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「シンラくんは何で宇宙人と交信しようとしてるの?」
僕は取り敢えずシンラくんに質問をしてみた。
するとシンラくんは、夜空から視線を外して僕らに向き合うと、両耳の裏に手の平を添えて言った。
「感じるからだ。 〝彼ら〟はすぐ近くまで来ている……! 僕は若くてエリートで見た目も良いから恐らく地球人代表として彼らに選ばれたのだ!」
「コイツ、頭おかしいわよ」
モミジ先輩がすかさずツッコミを入れるが、シンラくんは意に介した様子も無く話を続けた。
「僕がここからメッセージを送れば、彼らはきっとここに来るはずだ」
シンラくんは両手を少し広げて掲げると、瞑想するように目を閉じて、親指と人差し指で輪っかを作りブツブツと謎の呪文を唱えだした。
「い、いよいよヤバい奴になったわ……」
自分の世界に没頭するシンラくんにドン引きするモミジ先輩。
その横で卯月さんは何故か目を輝かせてウットリとしていた。
「ウフフ……何だか素敵ね……」
えっ? 何が? やってることが? それともシンラくんが?
うーん、訊きたいけど怖くて訊けないっ!
いや、それより、僕らはこれからどうしたらいいんだろう?
交信中のシンラくんの邪魔にならないようにここでひたすら待っとくべき?
どれくらい? てか、本当に宇宙人が来るのかなぁ?
いや、来る訳ないけどね、シンラくんには申し訳ないけど。
大事なのは僕らがこれをちゃんと『怪奇新聞』として完成させることが出来るかどうかニャ。
ちゃんとした記事になるのか心配になってきたぞ。
交信中のシンラくんの背中と、流れ星とか謎の光体とか〝それらしいもの〟が、上手く撮れれば何とかなるんだけど……。
僕と同じことを考えていたのか、加枝留くんはこっそりとカメラで何枚か写真を撮っていた。