主人公兼ヒロイン路線で進めていきたいなーと思ったけど、最初にはっちゃげたから無理かもしれない。それでも俺はヤる。
おい主人公。その立場俺と代われ。
よく考えたら、お金貰って可愛い子と○○○できて……って良いこと尽くしじゃねぇか。
「ただいまー」
と、玄関の方からそんな声が聞こえてくる。この声はエミが帰ってきたようだ。
「おっじゃまっしまーっす」
と、もう一人……これは姉ちゃんじゃないな。エミの友達か。
「お帰りアンドいらっさい」
俺は階段を降り、妹とその友達を出迎える。
「あれ? お兄ちゃん早いね。部活は?」
「今日は休みだ」
「お久しぶりですっ! 先輩! アタシですよ」
「おう。久しぶり……んで、誰だっけ?」
「はうぁっ……まさか、覚えられてなかったとは……二三度遊びに来たことあるのに……」
そう言って玄関で膝をつき項垂れるエミの友達。
わりぃ、そんなにショックだったとは……けど、マジで誰だっけ?
「いいんス……アタシなんて所詮はその程度の女……先輩みたいに女に困らない男子からしてみれば、有象無象のひとつッスから……」
演劇部にでも入っているのかというくらいに芝居がかった口調でそう言う友人。
ところで、さらっと俺のことビッチよばわりしてんじゃねーぞ。今日散々言われて結構傷ついてんだけど。俺はビッチじゃねーし、ビッチにもなるつもりはない。
いや、確かにヤりたい気持ちはあるが、その一線を越えると大切なものを失う気がするからまだヤらないぞ。
「お兄ちゃんをビッチみたいに言うの止めてよ」
よし、良いこと言ったぞエミ! もっと言ってやれ!
「お兄ちゃんは天然童貞ビッチなんだから」
「うぐっ……」
アカンでエミ、それフォローやないで……トドメや。
「お兄さんスゴいダメージ受けてるよ」
「あ、ごめんお兄ちゃん……本当の事だったから」
家族にまでビッチよばわりですか……この世界の俺、ビッチて言われないようにしといてぇな。
「無防備にも程があるし。今朝だって裸にそのままジャージ着て、前が殆ど開いてる状態だったんだよ?」
今朝の事を思い出しながらそう呟くエミ
「エミ、その話詳しく」
そしてその話題に食いつく友人。
「おい、もういいだろ。俺の話題はその辺にしろよ。まだ友達の名前すらもわかってないのに」
というか玄関でそういう話するの止めてくれるかな? 割りとマジで。せめて俺の居ない部屋でやってくれ。
「あ、アタシ丸穂 秋って言います。それでエミちゃん詳しく」
おう、さらっと自己紹介ありがとよ。だが、名前よりも俺の話題を止めてほしいな。
だが、俺の思いは虚しく。二人は一向に話を止める気配はない。いいだろうエミ……そちらがその気なら俺も相応の手段を取らせてもらおう。
「……参考書の箱の中。真理はそこにある。」
俺はそうエミの耳元で呟く
「? …………なっ! ななな……なんでっ!」
はじめはキョトンとしていたが、なんの事かすぐに理解し顔を真っ赤に染めると、目にも止まらぬ速さで自室に駆け込む
……あれれ~どうしたんだろうな~? 僕にはさっぱりわからないな~?
「先輩……エミに何言ったんですか?」
「さあ、エミに聞いてみれば? それよりも早くあがりなよ。お茶とお菓子持っていくからさ」
「あ、ありがとうございます」
そう礼を言うと、靴を脱いで家に上がる秋ちゃん。
礼儀正しい子だ。なかなかに好印象だ。
「あ、お茶とお菓子」
俺はお茶とお菓子を持っていくのを思いだし、冷蔵庫からオレンジジュースをコップに注ぎ、棚から適当にクッキーを取り出すとそれを皿に出して、それらをお盆に乗せて部屋まで持っていく。
どーよ、この女子力の高さ! え、これくらい普通? あ、そうなんスか……調子のってスンマセン
「おーい、飲み物とか持ってきたぞ」
俺はエミの部屋をノックして声をかける。すぐにエミが扉を開けて出てきて、俺からお盆を受けとる
「……」
その際にエミは涙を浮かべ、俺とは目を合わせずにドアを閉めた。
……これは機嫌損ねちゃったパターンかな? なんでだろう? 俺何か言ったかな? 参考書の箱に真理はあるとか、ちょっとハガレンちっくな事を言っただけだけどなぁ……と、すっとぼけるのもこれくらいにして
流石に怒らせたしな……兄としてここは晩飯にエミの好きなものでも作ってやるか。妹のご機嫌取りだ。機嫌損ねたのも俺だけど。
あ、好物とか逆に嫌いになってたりとかしないよな……一応聞いとくか。
「エミ、お前何が好きだっけ?」
もう一度部屋をノックして、ドア越しにエミに話しかける
「…………ハンバーグ」
しばらくするとドアが開き、すこし拗ねた様子のエミが顔を覗かせてそう言う
「あいよ……前はそこまでハンバーグ好きじゃなかったよな……別に嫌いでもなかったけど」
嫌いなものと好きなものが入れ替わってる……って訳でもなさそうだな。あべこべの基準がいまいちようわからん。けっこう曖昧なんだな。
……当たり前のことだが、流石は俺の妹だ。拗ねてても可愛いさは満点だぜ。
とりあえず、晩飯はハンバーグだな……すこし早いが下拵えはしとくか。
ハンバーグは作るの初めてだしな。以外と時間かかるかもしれんし。
「つーわけで、クックバッド先生。ご教授の程をお願いします」
俺はネットで材料を調べ、冷蔵庫を漁って食材を確認する。
「挽き肉がねぇ……買いに行くか。お兄さんの自腹でな」
肝心の挽き肉がなかったので買いに行くことにする。
おっと、流石に制服で行くのはあれだな……よし、着替えるか。
俺は一度部屋に戻り、制服から私服に着替えてから財布を持って近くのスーパーに向かう。
あ、けどテクノがブレイクされて死んじゃうかも……
もっと突き詰めたら顔も良くなきゃダメだった。