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青高ドグマ  作者: 超暖房
2/10

始まりのテロ

世界観たいへんです

「そろそろ10年...か...」

時は2019年5月2日。歩きスマホをする彼のスマホの画面には[エイテサウザ星移住まもなく10年]の文字がでかでかと写し出されていた。


彼は日本の青巻市青巻高校に通う高校1年生、藤野勝吾である。彼もまた謎の宇宙人エイテサウザにいらだちを覚える1人だった。


「ったく、10年経ったからなんだってんだ...」


エイテサウザは日本が気に入ったのか、日本から離れず、外国を侵略するような真似もしなかった。


エイテサウザ移住が始まって以来、大きな事件もなく、日本は侵略される前とほぼ変わらない日々を送り続けている。


そのせいか、日本人だけでなく、地球人はエイテサウザ人になんの嫌悪感も感じなくなっている。


藤野は携帯をポケットにしまい、青巻高校1年3組の教室へと入った。


「おはよ、藤野」

「あぁ」

彼の数少ない友達のひとり、ケンティーである。


「藤野聞いたか?この前起きた東京でのテロ、まだ幹部の奴ら捕まってないらしいぞ」


エイテサウザ移住が始まって、テロが頻繁に起こるようになった。とはいっても2年に一回くらいのペースで起こるくらいのものである。


「また東京でテロが起こる可能性もあるのか...」

「あぁ、でもそいつらの狙いはエイテサウザだからな。俺らが心配するようなことじゃない」

「まぁ確かにそうだが...」


ケンティーの言う通りである。

テロリストのほとんどは地球人で、狙いは宇宙人であるエイテサウザだ。


エイテサウザの本部や組織が集中するのは都市部である。だからテロリストが狙うのは、東京や京都といった所だ。俺たちがいる青巻地区などもってのほかである。


「1時間目なんだっけ?」

「えーと...数学だったような......んッ?なんだ⁈」


突然、避難訓練の時しか聞かないサイレンが校内に響きわたる。

いつもと違う状況に教室はざわめいた。


『えー、ただいま新町地区にてテロが発生しました。全校の皆さんは先生の指示のもと、地下シェルターに直ちに避難してください』


窓に目を向けると、遠くで煙が上がっているのが見える。教室は一瞬にしてパニックと化す。ここ、青巻市では、テロなんて起きるはずないからだ。


「落ち着け!みんな!地下シェルターなら安全だ!」

そう、地下シェルターに入ればほぼ安全である。


エイテサウザ移住から変わったことの1つに、避難訓練で地下シェルターに避難する項目が追加された、というものがある。


この避難訓練は年に数回行われ、今のところテロによる死者は出ていないと聞いている。


エイテサウザ人は、我々日本人と交わした条約を遵守しているのである。


廊下に出て、先生の指示に従い階段を降りていく。


「いや〜、青巻でもテロってあるもんなんだな〜」

「.......」

「...ケンティー?」

「...ん?おぉ、悪い、聞いてなかった」

「いや、別にいいんだけども...」


なんだかケンティーの様子がおかしいが、それも無理はない。なんせテロだ。かくいう俺は非日常な展開に興奮しつつあるが。


地下シェルターは一階の正面玄関近くの階段を降りたところにある。地下シェルターは、体育館ぐらいの広さで快適きわまりない。もし、生き埋めになっても地上に出られる仕組みになっている。


災害が多い日本では、安全を確保するため全国の施設、学校に地下シェルターを設備するよう義務付けられている。


一階に降りると、地下シェルターへ続く階段はすごい騒ぎになっていた。

「押さないで!ゆっくりゆっくり!」

「おい、早くいけよ!」

「死にたくない!!」


「これじゃぁ、避難訓練の意味ねぇじゃんかなぁケンティー...?あれ?ケンティー?」


さっきまで藤野の後ろにいたケンティーの姿は無くなっている。

あたりを見渡すが、どこにもいない。


「うわっ」


後ろから人の波に押されて身動きがとれない。人の圧力ってすごいもんだ。


「‼︎」


その時、僅かに玄関から出て行くケンティーの姿が見えた。


「おい待て‼︎ケンティー‼︎」


ケンティーはどこか急いでおり、こちらの声には気づかない。


叫び続ける藤野の声はケンティーに届くことは無かった。

テロ、こわいです

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