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「という訳でワシの邪魔は誰にもさせんぞい!」
老女は更に攻撃を強めた。
「くっ……!」
オジサンは僕ら全員を守るための大きなバリアを張ってくれてるから、精一杯で反撃が出来ないみたい。
石が容赦なくバリアにガンガン当たってて怖いニャ……!
「ちょ、ちょっと、大丈夫なんでしょうねぇっ?!」
モミジ先輩が不安になってオジサンの背後に隠れて叫んだ。
や、やっぱり桔音くんの協力が必要だったかも……?
なんて思っていると突然卯月さんが鞄から大幣を取り出した。
てか、いつも持ち歩いてるのっ? この人っ!
「私も加勢しますっ」
そう言ってオジサンの横に並ぶと、卯月さんは効果があるのかどうか怪しいながらも、大幣をシャカシャカと縦横無尽に振り翳した。
すると銅像の輝きが薄れ、時空の渦が小さくなっていった。
う、うそぉおおお……!
僕は思わず心の中でそう叫んだ。
「す、すごいよ卯月さん! その調子っ!」
僕は最初、卯月さんの力を疑っていたことを心の中で謝りながら声援を送った。
渦は縮まったり広がったりを繰り返している。
それは卯月さんと老女の霊力の押し合いのようだった。
そして段々と縮む力の方が強くなっていく……。
つまり卯月さんが押してってるってことニャ!
「お、おのれっ! 小娘!」
このままでは消えてしまいそうな渦を見て焦った老女は攻撃をやめて渦の中へと飛び込もうとした。
「まずい! 逃げられる!」
マモル先輩が動きを止める為に拳銃を取り出そうとしてるけど間に合わないっ。
てか、拳銃はやりすぎでしょ、って思わず心の中で突っ込んだけど。