
「・・・なるほど。」
・・・一箇所ではなく、・・・全身。
・・・明らかに危険人物だろう。
・・・あとは、・・・実物を見れれば。
「あ、あの、アキトさん。」
「・・・なんだ?」
「あの・・・、膝の上に乗ってもいいですか? 向かい合わせで。」
「・・・なぜだ?」
「この店は「そういうこと」をする場所ですし、このまま話しているだけだと逆に目立ってしまいます・・・。」
・・・確かに。
・・・俺ら以外は皆、・・・。
・・・仕方ない。
「・・・わかった。」
「すみません、・・・失礼します。」
ギシ・・・(アキラがアキトの膝の上に座ったことにより体重でソファが軋む音)
「スカートで隠れてますし、周りから見たら完全に・・・。」
「・・・。」
・・・。
・・・まあ、・・・まだマシか。
「・・・。」
「すみません、気持ち悪いですよね・・・。」
「・・・。」
「実は僕、同性愛者なのです・・・。」
・・・知っている。
・・・そういう風な反応を、・・・してたからな。
「変ですよね・・・、男が男を好きになるなんて・・・。 ひっく・・・。」
「・・・なぜ、・・・泣く。」
「昔・・・、色々あったのです・・・。」
「・・・。」
・・・。
・・・はぁ。
「・・・確かに、・・・同性愛者は変わっている。 ・・・少子化の原因を、・・・作っているかもしれない。」
「グスッ・・・。」
・・・。
「・・・だが、・・・悪いことではない。」
「え・・・?」
「・・・人を愛することは、・・・素晴らしいことだ。 ・・・それがただ、・・・相手が同性だっただけだ。」
「アキトさん・・・?」
・・・。
「・・・胸を張って生きろ。 ・・・俺はお前を、・・・処罰しない。」
「・・・!!」
「・・・お前は、・・・そのままでいい。」
「ア、アキトさん・・・。」
・・・。
・・・ちっ。
・・・らしくない。
「あ、あの・・・、アキトさん。」
「・・・。」
「その・・・、少しだけ胸に寄りかかってもいいですか?」
「・・・。」
「え、えっと・・・、少し疲れてしまって・・・。」
「・・・勝手にしろ。」
「は、はい・・・!」
・・・。
・・・体重をかけても軽い。
・・・本当に、・・・男なのか?
・・・華奢だし。
・・・髪も、・・・綺麗だ。
「ラッシャー!! ドンダー様のお出ましだぁー!!!」
・・・なんだ?
・・・。
・・・なるほど。
・・・奴がそうか。
「(来ました。 彼が例の方です。)」
・・・全身刺青。
・・・分かりやすい。
・・・筋骨隆々。
・・・体格がいい。
「おい、話題のボーイはどこだぁ・・・?」
・・・話題の、・・・ボーイ?
「(どうやら、狙いは僕のようですね・・・。)」
「・・・。」
・・・。
・・・どうするか。
「(大丈夫、任せてください。)」
ギシ・・・(アキラがアキトの膝の上から降りたことでソファが軋んだ音)
タタタタタ・・・(アキラが早歩きでドンダーのもとへ向かう音)
・・・。
・・・果たして、・・・どうなるか?
「僕です。」
「ほぉ〜・・・。 これはこれは可愛らしい。」
・・・。
「よし、奥に行こうぜぇ〜。」
「は、はい。」
タッタッタッタッ(二人が奥の部屋に行く音)
・・・。
・・・・・・。




