私はエロの探求者。探求者って英語でシーカーって言うんだって。なんか格好いい。エロスシーカー。シーカー THE エロスってね。
三麻の時に国士無双狙うのやめたい。
いや、行けそうだと思ってしまうんだ。
あ、麻雀の話です。
エミside
「エミさぁ、結局なんだったの? 先輩となにがあったわけ?」
「次聞いてきたら怒るよ」
部屋で二人で先週買ったゲームを進めていると、秋が私にしつこく聞いてくるので、次はないと釘を刺しておく。
まさか、隠し場所がバレてしまうなんて思ってもいなかった……というか、まさか部屋に入るの自体が予想外だ。
というか、なんの用事だったんだろ? (注:ただのエロ本探しです)
「だって気になるんだもん……落とし穴使うわ」
床で寝転がりながらゲームをする秋
「りょー……あ、エリア移動した」
私は自分のベッドで寝転がりながらゲームをする。
「うそーん。今罠仕掛けたのにぃ……」
「そういう事もあるって……あ、ジュースなくなった」
飲んでいたジュースが無くなってしまった。
「おー、アタシのもだ」
秋のもなくなったらしい。
といっても、今は狩りの最中なので手を離す訳にはいかない。まぁ、時期に狩り終わるしその後でもいいか。
「んじゃ、終わったら取りに行ってくる」
「アタシの分もねー……あ、ごめん乙った」
私の方を見ながらコップを掲げてそう言う秋。
「よそ見するからだよ。あ、倒せた」
秋が倒れてすぐに、狩りの終了を知らせるファンファーレが鳴る。
「うっそ、アタシベースキャンプ……」
知ってる。まぁ、走れば間に合うでしょ。剥ぎ取りは出来るかどうか知らないけど
「グッドラック。じゃあ、ちょっと取ってくる」
私はエミにそう言い残し、下に降りる。
「あのー……お兄ちゃん……あれ?」
下に居るはずの兄に声をかけるが、返事がない。もしかしてエロ本の事怒って無視しているのかと不安になる
……あれ、テレビついてる。
テレビがついている事に気づき、気になって近づいていくと、ソファの上で横になって眠っている兄の姿があった。
「寝てる……」
寝ている兄の顔をじっと観察する。
寝ているのだから当然といえば当然だが、隙だらけだ。
学校でもこんな感じなのかと思うと、我が兄ながら心配になってくる。姉と妹がいるからだろうか、昔から女に対して警戒心が薄い。今日に至っては無警戒にも程がある。
それに、妹の部屋に入ってエロ本を探し当てても、なんか別に……って反応だったし。
普通はすごく引くか、近づくなって言われても仕方ないから、さっきもそう言われるのが怖くて目を合わせられなかったけど、そういうのもないし……ナンパとかほいほい着いて行きそうで心配だ。
…………それより頬やわからそう……って、何してるんだろ。
気がついたら、いつの間にか指で兄の頬をつついていた。
やめなければ、ダメだ……とは思いながらも、ついついさわってしまう。
今なら、禁煙したくても出来ない人の気持ちもわかる気がする。
「あ、ジュース……」
兄の寝顔をもう少し眺めていたい気持ちもあるが、秋をいつまでも待たせる訳にはいかないので、後ろ髪を引かれる思いでキッチンに向かい、冷蔵庫の戸を空ける
「……ん? なんだこれ?」
冷蔵庫を開けると、見覚えのないボウルがあった。
中身を確認すると、ハンバーグの肉種が入っている。
あ、もしかして好物を聞いてきたのって、私の好きなものを作ろうと思ったから?
なんて優しいの……でも、エロ本見つけられて気を使われるって結構キツい
泣きそう……
あと、肉種なんか多い……
それと、エロ本はもう捨て……いや、勿体ないから後で秋に押し付けます。
また取りに来るのも面倒なので、パックごとオレンジジュースをもって上がる。
「お待たせ」
オレンジジュースを持って部屋に戻る
「ういっす。遅かったね」
「うん、ちょっとあってね……それよりさ、これいらない?」
本棚の前でしゃがみ、参考書の箱からエロ本を取り出して秋に見せる。
携帯を持たない中学生にとって、オカズの収集はなかなか難儀なもの。必ず欲しいと食い付く筈だ。
「うはっ……え? 貰ってもいいの?」
『計画通り』内心でそう悪い笑みをうかべながら呟く。手にしているのがノートではなくエロ本なのがネックだが。
「うん……私にはもう必要ないものだから」
本当はまだまだ必要なものなんです。ただ、兄に見られた以上はこうするしかないんです。という言葉を飲み込み、秋にそう言う。
「『エロ本を 手渡す友は 親友だ』」
いきなり一句読み始める秋をスルーし、秋の鞄にエロ本を丁寧にしまい、再び狩りの世界に興じるのであった。
今までありがとう。そしてさようなら……私はエロの流浪人……また、流れるわ。
エミsideend
高校の卒業文集的なので、一人一言づつコメントを書いたんだけど。
横から読むと『ワカメざけごっくん』って書いてあるんだ。
男子校じゃなくて共学です。