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青高ドグマ  作者: 超暖房
3/10

謎の液体

ケンティー、どこへ行くんや!

「ケンティー、外は危ないぞ!」

藤野はやっとの思いで人混みをかき分け、必死に玄関を出るがもうケンティーの姿はない。


こんな危ない時に外に出るんだ、どこかへ行くに違いない。さっきの階段でのケンティーの様子から見ると、新町地区になにかあるのか...?


「くそ、自転車で行ったか...」

藤野は六分の恐怖と四分の好奇心に押され、自転車置き場に駆け込む。そこには既にケンティーの自転車はなかった。


藤野は、無造作に置いた自分の自転車に乱暴に乗ると、命の危険など忘れ一心不乱に漕ぎ始めた。確かな保証はないが、とにかく新町地区に向けてペダルを漕いだ。


道中では、人はおらず車も乗り捨てられていた。


新町地区に着くと、そこはまさに戦場で銃撃戦の最中であり、いつ死んでもおかしくない。空にはエイテサウザ軍のものであろう空撃機である、エイテナーが轟音と共に飛び交っている。銃声と共にひとり、またひとりと、人が倒れていく。


「え...何やってんだ俺......」

恐ろしい戦場に藤野は戦慄した。深呼吸ののち、なんとか冷静さを取り戻す。


は、はやく避難しないと...。そう思い、近くの地下シェルターに向かおうとした刹那、


「うぉっ⁈」

すぐ目の前で爆発が起きた。すさまじい突風で自転車ごと吹き飛ばされる。


「うぅ?...ぐはっ...げほっげほっ」

不幸中の幸いなことに、人目につかない路地裏へと吹き飛ばされた。ここなら狙われることもないだろう...。藤野はほっとして壁にもたれかかるように座った。


「とりあえずこの戦いが終わるまでここで助けを待つしかないな......ん?」


違和感のある方へ目をやると、誰かが藤野の足にしがみついている。しかし暗くて誰か分からない。きっと逃げ遅れた一般人だろう、と藤野は思った。


「テ、テロリスト?」


目を凝らして見るとそいつが身につけていたのは、黒い服に黒い覆面。明らかにテロリストである。


「お...お、お前...地球人か...?」


藤野にしがみつくテロリストは弱々しくそう呟いた。エイテサウザ人は、よく私たちのことを地球人と呼ぶ。てことは、こいつはエイテサウザ人なのだろうか。


「あぁ、そうだが、なんだ...?」

「1つ...頼みごとがあ...る...」


そういうと、そのテロリストはポケットから何かを取り出した。

慎重に取り出すあたり、高価なものであることはすぐに分かった。

しかしそれは予想とは違って、透明のビンの中に入ったおどろおどろしい緑色の液体だった。


「うわ、なんだよコレ...」

「頼む、コレを飲んで...く、れ...」

「はぁっ??」


テロリストは最後の力を振り絞るように顔をこちらに向けて、無理やり藤野の手にその謎の液体を握らせた。


「頼む‼︎もう希望はおまえだけなんだ!」

「希望...だと?」


テロリストの覆面は破れており、片目が見えている。藤野はその顔に何か心当たりがあった。


「え?お...お、おまえって...」


爆撃である。上から小さい瓦礫が雨のように降ってくる。煙であたりは一瞬で見えなくなった。藤野はテロリストの手を払うと、反射的に明かりのある方へ壁を頼りに歩く。その手には謎の液体は握られたままだった。


なんとか路地裏をでたのち、突き上げるような轟音が鳴り響く。藤野の頭上に絶対に避けきれないほどの巨大な瓦礫が落下してくる。


「クソっ...かあちゃん...」


藤野は死を覚悟し、目をつむる。


瓦礫が落下してきているのが分かる。


---ゴオォォオン...ぱしゃ...


...ぱしゃ?


しばらくすると音は鳴り止んだ。なんだか冷たさを感じる。


「生きてる...?」


強くつむっていた目を開けると、藤野の目の前に見覚えのある背中が立っていた。


そいつはまるで拳で瓦礫をかち割ったかのようなポーズで、右手を空に向かって上げていた。


「...ケ、ケンティー?」

ぱしゃ?

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