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町内捜索終了


 ガンダリオスさんは町中を走り回った。

 魔物(モンスター)を発見すれば情け無用に殺し、その死体を兵士に処理させていた。


 いつしか6人の兵士たちが集まっていた。


「もう一度町中を回るぞ。」

「わかりました!」


 ガンダリオスさんの命令に従い、兵士たちはぞろぞろと後ろを歩く。

 ガンダリオスさんの隣で歩いている私は、とても気まずかった。


「そういえば隊長。 隣町でまた「例の殺人鬼」が出たというのは本当ですか?」


 兵士の一人がガンダリオスさんに話しかけた。

 「例の殺人鬼」とは "アキト"さん のことであろう。


「ああ、そうらしい。 数日前の山賊団の件もそうだが、未だ暴れまわっているようだな。」


 ガンダリオスさんは冷静に話をしていた。

 すると小声で一言、言葉を繋げた。


「いつか、この手で捕まえてやる・・・。」


 確かにそう言っていた。


 どうやらガンダリオスさんはアキトさんに反発的のようだ。

 だが、それは決して間違いではないことは理解している。


「あの・・・、やはり「例の殺人鬼」のことは快く思っていないのですか・・・?」


 恐る恐る彼に聞いてみた。

 すると彼は、歩きながら冷静に答えてくれた。


「当たり前だ。 悪党ばかりを殺しているらしいが、殺人鬼は殺人鬼だ。 野放しにはできない。」


 彼はキッパリとそう言った。


「キミは彼を支持するのか?」

「え!?」


 いきなりの質問に私は驚いてしまった。

 ・・・ここは正直に言った方がいいのかな?


「支持をしているならそれでもいい。 それは個人の自由だ。」


 彼は特に怒りなどはせず、冷静にそう言った。

 彼は予想以上に人間ができているようだ。


「いえ・・・。 ただ彼の行動は、良くはないが悪くもないと思ってしまうのです。」

「そうか・・・。 まあ、そうかもな。」


 アキトさんのおかげで助かった人がいる。

 良くはないことだとわかっていても、彼の行動を否定することはできない。

 これが正直な感想だ。


「一度会ってみたいものだ・・・。」


 どうやらガンダリオスさんは会ったことが無いらしい。

 アキトさんは、いつか彼とも対面するのだろうか・・・?


「会ったらこの手で捕まえてやる・・・。」


 ・・・果たして会うのだろうか。






 町の門付近に来た。


「これだ。」


 ガンダリオスさんは斜め上を指差した。

 そこには片方が中破した門があった。


「これが、先ほど申していた原因の門というわけですね。」


 確かに門が片方壊されており、町の外が見える。

 広大な草原と、青い青空だ。


「この損傷率は、一般人ではできないであろう。」

「では、かなりの実力者が犯人だということですね。」

「殺された兵士もいるし、只者ではない・・・。」


 私とガンダリオスさんは、門の破損した部分を触ったりしていた。

 しばらく町の門を眺めていると、外から兵士が一人やってきた。


「隊長!」

「どうした?」

「ちょうど良いところに・・・。 少し来ていただけますか?」

「ああ、まあいいが・・・。」


 兵士にまるで引っ張られているように、ガンダリオスさんは門を(くぐ)った。

 するとガンダリオスさんは私の方を向き、二回ほど手招きをした。

 どうやら「ついて来い」と言っているようだ。


 私はガンダリオスさんを追い、門を通って町の外へ出た。






「よう、ガンダリオス。」


 そこには、銀色のフルフェイスヘルムを被り、茶色いコートを身に着けている人物がいた。

 グレンバスターである。


 グレンバスターは大剣を構えている。

 目の前には大型の魔物(モンスター)がいる。

 四足歩行の大きな獣のような姿だ。


「ガンダリオス、許可貰えるか?」

「あー、ダメだ。」

「そうか。」


 よく分からない会話を終えると、グレンバスターは大剣を持ちながら魔物(モンスター)へ突撃した。

 魔物(モンスター)は火の玉を吐いてグレンバスターへ放ったが、グレンバスターは大剣を床に刺して大きく跳び上がり、大剣の上で逆立ちをして回避した。

 火の玉は大剣に直撃したが、特に大剣に異常はなかった。


 グレンバスターは大剣から手を放し、腕の力だけで上に跳び、魔物(モンスター)の頭上に勢いよく落下した。

 着地と同時に後ろへバク宙して、大剣の(そば)まで跳んだ。


 魔物(モンスター)が怯んでいる間にグレンバスターは大剣を引き抜こうとするが、床に深く刺さっているため苦戦をしている。

 ・・・と思ってたが、結構楽々と引き抜いた。



「ここはグレンバスターに任せて、俺たちは町へ戻ろう。」

「えっ!? いいのですか?」

「アイツがあの程度の奴に負けるとは思えねえしな。」


 そう言ってガンダリオスさんは町の中へ戻った。

 私は少々戸惑ったが、魔物(モンスター)に善戦するグレンバスターの姿を見て、仕方なく町の中へ戻った。




 相手をしていた魔物(モンスター)は決して弱くはないハズ。

 あそこまで善戦できるということは、グレンバスターは本当に実力者なのであろう。

 彼の戦いを初めて見たが、あの動きは只者ではない。

 さすがは「鬼人」の異名を持つ人だ。


 前方を歩くガンダリオスさんに追いつくために、歩みを速めた。

 そして隣まで追いついた。


「先程の「許可」とは何のことですか?」


 私は先程のグレンバスターとの会話のことを聞いた。


「奴の「技」の許可だ。 かなり危険だから国の許可がいるんだよ。」


 ガンダリオスさんは顔を前に向けたまま答えた。

 そして言葉を続けた。


「まあ、本当は許可がなくても使っていいのだが、後々面倒なことになるだろうしな。」


 面倒なこと・・・?

 というか、その「技」というのはどういう技なのか・・・?

 かなり危険というが、果たして・・・。


「門にはグレンバスターがいるから、とりあえず新たな魔物(モンスター)の侵入は無くなるな。 俺たちは町に残った魔物(モンスター)を倒そう。」


 ガンダリオスさんは冷静に言った。

 サラッと言っているが、どうやらグレンバスターのことをかなり信頼しているようだ。

 彼らの過去に少し興味を持った私だった。






 町に戻った私たちは再び町中を捜索した。

 小一時間町中を走り回ったが、魔物(モンスター)の姿を見ることはなかった。


「もういないようですね・・・。」

「そのようだな。」




 魔物(モンスター)が現れなくなったことを確認し、一度兵士たちと共に町の中央へと集まった。


「とりあえず魔物(モンスター)の姿を見なくなった。 俺は城に戻って報告をする。 お前達は町民に外出の許可を伝えろ。 だが引き続き警護を続けることを忘れるなよ。」


 ガンダリオスさんが喋り終えると、兵士たちは一斉に「はい!!」と答えた。

 そして各自で町民の家へ向かった。



「君には感謝している。 本当に助かった。」


 ガンダリオスさんが近付いて来て、片手を差し出した。

 私はその鉄の手を両手で握った。


「いえ、こちらこそ町を護ってくださったことに感謝しております。」


 私は背の高い彼の顔を見上げながら、お礼を言った。

 すると、今度は彼も両手で私の手を握った。

 鉄と鉄に挟まれて、ほんの少し圧迫感があった。


「なにかとても困ったときは言ってくれ。 必ず力になろう。」


 ガンダリオスさんはそう言うと握っていた両手を離し、一礼をして城の方向へ歩いていった。

 私は彼の大きな背中を見送った。

 背負っている大型の(くい)のような物を目にしながら。




「デートは楽しかったか?」

「きゃあ!?」


 いきなり後ろから話しかけられたため、驚いてしまった。

 話しかけてきたのはグレンバスターだった。


「脅かさないでくださいよぉ・・・。」

「女性はサプライズが好きなんだろ?」

「なんか、違いますよ・・・。」


 グレンバスターは軽く笑い、会話を続けた。


「ガンダリオスは自分の仕事に忠実な奴だ。 落とすのは難しいぜ?」

「ち、違います! 手伝いをしていただけです!!」

「どうだか。 手を握り合っていたくせに。」

「だから違いますって・・・。」


 グレンバスターは高笑いをしている。


 さっきまで凄まじい戦闘力を見せつけていた人と同一人物だなんて、とても信じられない。

 だが、背負っている大剣が事実だと語っている。


「あの魔物(モンスター)は倒せました?」

「当然。 あれからさらに別の大型の魔物(モンスター)を二体も倒したしな。」

「え!?」


 あの魔物(モンスター)以外にも倒していたんだ・・・。

 しかも同じ大型を二体も・・・。


 やっぱり実力者なんだなぁ・・・。

 いつか私もこのように強くなりたいわね。


「お前もすげえな。」

「え?」

「ガンダリオスが冒険者に手伝いを頼むなんて、初めてのことだぜ。」

「そうなのですか?」

「ああ。」


 そうなんだ・・・。

 それほど、私の知識が役に立ったのか。


魔物図鑑(モンスターマニュアル)を暗記したことを伝えたら、手伝いを頼まれまして。」

「ほぉ、魔物図鑑(モンスターマニュアル)を暗記・・・。 そりゃすげえわ。」

「先ほども言われましたが、そんなに凄いことなのでしょうか?」

「ああ、すげえよ。 シルヴィアは本当に真面目なんだな。」


 とても褒められた。

 私にも、力になれることが本当にあったんだ・・・。

 始めてよかった・・・。


「近い将来、シルヴィアは大物になると思うぜ。」

「そ、そうでしょうか?」

「ああ、俺が保証する。 試しに誰かと討伐依頼を受けてみろよ。 必ず活躍すると思うぜ。」


 まさかここまで褒めてもらえるとは・・・。


 私は少しやる気が出てきた。

 明日から、かなり頑張れそうだ。






「ところで、なにをしているのですか?」


 ふと、グレンバスターに聞いてみた。


「ん? 少し大剣が壊れたから、友人に修理を頼むところだ。」


 グレンバスターは簡単に答えた。

 そして何気に新たな情報が入ってきた。


「ご友人に修理を・・・?」

「ああ。 俺の剣は東の国で作られた物で、東の国でしか直せないんだ。」


 兜だけでなく、剣も東の国の物だったんだ。

 一度行ってみたいな。


 ・・・ん?

 ちょっと待って・・・。


「では、今から東の国へ?」

「いや、その友人は近くの町にいるんだ。」

「そうなのですか。」


 なんだ、そういうことか。


 ・・・しかし、彼の友人か。

 少し興味があるな。


「一緒に来るか?」

「え!?」

「いや、なんか興味ありそうな顔してたし。」


 えっ!!?

 私、今顔に出てた!?

 うわっ、恥ずかしっ!!!


「そう照れるなって。 興味を持つことは良いことだ。」

「で、ですけど・・・。」

「まあ、シルヴィアみたいな真面目な女なら、アイツも気にしないと思うし大丈夫だ。」


 ど、どうしよう・・・。

 でも、やっぱり見てみたいな・・・。


 ・・・。


「い、行きます・・・。」

「よし、じゃあついて来い。」


 私はグレンバスターの後ろを歩きながら、町の門へと向かった。

 門は相変わらず中破しており、周りには兵士が数人いた。


 私たちは兵士さんたちに挨拶をしながら、町の外へと出た。






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