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「ところで君達、今日は何の用事で来たのかな?」
お父さんが話題を変えようと再び僕らのことを聞いてきた。
「あ、えっと、そうでした。僕ら実はオカルト同好会で新聞を作ってるんですけど……それで今回、桔音くんの特集というか、インタビューみたいなのとかを載せれたら良いなーとか思って、あの、いわゆる、取材っていうか……」
「悪いがそれは遠慮させてくれないか?」
「えっ……?」
本人に許可を取る前にお父さんからNG掛かっちゃったよ。
「ただでさえ桔音は特殊な子だ。学校でも浮いた存在だろう。これ以上、好奇の目に晒されるようなことは避けたい。私達はただ目立たずひっそりと平穏に暮らしたいだけなのだ」
まあ確かにお父さんの言い分は分かるよ。
いきなりオカルト同好会の怪奇新聞にお宅の息子載せて良いですかって言われたら普通の親は微妙な気持ちになるだろう。
「あ、あの、別に魔術師のこととか、燉一教のこととか、そんなのは書きませんから、安心して下さい……ただ、普段、何を考えているかとか、好きなことは何かとか、そんな他愛ないことしか書きませんから……それでも駄目でしょうか?」
僕は駄目もとで聞いてみた。
お父さんはそれでも反対しようとしたが桔音くんはさほど興味もなさそうに言った。
「僕は構わないよ。好きに書けばいい。でも、お前らの質問には答えない」
「え、それって……?」
つまり、勝手に取材してもいいけど、インタビューとかはやらないって解釈でいいのかな?
「あ、ありがとう! 桔音くん」
「おいで、ブラッキー」
桔音くんはスッと食事の席から立ち上がると、足元で大人しく待機していたと思われる黒猫の名を呼んだ。
呼ばれた猫が懐に飛び込んだのを抱き留めると、その頭から背を一撫でした。
「……そうだ。今から面白いものを見せてやるよ。僕の部屋に来るといい」
桔音くんは何か悪巧みを思いついたような顔でそう言うと、黒猫を抱いたまま部屋を出て行った。
「あ、それじゃ僕ら行ってきます……ごちそうさまでした!」
置いて行かれないように僕らは慌てて席を立った。
オジサンは桔音くんのことが心配なのか、複雑そうな顔を浮かべていたけど、僕らは気まずさにそそくさと退散した。




