藤野の決意
オクタゴンである、ヒーローバイトはS、A、B、Cクラスに分けられます
「ま、待ってくれ!俺はテロリストじゃない!」
「うるさい!早く手を上げろ!」
エイテサウザ人は藤野に狙いを定め、いつ撃たれてもおかしくない状況となった。
「そうです、待ってください」
「なっ、バイトヒーロー...?」
「彼は学生で、一般人です。このテロには無関係です」
ケンティーは立ち上がり、銃を向けているエイテサウザ人の真ん中に立っている、リーダーであろう奴に話しかけた。
「ほう...青色。Cクラス、新入りか...。うむ、いいだろう」
そいつは、不敵な笑みを浮かべると、ケンティーに銃を与える素ぶりを見せた。
なにを企んでいる...?
「なら、お前が撃て。テロリストを仕留めた報酬はすごいぞ」
「ですから、彼は無関係で...」
「いいからこれは命令だ!」
そいつは、ケンティーが下っ端であるということを逆手にとって、俺を撃つよう命じた。
ケンティーが命令という言葉を聞いて下を向く。彼なりの葛藤だ。しかし答えは明快である。
「...できません。彼は私の友人です」
「...そうか。じゃ」
銃声。ケンティーがその場に倒れる。
「ケ、ケンティー!!!!」
エイテサウザ人がケンティーを撃ったのだ。
うつ伏せになったケンティーの体をゆするが、ケンティーの反応はない。地面にただただ血が広がってく。
「命令にそむいた反逆罪だ」
「貴様...ッ!!」
「バイトヒーロー、いや地球人などという愚かな者よ。仲間のためにまさか自分が死ぬなんてな...ふふはっ」
「貴様!分かっててそれを...ッ!」
「テロリストは黙っていろ!撃ち方用意...!!」
そいつの仲間の奴らが、改めて銃口を俺に向ける。
こんな卑劣なことがあっていいものか...?
死の淵で藤野は考えた。
エイテサウザが命を持て遊び、粗末に扱い、嘲笑う...。
藤野はエイテサウザの本当の姿を知ってしまった。うわべだけの「人を殺さない」という約束を...。
こんな奴らに支配され、仲間を殺され、そして本当の姿を知らないまま、我々は生活している...。
いつか皆も、殺されてしまうかもしれない...。
ケンティーのように...!
藤野は強い怒りを覚えた。
「俺は...」
「なんだ?命乞いか?」
「俺は...エイテサウザをぶっこわす!!!」
「なんだいその冗談は...」
「冗談ではない!必ず貴様らを...」
また爆撃である。空中戦の流れ弾なのだろうか。煙と砂埃であたりは一瞬で真っ黒の世界と変わる。
「今のうちに...」
藤野は、後ろを振り返り、走り始めた。
「絶対にテロリストを逃がすな!!」
奴らの声、そして足音が藤野を追い越していく。
「まずい、囲まれたか...」
藤野はスピードをおとし、足を止めた。
逃げる隙もなく、真っ黒の煙はだんだん薄くなり、そしてなくなった。
藤野、なんだかんだ爆撃で助かってます