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「でも確かに桔音くんの謎は僕も気になるし、そもそも桔音くんの存在自体がオカルトと言えばオカルトだし……丁度、次のネタの候補も上がってないし、じゃあこれ採用しますか」
僕の意見に加枝留くんも「ですね」と頷いた。
「ふん、まあ好きにしなさいよ」
モミジ先輩はさして興味もなさそうに言った。
ホント、今日のモミジ先輩、どうも様子がオカシイ……きっと何かあるハズ。
でも、今は会議中だから取り敢えず無視するニャ。
「じゃあ、次の怪奇新聞は番外編っぽく、『稲荷桔音くんの謎に迫る!』、と題して、プライベートにお邪魔する感じで行くニャ!」
「分かりました。問題は稲荷くんが承諾してくれるかどうかですね。明日は休日ですし、運が良ければ予定を空けてくれるかもしれません」
そう言いながらペンを走らせる加枝留くんは、とってもマメな性格で、メモ帳をいつも持参して会議録やスケジュールを書き込んでいるのだ。
僕もモミジ先輩も卯月さんも大雑把な性格なので、加枝留くんの性格には本当に感心してるのだ。
「桔音くんとはこの後にでも交渉してみるニャ!」
放課後だし、校内にはもういないかも知れないから、直接、桔音くんの家に行くことになるかも。
「あ、因みにアタシはパスね」
話が綺麗に纏まりそうなところで遂にモミジ先輩の謎が判明した。
「実はぁ~、今日犬飼先輩にぃ~、映画誘われてるのよねぇ~♪ ウフフフ」
やっぱり、そういうことかーっ! 惚気やがってっ!
犬飼衛先輩は僕らの先輩で今は宵々町交番勤務のイケメンお巡りさんなのだ。
燉一教事件の時のモミジ先輩の幻の告白が効いたのか、犬飼先輩がモミジ先輩をデートに誘うなんて珍しい。
こりゃひょっとすると本当に二人付き合っちゃったりして……?
でも、肝心のモミジ先輩は元々イケメン大好きのミーハーな性格だからなぁ……。
真面目なマモル先輩とは気が合わない気がする。
「へー鹿島先輩、デートですかぁー?」
卯月さんが胸の前に両拳を作って目をキラキラさせて憧れの眼差しで言った。
「フフン、まあね。アタシみたいな宵々町一の美少女を世の男が放っておく訳ないでしょ?」
モミジ先輩はパンツが見えないのが不思議なくらいの短いスカートで太股を晒すような足組みに加え、背を少し反らして意外とボインな胸を強調し、更に右手で髪の毛を掻き上げる仕草までしてこれでもかというほどフェロモンを放出した。
うーん、完全に調子に乗ってるニャ。