20
絶望のあまり言葉を失った僕らに異星人は更に追い打ちをかけるように言った。
《サテ、コノ星ヲ手二入レル前二、貴様ラ地球人ノ生体ヲ調ベルトシヨウ……》
《奴隷トシテ生カスカ、食料二スルカ、危険因子トシテ絶滅サセルカ決メナケレバナラナイ》
どれも嫌だぁあああーっ! っていうか、調べるって何……? 怖すぎるんだけどっ!
でも両手が繋がれてて僕らはこの寝台から逃げられない。
今までの人生の中で一番ピンチかも知れない。
《マズハ手前ノ奴カラダ》
異星人達は全員で僕の左隣のシンラくんの寝台を取り囲んだ。
「ひ……っ」
恐怖で引き攣ったシンラくんの声。
僕は真横だけど大きな異星人たちの背中が壁になってて、シンラくんの姿は見えない。
一体何をされるのか確認することは出来なかった。
ただ、シンラくんの制服や下着が無情にもポイポイと投げ出されて床に落ちていくのだけは見えた。
え、ちょっと待って……! すっぽんぽんにされるの!?
僕はとてつもなく嫌な予感がした。
「わ~っ! 何をする!」
シンラくんが引っ切り無しに喚き散らしている。
何をされてるのか分からないけど、怯えた声を上げたかと思えば、次には擽られてるのか笑い声を上げたり、はたまたピンク色の声に変わったり、何だかコロコロと忙しそうだニャ。
……いや! 他人ごとではない!
僕は心臓がドッドッドッドと早鐘を打つのを感じた。
ヤバイ。非常にヤバイのだ。
何故ならば、このままだと順番的に次は我が身に振りかかるからだっ!
シンラくんには悪いけど、このまま犠牲になっていただいて時間を稼いでてほしいのニャ!
(ちょっと、冗談じゃないわよっ)
モミジ先輩が青ざめながら小声で激怒している。
(あんなの御免よ! 絶対いや!)
そりゃそうだろう。
卯月さんに至っては現実逃避か『無』になって天井を見つめている。
僕らのヒソヒソ話は、幸いシンラくんの声に掻き消され異星人達には聞こえていない様だった。
(早く何とかしなさいよコバン!)
(そ、そう言われましても~っ)
モミジ先輩が僕に訴えてくるけどどうにも出来ないニャ!
すると、それまで黙っていた加枝留くんが僕を見て口元に人差し指を当てて笑んで見せた。
ん? 人差し指?
そこで僕らはハッとした。
加枝留くんはいつの間にか片腕の拘束ベルトを器用に外していたのである!
(加枝留くん! いつの間にっ)
するとモミジ先輩の顔がパッと明るくなる。
(でかしたわ、アマガエル!)
しかも呼び名がいつの間にか青ガエルからアマガエルに昇格してる。
いや、昇格っていうのか? これ。
(皆さん、落ち着いて……今外しますから)
加枝留くんはそう言うともう片方の手の拘束具を外し、異星人達の様子を見ながらバレないように半身を起こして両足の拘束も順に外して言った。
そして音を立てないようにそっと寝台から降りると、身を隠すように寝台の高さに屈みながらモミジ先輩の拘束具を外していく。
自由になったモミジ先輩が今度は同じように卯月さんの拘束具を外し、加枝留くんは今度は僕の拘束具を外してくれた。
僕ら四人は一つの寝台の下に身を寄せ合うように隠れた。
まだ異星人は僕らの異変に気付いてない。
今のうちに逃げられるかも?
いや、でも、シンラくんを助けないと……。
気のせいかシンラくんの声が段々善がってるように聞こえるけど、うん、一応、助けてあげた方が良いんだよね?
仕方ない。作戦を立てよう!




