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僕らは屋上の中央で手を繋いで輪になった。
「よし、じゃあ始めるぞ! まず目を閉じて宇宙を感じるんだ!」
シンラくんは早速指示を出した。
「宇宙を感じるって何よ?」
仕方なく付き合わされてるモミジ先輩が目を閉じながら愚痴る。
確かに意味が分からないニャ。
取り敢えず僕らは目を閉じて宇宙を思い浮かべた。
「そして彼らに《メッセージ》を送るんだ。『パッパラプト・ポッポルンパ・プピリッポ・パロ』」
ん? ちょ待てよ……。
その呪文……ていうかテンポ? リズム?
物凄く聞き覚えがあるような感じするんですけど!
何か似てない!? え、僕だけかな?
いや、きっとみんなもそう感じてるよね?
みんな黙り込んでるけど……!
「おい、どうしたお前達。早く復唱しろ」
僕らが黙ってるとシンラくんが促すように言った。
復唱? 今のを?
「た、タッカラプト……」
「違う! 『パッパラプト・ポッポルンパ・プピリッポ・パロ』だッ‼」
僕が間違えると、シンラくんから激しいお叱りを受けてしまった。
「あ、あぁ。そうだった。ご、ごめん、えーっと、パ……パッパラット……」
「違う! 『パッパラプト・ポッポルンパ・プピリッポ・パロ』だッ‼ いい加減にしろッ!」
「は、はい! すみません……! えっと、パッパラプト・ポッポプンパ……」
「『ポッポルンパ』だッ‼ お前ふざけてんのかッ!?」
「いえ、決してそんな……!」
どちらかと言うとこの場合、シンラくんの方がふざけてるんじゃないのか?
「パッパラプト・ポッポルンパ・プピピッポ・パロ!」
「違うっ! 何度も言わせるな! 『パッパラプト・ポッポルンパ・プピリッポ・パロ』だ‼」
仮に覚えてもうっかり噛んでしまうニャ!
そんな、人生に何の役にも立たないであろう呪文を完全にマスターするのに、僕は五分程費やしてしまった。




