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宵々町奇譚―オカルト同好会編―  作者: Ree
chapter2 悪魔祓い
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 皆さん、お久しぶりです。オカルト同好会の部長、猫宮小判(ねこみやこばん)です。

 イコンモールでの『燉一教(どんいつきょう)事件』から、約二か月が経ちました。

 僕ら『オカルト同好会』は、時にミステリー研究会と張り合いながらも、日々充実した学校生活を送っています。

 さて、今回僕らが直面する事件は、謎の黒魔術師・稲荷桔音(いなりきつね)くんに関わることなのニャ。

 そのきっかけは、こんな些細なことから始まった。



「今から、怪奇新聞の新作の打ち合わせをするニャ!」

 放課後の図書室で僕の指揮の下、集まったオカルト同好会の部員は、日当りの良い窓際のテーブルを囲うように座った。

 いつもと変わらぬ日常の風景ニャ。

 部員は僕を入れて四人……一個上の二年生で仕切り屋のムードメーカー鹿島(かしま)(もみじ)先輩と、僕と同じクラスでオカルト同好会の創設者でおっとりした性格の美少女卯月(うづき)美魅(みみ)さん、それから鬼太郎ヘアーの優秀な副部長の雨森(あまもり)加枝留(かえる)くんニャ。

「まず、次の新聞のネタの候補はありませんか?」

 僕の問いかけに誰も反応せず、僕らしかいない図書室はしんと静まり返る。

 オカルトなんて毎回毎回その辺に転がってる訳じゃないけど、それにしたってモミジ先輩が大人しいことに僕は妙な違和感を感じた。

 いつもなら率先(そっせん)して僕より仕切って提案してくるのに。

 何だろう、心なしか顔がニヤついているようにも見える。

「あのー……先輩。話聞いてます?」

「何よコバン。 聞いてるわよ。でもさぁ……」

 モミジ先輩はうっとりとした目で、重ねた両手を右頬に当てる乙女なポーズで言った。

「オカルトより、たまには校内イケメン特集でもやってみたら如何かしらん?」

「は? イケメンですか?」

 怪奇新聞と全然関係ないんですけど……。

「校内のイケメン達を、アタシの独断で顔・髪型・身長・知力・体力・センス・人格・人望・肩書きなどステータスをデータ化してランキング形式で発表するのよ!」

「校内が荒れますよ! 暴動が起きますって! 僕ら襲撃されますよ!」

 何を言い出すかと思えばモミジ先輩、頭おかしいんじゃないの?

「大体、そんなランキング作ったら、ミステリー研究会の面々が上位独占しちゃうんじゃないですか?」

「はあっ? 冗談じゃないわよ! 何でアイツらなのよーっ!」

 すると先程まで黙って聞いていた、イケメンどころか男性にすら全く興味なさそうな卯月さんが立ち上がった。

「そうよ! ミステリー研究会だか何だか知らないけど、校内で一番のイケメンは誰が何と言おうと『稲荷桔音(いなりきつね)』くんよ!」

 卯月さんの言葉に僕らは一瞬、言葉を失った。




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