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宵々町奇譚―オカルト同好会編―  作者: Ree
chapter3 魔像と時空の扉
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 その日、僕・猫宮(ねこみや)小判(こばん)は違和感を覚えた。


「行ってくるニャ!」

 いつものように朝がやってきて、いつものように家を出て、いつものように公園の猫と(たわむ)れて、いつものように学校へと向かう。

 でも何かがいつもと違う気がする。

 何か視線を感じる。でも誰かがいる訳じゃない。

 何かこう……いつもと見る景色が違う気がするんだ。


 その違和感は学校に着いてから気付いた。

「やっぱりこれニャあああああああああああああああ!」

 僕は学校の門前を指差して思わず叫んでしまった。

「ちょっとどうしたのよ、コバン」

 たまたまそこに居合わせた鹿島(かしま)(もみじ)先輩が怪訝(けげん)な顔で僕を見る。

「これ何ですかっ? 何でこんなものが学校にっ?」

 僕は目の前のものを震えながら指差した。

 それは黄金に輝く等身大の奇妙な銅像だった。

 皺々《しわしわ》の垂れ下がった乳が丸出しの全裸の姿で、両手でハートの形を作り、片足をくねらせた老婆の銅像だ。

 こ、怖すぎるニャ。

「えー? 知らないわよ。そう言えば、いつの間にか建ってたわね」

「いつの間にかって……これと同じの公園の中にも建ってましたよっ!」

 すると僕の背後からひょっこりと雨森(あまもり)加枝留(かえる)くんが顔を出してきた。

「一体、誰が建てたんですかねー?」

「気味が悪いニャ! もっとマシな銅像にしろニャ!」

「そうよ、そうよ! こんなの公共(こうきょう)猥褻物(わいせつぶつ)だわ!」

 いつの間にか卯月(うづき)()()さんまで僕らの輪の中に加わって声を上げていた。


 ―――因みに僕ら四人は同じオカルト同好会のメンバーである。


「何か文字が書いてあるわね」

 モミジ先輩が銅像の台座に掘られた文字を指差した。

 そこには『愛と平和の像』と彫られていた。

「聞こえの良い言葉で誤魔化すんじゃないニャ! これはただの公共猥褻物ニャ!」

 しかし、この謎の銅像はこれだけではなかった。

 グラウンドの隅や裏庭にも同じものが建っていた。

 一体どういうことニャ。

 (こと)の真相を尋ねに僕らオカルト同好会は校長室へと向かった。






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