7
「ちょっと卯月さんっ! あの人から修行を受けたんでしょっ? 師弟関係なんですよねっ? 何とか話をつけてもらえないですかっ?」
僕はこの中で唯一あの老女と知り合いである卯月さんに仲介を頼んだ。
しかし卯月さんはフルフルと首を振って言った。
「無理よ」
「何でですかーっ!」
「だって私、あの人にメチャクチャ嫌われてるもの」
「えぇええええーっ! どういうことーっ?」
すると僕らのやり取りで老女は卯月さんの存在に気付いた。
「何じゃ小娘、また来たのかっ!」
「お久しぶりですわ、おババ様」
「二度と此処へ来るなと言ったろうがっ! 帰れ帰れっ! とっとと帰れーっ!」
老女は石だけでなく、懐から巾着袋を取り出し、手を突っ込んで白い粉……
多分、塩だと思われるものを僕らに向かって投げつけるように撒いた。
卯月さん、よっぽど嫌われてるみたいニャ。
「卯月さん、あの人と何かあったのですか?」
僕は卯月さんに理由を尋ねた。
「いいえ。何もないわ。私、これまでの人生で人を怒らせるようなことをした記憶なんて全くないもの……」
その言葉を聞き、僕は確信した。
事情は知らないが間違いなく卯月さんに原因があるのだと!
そうこうしている内に老女は石の攻撃を繰り出したまま、僕らがバリアの中から動けないのを良いことに何か別の儀式をも始めた。
「まずい! 儀式が始まった!」
オジサンの言葉と同時に、老女の横にあった銅像が黄金に輝きだした。
銅像の遥か頭上から何か白い光線が四方から無数に集まってきている!
各地に設置した銅像からパワーを集結させているようだ。
「あの銅像には何の意味があるんですかっ?」
僕の問いかけに老女はニヤリと笑った。
「あれはワシが長年かけて呪術を注ぎ込んだ魔像じゃ。あの銅像には力が宿っておる。そして宵々町に漂うエネルギーを吸い上げ放出しているのだ!」
老女は訳の分からない説明をしだした。