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急いで写真部の部室へと駆けつけると、日暮先輩が変わった形のカメラを手に、細身の長身の背中を丸めて蹲っているのが見えた。
他の写真部の部員はいないみたいだ。
「どうしたんですか? 日暮先輩」
「うわぁああああー出たーっ! オカルト同好会―っ!」
相変わらず日暮先輩は僕らオカルト同好会を見ると拒否反応を起こすのだ。
よっぽど嫌われてるみたいだニャ。
「先輩の悲鳴が聞こえたんで、わざわざ駆けつけたんですよ。何かあったんですか?」
「うっ……」
言葉に詰まる日暮先輩。
見たところ部室に異常もなさそうだけど……。
「じ……実はな……」
日暮先輩はそう言って数枚の写真を僕らに見せた。
なんと、映っていたのは全てモミジ先輩だった!
「何なんですか? これ」
しかも、どれも黒いビキニや下着姿で、ベッドのシーツの上に仰向けになったり、四つん這いで胸の谷間を強調したりと、グラビアアイドルさながらの大胆なポーズばかり。
つまり、ちょっとエッチな写真なのだ。
「こんなの撮ってたんですか? 日暮先輩」
「撮っとらんわーーーーーーーっ!」
日暮先輩はありったけの声で否定した。
当のモミジ先輩は写真を眺めながら平気な顔をしていた。
「あら、綺麗に撮れてるじゃない。流石アタシ、素材が良いと違うわね~」
普通の女子なら不快に思ったり恥ずかしさでショックを受けるところだけど、モミジ先輩は普通じゃなかった。
「えー何よ? ひょっとしてアンタ、アタシに気があるんじゃないの~?」
そう言ってからかう始末だ。
「そ、そんな訳あるかーっ!」+
日暮先輩は赤面しながら叫んだ。
もーこの人、怒ったり叫んだり忙しい人だニャ。
すると観察力のある加枝留くんがふいにポツリと呟いた。
「て言うか、これ、明らかに撮影ですよね。盗撮でここまで綺麗に撮れませんし」
「盗撮なんかするかーっ! 人聞きの悪いっ」
「しかもこれチェキですよね。随分古い型ですけど。日暮先輩と鹿島先輩、いつ撮影とかしました?」
加枝留くんの質問に二人は即否定した。
「してないわよ。何でアタシが眼鏡トンボにこんなサービスしなきゃいけないのよ」
「こっちこそ誰がこんなこと頼むかっ」
「じゃあこの写真はどういうことでしょう?」
そもそもチェキは撮ってすぐにカメラから写真が出てくるヤツで、身に覚えがないってことが有り得ないし。
撮った覚えのないものが写りこんでいる……これってまさに怪奇現象ニャ。