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「お前達! こんなことして許されると思うなよっ? 俺は警察だぞ! お前達の悪行をこの目で見たからなっ!」
礼拝堂に辿り着くとマモル先輩の声が聞こえてきた。
僕は来た時と同様、木箱の裏に身を潜めて様子を窺った。
先輩達は中央で槍をもった数人の信徒達に囲まれて絶体絶命のピンチを迎えているところだった。
マモル先輩はモミジ先輩を守りながら、警棒一本を構えてる。
拳銃は最初に捕らえられた時に既に奪われてるみたい。
「フッ……無駄な足掻きを。警察だろうと関係ないさ。見た者は口封じに消すだけだ。会長への生贄として捧げるがな」
そう言ったのは白鳥拓海。
「うぅう……シラタク……大ファンだったのにぃ~っ! ポスターも写真集もDVDも持ってたのにぃ~っ! ひどいじゃなーーーいっ あんまりだわーーーっ! わ~~んっ!」
モミジ先輩は半泣き状態だが、割といつも通りというか、元気そうで僕は思わずホッとしてしまった。
いやいや、そうじゃなくて、早く助けなきゃ!
……でも、どうやって?
桔音くんのような不思議な力は持ち合わせていないし、そんな一般人の僕が一体どうやってあの信者達を止めれば……?
僕が考えあぐねていると、ふいに何者かに肩を掴まれた。
「ニャッ!」
僕は突然のことに驚き、短い悲鳴を上げてしまった。
すると、僕の肩を掴んだ人物は、今度は僕の口を塞いだ。
「しっ! 静かに。私よ、猫宮くん……」
僕と同様に木箱へ身を潜め小声で話すその人物は、信徒と同様に黒いローブに身を包んだ『卯月美魅さん』だった。
「う、卯月さんっ? 何でここにっ?」
我らオカルト同好会を創った張本人でありながら、いなくなっちゃった人~~っ!
こんなところでまさかの再会ーーーっ!