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そして、約束の時間に僕らは学校の校門に集合した。
ウチの学校は部活動も盛んじゃなく夜の八時にはもう本当に人がいないような学校なんだ。
とはいえ警備員さんとかもいるだろうし完全に無人という訳じゃないだろうからこっそり忍び込まなければならない。
校門はもう閉まってるけど実は侵入経路は他にもあるのニャ。
僕らは学校の裏に回った。
神輿高校の裏にはフェンスが無く二メートル程の崖が壁代わりになってるんだ。
崖の上には小道が通っててすぐ近くに神社がある。
神輿神社っていうんだけど祠と鳥居が見えるんだ。
階段を上っていくと神社があるけど寂れた古い神社であんまり行ったことないんだよね。
祭りとかもないし初詣とかも町の中心部にある大きな宵々神社に行く方がこの町では一般的なんだ。
話が逸れたけど、僕らは裏から崖を滑るように降りて学校に忍び込んだ。
今の時代、防犯的にどうなんだ、って思うかもしれないけど、宵々町は平和な田舎町ってことで大目に見てほしいニャ。
「さて、校舎に侵入するわよ!」
モミジ先輩は予め開けておいたという一階の女子トイレの窓を確認した。
「ラッキー! まだ開いてる!」
「ほんと、ずさんですよね、ここ」
加枝留くんが呆れてるニャ。
モミジ先輩の単純な手は警備員さんのいい加減さのお陰で上手く行ったニャ。
「よっしゃ! 行くわよ!」
モミジ先輩が一番乗りで小窓に攀じ登るけどミニスカートのせいでパンツが丸見えニャ。
僕と加枝留くんは目のやり場に困った。
「やだ、アタシ最後でいい」
卯月さんがドン引きした様子でモミジ先輩と僕らの三人を見ながら言った。
全員無事窓から忍び込むと僕らはトイレを後にして廊下に出た。
警備員さんの巡回に鉢合わせ無いよう音を立てず辺りを見渡しながら慎重に屋上を目指す。