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これにはモミジ先輩も突っ込んだ。
「ちょっとアンタ……、幾ら何でも思春期の男子高校生でコレはないでしょ? 普通はもうちょっとこう性的な欲望が沸き起こってくるもんでしょ! ムラムラっと!」
「そうですか?」
加枝留くんは動揺した様子もなく、相変わらず眠たそうな顔でサラッと言った。
「コバン! ちょっとアンタ、青ガエルに見本を見せてやりなさいよ!」
なんか変な流れで先輩からカメラ渡されちゃったけど、まあ面白そうだし、僕もパシャリと一枚撮ってみた。
すると、写っていたのは何故か大量の猫達だった。
「ひいいいいい可愛いぃいいいい!」
キュン死にしそうなほど悶絶する僕を、モミジ先輩が冷めた目で見てる。
「アンタも同レベルね、コバン」
「『人間』の僕と、『動物』の猫宮くんを同列に並べないでくださいよ」
呆れるモミジ先輩よりも何気に加枝留くんの辛辣な突っ込みの方が痛く突き刺さるニャ。
「う……卯月さんもやってみる?」
僕はさっきから全然ノッてこない卯月さんに声を掛けてカメラを差し出した。
でも卯月さんは興味ないのか、首を横に振るだけだった。
「じゃあ取りあえず、このカメラどうしましょう?」
一通り遊び終わったし、日暮先輩に返してもいいけど、僕らオカルト同好会としてはこの呪いのカメラなんて恰好のネタの材料だからなぁ……このまま返すのは実に惜しい。
「お、お前らオカルト同好会なんだろっ! これどうしたらいいんだっ?」
ビビりの日暮先輩は、持っているのも不安なのか、呪いのカメラを僕らに押し付けてきた。
「そうですね、まあ大体、そういった知識のある人が厳重に保管したり、除霊をしたりするのが一般的ですけど……何なら僕らが暫く預かっておきましょうか?」
僕はしれっとした顔で言ってみた。
「そ、そうしてくれっ! 新聞の記事にして構わないから」
ラッキー。向こうからお願いされちゃった。
「ただし、鹿島の写真のことは絶対に書くなよ!」
「そりゃ勿論ですよ。安心してください」
こうして僕らオカルト同好会は、戦利品……じゃない、日暮先輩から預かった呪いのカメラを手に写真部を後にした。