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僕らは『宇理縁』を首にぶら下げながら、朝と昼の休憩と放課後を可能な限り全ての時間を使って、本番に向けた最終確認をするように交信の儀式の練習をした。
そして一旦帰宅して夜の十時に再び屋上へと集まった。
もう学校に侵入するのは慣れっこになってしまっていた。
「いよいよ本番ですね!」
僕らはいつもよりも大きくて明るい満月を見上げた。
何だか神秘的な感じがするニャ。
「よし! 早速交信を始めるぞ!」
シンラくんの号令で僕らは各々の配置につき手を繋ぐと一斉に回り始めた。
皆の息はぴったりで、僅かなズレもなく重なる呪文の声と歩調。
練習の成果が表れてるニャ! 完璧ニャ!
コンクールがあったら間違いなく優勝する勢いニャ!
段々と回転の速度が増していき、輪の外に引っ張られるような心地良い重力が掛かってくる。
延々と繰り返していくと脳がフワフワとしてきてとても気持ちが良い。
夢心地になってくることから僕らはトランス状態って呼んでる。
あぁ、閉じた瞼の裏が白くなっていく……。
ん? 白く?
「え、何っ? 眩しッ! 眩しいんだけどッ!」
あまりの眩しさに耐えきれず僕は動きを止めて目を開けてしまった。
みんなも僕と同じように目を開けて上空を見上げた。
見ると空から、明らかに満月ではない強烈な光のシャワーが降り注いでいた。
「目、目が痛いニャ! これは一体、何なのニャーっ!」
光の正体を確認しようにも眩し過ぎてよく見えない。
僕は直射を避けるように腕で顔に影を作るようにして目が慣れるのを待った。
すると、此方の目が慣れる前に、パッと光が消えた。
消えた途端に目に入った光景に僕らは驚愕した。
「ね、ねえ、ちょっとこれヤバイんじゃないのっ!?」
上空を見上げて怖じ気づいたモミジ先輩が後退りをする。
満月の明かりに照らされた宵々町の空一面に、見たことも無い無数の円盤が浮かんでいたのだ。
幾ら何でも数が多すぎる!
まるで街を包囲する為に集結したかのようで、脅威を感じる。
訳が分からず僕は助けを求めるかのようにシンラくんの意見を求めた。
「ど、どうしたらいいのニャ!? シンラくん!!」
世界の終わりのような信じられない光景に僕は狼狽えることしか出来なかった。
―――これが冒頭の出来事であり、そして、『現在』に至る。




