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全ての力を奪われた暴勇バベル  作者: おにまる
第一章 地上最強からただの村人に転落
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帰還

二話目投稿ですよろしくお願いします

~~~それからバベルは魔界を彷徨い、魔族から命からがら逃げ、ようやく人間界に戻ったはいいが噂は広まり・・・


「勇者様になんてことしてくれてんだよーこの人でなし」


今までのお返しとばかりに石を投げてくる者。

食べ物を分けてもらおうにも、今までのバベルの恐ろしさを覚えており逃げる人々。

中には武器をとり襲ってくる者までいた。

(ちっくしょふざけんな、力を取り戻したら覚えてろよ、どいつもこいつも・・・)


そしての森の中に逃げ込み倒れていた。

そこを偶然薬草を探しに来ていた村娘のアンナに発見される。


(うわー!こんなところに人が倒れてる、死んでるのかな?どうしよう、でも生きてたら助けなきゃ)そう思いアンナは恐々、近づいていきようやく顔が見える所まで来るとハッとする。


「バベル様?!」


この娘はバベルを知っていた、その昔この集落が魔物の群れに襲われたときにバベルの寝起き?の一撃で救われたのである、当のバベルは救ったつもりもない・・・




うぅ・・腹減った・・・




「おにぎりならありますけど食べますか?」


バベルは握り飯に食らいついた久々のまともな食べ物。


「すまん、助かった」


そういうとフラフラと起き上がりまた歩き出すバベル。


「そんなボロボロで、どこ行くんですか!?」




「俺の力を取り戻さなければ・・・」




「この森を抜けたところに私の家がありますから、そこで休んでいってください」

そう言いかけるそばからヨロヨロと、また倒れそうになるバベル。


「ほら、つかまってください」


「俺にさわるな・・俺が誰だか解ってるのか・・・」


「知ってますよ、とても強いバベル様ですよね」


「俺が怖くないのか・・・」


「怖い?むしろ助けたいです、それくらい今のバベル様は弱って見えます」




「くぅ、何が暴勇バベルだ・・・情けねぇ」




そして村はずれの小さな牧場と農園のあるアンナの家にたどり着いた 。

アンナは祖母と二人暮らしだった、その祖母も体調をくずし寝込んでいた。

その祖母のために森に薬草を探しに入っていたのである。


「ただいまーおばあちゃん」


奥のほうから小さな声がする、聞き取れないがお帰りと言ってるようだ。


「すぐご飯の用意してベッドに持っていくからねー」


「バベル様も少し休んでてくださいな、大したものは無いけど食事の用意しますね」




「・・・・」




バベルは今まで人の好意に触れたことが無かった、どう接していいかわからなかった。


「はい、できましたよー弱ってるバベル様のためにシチューを作りました、シチューは消化と栄養吸収に優れてて弱ってるときはいいんですよー温まりますよー」


「・・・うまい」

その温かさが、体に、そのいてついた心に、雪解けのように、その優しさがゆっくりと染み渡っていった・・・


「美味しいですか、良かった」


その時バベルの頬に温かい液体が滑り落ちるのが分かった、バベルは初めて涙を流した・・・

(これは涙か・・・なんだこの心にせまりくる暖かさは・・・)


初めて人の暖かさに触れ人の好意を知った・・・

見ず知らずの俺をなぜ助けてくれる、なぜ食事をくれる・・・

今での俺ならそんな倒れてるやつなんか見向きもせず立ち去るのに、この娘が特別なのか人とはそういうものなのか・・・


 そしてしばらくしてバベルは久々にぐっすりと眠りについた 。




~~~翌日~~~


「バベル様起きてくださいー朝ごはんですよー」


その心地いい声に穏やかな心で目を覚ますバベル、運ばれる朝食を食べ、また目頭が熱くなる。




「なぜ、お前はここまでしてくれるのだ?」




「何がですか?困ってるときはお互い様です、おばあちゃんの受け売りですけど」


「それにバベル様には一度救って頂いてます」


「集落に押し寄せた魔物の群れに突っ込んでドカーンと蹴散らしてお礼を言う間もなく立ち去ってしまわれましたけど」


「そ、それは救ったんじゃないたぶん昼寝を邪魔されたんだ・・・」


「それでもそのお陰で今があります」


バベルは初めてこの娘の恩にきちんと報いたいと思った。


「なにか俺にできることは無いか?といっても今の俺は無力だが・・・」


「んじゃ元気になったら薪割りおねがいします、あ、バベル様に薪割りって怒られるかな?」




「やろう、そのくらいならいくらでもできる」




持ち前の生命力ですぐに体力をとりもどしたバベルは薪割りに取り掛かった。 普通の村人状態のバベルにとって最初の薪割りはなかなか難しかった 。最初は一振りで割れなかったがセンスの良さですぐに薪をバンバン割っていく 。


これも強くなる修行になるな、懐かしい筋肉の強張りを体で感じもとより疲れ知らずの生命力をもったバベルには心地よくもあった。


「すごいですね、さすがバベル様これだけあればしばらく薪は大丈夫そうです、ありがとうございます」


「そうか、役にたったのならよかった・・・」


「そうだバベル様少し私の弓を見てくれませんか?」


「弓?アンナは弓をやるのか?」


「ええ、ゴブリン等がちょこちょこ来るので弓で追い返す程度ですが」


「剣は無理でも弓で威嚇程度になるので」


「そうか、ならば少し見てやろうか基本くらいなら教えられる」


アンナが弓を引いて見せる、まっすぐは飛ぶが的には当たらない 。

少し引きが足らないのと態勢が安定してない


「アンナ、まずは腕をまっすぐにして頭上で弓を構えろそしてゆっくり胸の位置まで降ろしながら引いてみるんだ」


すると先ほどより威力のあるまっすぐな軌道の矢が的をかすめた。


「すごいですね、はっきりとわかるくらい威力が違いました」


「まずは安定して矢が飛ぶ型を身に着けるんだ、そうすればおのずと矢は当たる」




~~~そのゆっくりとした時間の流れる中、数日をすごし力仕事はバベルがこなし、アンナの弓を教える、こういった日々も悪くないって思い始めたバベルがいた 。


「あの・・聞いてもいいのかな・・バベル様のあの噂・・・」


「あーすべての力を奪われたってやつ?」


「・・・・」


「本当だよ、力を持つあまりに回りが見えてなかった、天狗になってたんだよ、だから女神に力を奪われた」




「本当だったんだ・・・」


アンナが頬を赤らませながら言う 。


「だったら、バベル様がよかったらここにずっと居てくださいね」



バベルは何も答えなかった、ただその目は遠くの何かを見つめてるようだった・・・


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