34
さて、腹も満たされたことだし、残りの休憩時間で写真部の日暮先輩に会いに行って、昨日撮った旧校舎のトイレの心霊写真が撮れてるか確認に行こーっと!
僕らが食堂を後にしようとした、その時だった。
「あのー……オカルト同好会に入部したいんですけどぉー……」
背後からおっとりとした女子生徒の声がして、僕らは振り返った。
「にゅ、入部希望っ?」
僕らは喜びに沸いた目で、そこにいた長い黒髪の俯いた女子生徒を見た。
「て、言うかぁー……」
そう言って少女は口元に笑みを浮かべながらゆっくりと顔を上げた。
「私の名前……まだそこに在籍してる?」
そこに立っていたのは黒髪の美少女、卯月美魅さんだった。
「卯月さん! 戻って来たんだ!」
あの事件以来、卯月さんとは会えずじまいだったんだよね……。
事情聴取やらドタバタしてて連絡先交換するの忘れてたし、すごく気になってたんだ。
また会えてよかった!
「ええ、もう逃げる必要もなくなったし……この宵々町が大好きなの……」
「良かった……勿論、卯月さんの入部は大歓迎だよ! ねっ、加枝留くんっ!」
僕はそう言って副部長の加枝留くんを見た。
すると、どういう訳か、加枝留くんは卯月さんを見て頬を赤らめていた。
「は、はい。僕、副部長の雨森加枝留です、どうぞよろしくお願いします……」
あれ? もしかして加枝留くん、卯月さんに一目惚れ……?
うーん、複雑……。
だって僕だって卯月さんのこと……いやいや、そうじゃない。
『部活内恋愛禁止』!
うん、そうだ、そうしよう。これは部長命令なのだっ!
「よっしゃーっ! 早くも新入部員ゲットよ! これで部員の数ではミス研にリードしたわね! 打倒・ミステリー研究会よ!」
勝ち誇ったように、モミジ先輩は拳を上げたポーズで活気付いた。
ますますパワーアップしたオカルト同好会……これからまた楽しくなりそうだニャ。
【宵々町奇譚―オカルト同好会編― 黒魔術と新興宗教・終】
ここまで読んで頂きありがとうございました。
また機会があればお会いしましょう!