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「あの謎のオカマのオバちゃん、一体何だったのかしらね?」
放課後、新聞を書き終わった僕らはジュースでも飲もうと、食堂を訪れた。
その時に、モミジ先輩がそう呟いたのだ。
食堂の中には売店も併設してあるけど、今はどちらも閉店してる。
食堂は昼までだけど、売店はいつも四時までは開いてるから、どちらも閉まってるとちょっと寂しいニャ。
とはいえ、食堂には自販機も設置されてるから、ここで寛ぐには全然問題ないけど。
「そもそもあの人、何で飛び込んだんですかね?」
僕もずっと気になってたんだ。
「この宵々町で失踪者情報とか出てます?」
あのオバちゃん、宵々町の住人かな? それとも部外者?
「マモルさんに聞いてみたけど、今のところ宵々町で捜索願出てる人はいないって言ってたわ」
僕の問いにモミジ先輩はそう答えた。
オバちゃんの正体は未だ謎に包まれたままだ。
「ていうか、あの渦、本当に近未来に繋がってたんですかね?」
僕らが頭を悩ませていると、何処からともなく「うっ、うっ……」という不気味で物悲しい男の呻き声が聞こえてきた。
「やだ、ちょっと怖くなぁい? 何処からよ?」
モミジ先輩が辺りを見渡す。
「ウフフ……これはきっと霊の仕業ね」
卯月さんが大幣を構えながらお祓いする気満々のドヤ顔で言った。
確かに卯月さんの言う通り、これは怪奇現象かな?
まあ『オカルト同好会』的にはこれはアリだけど……。
 




