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宵々町奇譚―オカルト同好会編―  作者: Ree
chapter1 黒魔術と新興宗教
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 以前、僕のクラスに卯月(うづき)()()さんというおっとりとした長い黒髪の女子生徒がいた。

 その人は霊感(れいかん)が強いらしく、所謂(いわゆる)そっち系の世界の人で、彼女は一人でオカルト同好会を立ち上げた。

 そして何故か、自分で言うのもなんだけど、人の良さそうな僕に白羽(しらは)の矢を立てたらしく、勧誘(かんゆう)しに来たのである。

 因みに、それまで僕はクラスメートでありながら、彼女と会話すらしたことが無かった。

「猫宮くん……お願いがあるの。オカルト同好会に入ってくれない?」

「はい?」

 いきなり僕の席の前で女神さまのように指組みのポーズで(たたず)む卯月さん。

「勇気を出してクラブを立ち上げてみたのは良いけれど、まだ私しかいなくて……」

「え、でも僕、オカルトとか全然(うと)いですけど……」

「いいの……部員が集まる間だけでもいいから……人助けだと思って……お願い……ね?」

 キラキラとした可憐(かれん)な瞳で懇願(こんがん)されたら大抵の男は()ちるだろう。

「はあ……」

 僕は卯月さんの頼みを断れず、つい返事をしてしまった。

 すると卯月さんは感極(かんきわ)まったように、普段からおっとりとした目を一段と輝かせ、僕の両手を取って包み込んだ。

「ありがとう、猫宮くん……これから一緒に頑張りましょうね」


 ——しかし、その三日後、彼女は何も告げず、夜逃げで姿をくらました。


 いやいやいや……事情はね、あると思うんですよ、色々。

 別に、彼女のこと、(うら)んでたりするわけじゃないんです。

 でも、まあ、所謂(いわゆる)、アレです、言いだしっぺが真っ先に逃げるっていう、そんなよくある話で。

 結局、卯月さんが立ち上げたクラブを、残された僕が引き受ける羽目(はめ)になった。


 それから数日後、僕の幼馴染(おさななじみ)であるモミジ先輩が、僕の様子を見に来て、『面白そう』という理由だけで同好会に入った。

 本来なら先輩の方が部長になるべきだと思うんだけど、生憎(あいにく)モミジ先輩はそういう面倒なことはしたがらない性格で、結局、僕が部長を引き受けることになったのだ。





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