表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宵々町奇譚―オカルト同好会編―  作者: Ree
chapter1 黒魔術と新興宗教
27/106

27



 逃げた先は全ての階から見渡せる一階のショッピングモールの中央広場だった。

 僕は桔音くんにお礼を言うのも忘れてパニックになっていた。

「ど、どうしよう! 先輩達が捕まっちゃった! きっと殺されちゃう! 早く助けに行かなくちゃ!」

「それに危険なカルト教団・燉一教は潰さないといけません」

 僕と加枝留くんの言葉に桔音くんはわざとらしく眉を下げ面倒くさそうな顔をした。



 そこへ、突如、ショッピングモールの天井からよくゲームに出てくるようなフェニックスみたいな大きな火の鳥が現れ、僕らのいる一階まで勢いよく降下してきた。

「うわぁっ!」

 着地と同時にその衝撃でブワッと火の鳥自身が(まと)う熱の熱さが、熱風(ねっぷう)となって僕らを襲い、僕は驚きに声を上げてしまった。

 火の鳥はやがて姿を変え、その正体を現した。

「ネズミは一匹足りとも逃がさんぞ」

 そこに立っていたのは、まさかのサム・スギルだった。

「あ、あ、あの人、変身も出来るのーっ?」

 しかも、ワープしてきたよねっ? 絶対!

 桔音くんに会ってから非現実的なことにも慣れてきた僕だけど、平凡だった僕の日常からかけ離れた色んな事が起きすぎて、最早(もはや)ついていけなくなってきた……。

「鬱陶しい老いぼれだ」

 桔音くんは動じた様子もなくいつものサラッとした余裕の笑みで雪合戦でもするようにボンボンと両掌から大きな火の玉をサム・スギルにぶつけて行った。

 何の挨拶もなくいきなり先制攻撃する桔音くん。

 この人、本当凄いよなぁ……良くも悪くも、やることなすこと迷いがない。

 当然、サム・スギルも応戦する。

 炎と炎がぶつかり合う魔法合戦だ。

「す、凄すぎる……」

 大迫力のマジックショーを間近で見せられている感じ。

 危なくて彼らに近付けず僕と加枝留くんは後ずさりをした。

 いや、でも、ここショッピングモールの中だし、あんまり派手に戦うと……って言わんこっちゃない、店内の装飾も売り物も柵もソファーも壁も窓も次々派手にぶっ壊されていく。

 サム・スギルは時折、火の鳥になって空中を飛びまわり、桔音くんは容赦なく火の玉を連続で投げつけ、時々長い火炎放射を繰り出して、逃げる火の鳥の動きを追って撃ち落とそうとしている。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ