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全ての力を奪われた暴勇バベル  作者: おにまる
第三章 ベルランテ帝国軍編
29/55

国境見回りー4

よろしくお願いいたします。

  


  そして一行はようやく国境の駐屯地に辿り着いた。

ここ第五駐屯基地はラグナロアとの紛争に向けた防衛拠点でもあった。

出迎えてくれたのはラドルフ将軍だった。

「ようこそ、姫様お越し頂きありがとうございます、兵も喜びます。」


「ラドルフ将軍も来てたのか」


「そろそろ恒例のあの時期ですので・・・」


「おお、バベルも来てくれたか」


「久しぶりだなラドルフ」


毎年ここラグナロアとの国境付近では決まった時期に戦を繰り広げていた、負けた方は指定された土地を譲渡するか、金品を渡さなければいけない、それが今年ももうすぐなのだ。

長い間の紛争からどうにかここまでの小規模戦争にまで落ち着いて来てはいたが、完全な和平はまだ訪れてはいなかった。


「ラドルフ将軍特に変わったことはないか?」


「はい姫様、今の所まだ動きは見られないようです。」


「ささ長旅お疲れでしょう中へ」

そう言ってラドルフは駐屯基地内へ案内してくれた。

「本当はもっと早く来る予定だったんだがな、途中で色々あって一日遅くなった」

「何があったんですか?」

「果実園が魔物に襲撃っされててな、キマイラが出た」

「なんと!それで?」

「そこのハクが討伐した。」

「ほぅ、あのキマイラを討伐するとはやるなー」

「あの程度造作も無い」

「なんと豪気な」

「聞いて驚くな、ハクはあの白虎の息子だ」

「なんと!あの四聖獣のか!」

「それは、キマイラ討伐も頷ける、頼もしい限りだ」


 そして食事の用意が出来たと言う事で皆で夕食を取ることにした。


 ラドルフはバベルと酒を飲もうという約束が叶い嬉しそうだった、バベルもまたラドルフにこれまで合った事やこの帝国で見て来た事を話した。

 そしてラドルフにこの二つの国の戦争について終わる日は来るか訊ねた、ラドルフは戦争がない平和な暮らしができるのが一番だが、これまでの事を考えると難しいだろうと答えた。


 憎しみや復讐は、連鎖する、そして終わりの見えない螺旋階段のようにぐるぐる巡っていくのだろう、どうにかしてこの連鎖を断ち切り戦を終わらせる方法は無いのか、バベルはそんな事を考えていた、またそんな思考に至る自分に変化を感じていた。


 バベルはラグナロア共和国にはなんの憎しみもない、だからこそそう思うのかもしれない、もしかしたらこの戦を終わらせる橋渡しをできるのもバベルなのかも知れない・・・


バベルは月を見ながらこれまでに見た帝国の人々の暮らしぶりや、

この二つの国の歴史に思い耽っていた。

そして夜も更けその日はそのまま眠った。


~~翌日~~

 

 「バベル様おはようございます、いい朝ですねー」

 バベルは昨晩、外で月を見ながら酒を飲んでそのまま寝てたらしい、アンナが起こしにきた。

「あぁ、おはよう」

「朝食の準備が出来てますよ」


そして皆で朝食を取りながら今日は、国境警備をする兵にバベルを紹介するのと労をねぎらう為巡回することをジュリアは告げた。


警備をする兵はどれも皆揺るがない信念を持った目をしていた、自分がこの国を守るんだと言う確固たる決意のような強い目をしていた。

なぜラグナロアと戦うんだ等疑問の入る隙間も無いのを感じた。


「バベルどうだ、我が兵は、どう感じた?」


「皆いい目をしている」


「そうだな、帝国の兵は皆強い信念を持ってる、ここに来るまでに見て来た民たちを、そしてこの帝国を自分たちが守るんだという強い信念があるんだ、私はバベルにそれら全てを見せたかった。」


「仕方なくやるのと信念を持ってやるのでは全然違うからな」


「そうだな・・・」

ジュリアも立派にこの帝国の皇女なんだな・・とバベルは思った。

「よし、戦はもうすぐだ、一旦城に戻って備えるぞ」

 

 そして一行は帰路に就いた、戻る途中もバベルはその人々をよく見ながら行った。

一生懸命働いている者、のんびり休日を過ごしてるだろうと思われる者、村や町の人達は戦争とは無縁の人達だ、その途中の、行きかう村娘にバベルは足を止めて聞いてみた


「お前は、獣人を見たことが有るか?」


「いえ、ありませんけど・・・」


「獣人やエルフをどう思う?」


「会って見ないと分かりませぬ。」そう言って村娘はニコリと微笑んだ。


 国境から数日掛けて帝都に戻って来た。帝都に戻るとやはりここは武力国家である雰囲気があった、帝都にはそう言った人たちが集まってくるのだろう。


 そして帝都に戻り数日が経ち毎年恒例のラグナロア共和国との戦の日が近づいた・・・














読んで頂きありがとうございます。

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