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灯りの元まで行くと、そこは広い礼拝堂のような空間になっていた。
そこに大勢の人間が集まっていた。
大抵の人は皆、フード付きの黒っぽいローブを頭からすっぽり被った格好だった。
うーん、何かミサのようなものを開いてるっぽい。
確認してないけど、これだけの人数が出入りしていたということは恐らくみんな地下駐車場に車を停めているのかな?
僕は宗教とかに疎いからよく分らないけど、普通の礼拝堂とかと違って椅子とかはなく、あるのは祭壇と正面に大きな銅像、更に銅像の裏に鋳物の巨大な聖火台のようなものが置かれており、その中で炎がメラメラと燃え上がっている。
部屋の明るさはその炎によるものだった。
そして、燉一教の紋章の壁掛けが豪華に飾られているだけだった。
僕らは見つからないように灯が当たらない場所にある物影……部屋の隅に幾つも積まれた木箱や、自然に剥き出されたままの岩の陰などに、身を隠した。
身を隠すには大きさに限度がある為、各々、二手に分かれた。
岩の陰にはモミジ先輩とマモル先輩の二人、木箱の裏には残りの小さな三人組……うーん、自分で言っててちょっと哀しい。
距離は割と近いから、何とかお互い会話は出来る。
小声でしか話せない状況だけど。
僕らは彼らが一体何をしているのかを物陰から息を潜めて窺った。
祭壇には何処かで見たことのあるような、薄くて長めの黒髪に、面長の髭が生えた中年の男が、フード付きの赤いローブを身に纏って立っていた。
「あの人、イコンモールの森秀吉会長ですよ」
そうそう、その人! 森会長。
物知りの加枝留くんの言葉で僕も思い出した。
テレビの経済とかのニュースでたまに見たことがある程度だったけど。
「違う。アイツは普通の人間の振りをしているが、その正体はカルト宗教、燉一教のトップにして炎の魔術師、サム・スギルだ」
桔音くんは一目で正体を見抜き、淡々と答えた。
炎の魔術師か……強そうだなぁ。
だから背後の聖火台みたいなのが轟々(ごうごう)と燃えているのかな?
「あ、見てみて! またシラタクがいるっ」
モミジ先輩が、信徒の中に混じって一際オーラを放っている白鳥拓海の姿を目で捉え、小声で興奮気味に指差した。
よく見ると、他にも女優やタレント、芸能関係者、スポーツ選手、政界の方々も何人か見える。
此処で、一体何が開かれるというのだろう?
燉一教って何?
僕らは彼らの声に耳を傾けた。




