王様ゲームって知ってるだろ? 昔流行ったやつだよ。携帯小説でさ、映画化もされたやつ
アレさ、シリーズ8巻くらいまであるんだぜ。
全巻読んだけど……内容全然覚えてないや。
新世界の神になるとか言って、心臓麻痺でバンバン殺していくやつだっけ?
「む、次は私か……じゃあ、1番が一発芸」
「……ぐはっ」
「次回、城之内シス」
「なんでダークサイドに落ちてるんだ」
城之内、死す。
「あ、俺が王様か……じゃあ3番が赤ちゃん言葉で自己紹介」
「わたち、奏でちゅ、15歳でちゅ、ちゅきなものは、パスタでちゅ」
「わー、かわいいー」
「……やめて有利君……本当……恥ずかしいからやめて」
「えー? 可愛かったよ」
「もう無理……恥ずか死する……ぐはっ」
「奏が死んじゃった」
「この人でなし!」
奏、再起不能。
「あ、また俺が王様だ……えっと、じゃあ……1番が2番に張り手」
「ふむ、1番は私だ」
「近藤の張り手かよ……」
「本気でやってやる……覚悟!」
「ちょ、手加減しろおおおおおおおおお!」
坂本、リタイア!
「一騎討ちになってしまったな」
「ですね」
互いに見つめ合う俺と近藤先輩。
王様ゲームで生き残れるのは一人だけ……つまり、王様を引き当てた方が勝つ! ここで死ぬわけにはいかないんだぁぁぁぁぁぁぁ! 来い、切り札! 運命を別つデステニードロー!
やった、王様だっ! 勝った!
「1番が……赤ちゃん言葉で自己紹介」
俺は見逃さなかったぜ……この命令が当たったのが奏ちゃんだったとき、ほっと胸を撫で下ろしていたのをな。
そしてなによりCool Cooler Coolestな近藤先輩の赤ちゃん言葉をお目にかかりたい!
「ぐっ……わ……わたち……こ、こんどう……ゆうこでちゅ……17ちゃいでちゅ……ちゅきな食べ物は……ぐっ……もう……ダメだっ……」
近藤アウト。デデーン。
「やった……これで俺の勝ちだ!」
って、王様ゲームはこんな遊びじゃねぇよ! なんでテニスといい王様ゲームといい、プレイヤーを潰しにかかるんだよ!
「ふぅ……疲れた……とりあえずなんか飲もう」
俺は冷蔵庫から缶に入った飲み物を取り、フタを開けると一気に煽る。
「うまっ! なにこれ美味しい!」
もう一本貰おっと。
俺はさらにもう一本取りだし、同じように煽る。
「ん……なんか気分が良くなってきたな……」
もう一本貰おうかなー。 ……あれ…なんだか……視界が…歪む? ぐにゃぐにゃだぁ
「はっ、私としたことが、張り手で気絶するとは……って、有利君大丈夫? なんか、目の焦点があってないけど」
「あははー、らいじょうぶですよー」
なんだろ……よくわかんないけど……とっても気持ちいいやー
「ん? あれ? もしかして空条君が飲んでるのって……げっ! おさ……もといお米のジュースじゃん! あー、間違えて飲んじゃったかぁー」
有利sideend
坂本side
空条君、完全に酔っちゃってるよ。やばいな……これバレたら停学もんだよ。主犯の私は下手すりゃ退学……高校中退は不味いよな。
「あー、奏ちゃんだー……」
空条君が紅葉した頬を弛ませて、奏の所に歩いていき、奏の隣に寝転び、奏の顔を指でつつく。
「えへへー」
もう、可愛いすぎるわ。そしてなにより奏がうらやま……じゃなかった、それよりも、この状況をどう処理すればいいのか…………。
うん、私しーらねーっと。さっさと部屋に戻って寝ようかなー。
一応、二年の二人は回収していこう。おっと、空きカンは自販機横のゴミ箱に捨てて証拠隠滅しとかなきゃ。
坂本sideend
今回はちょっと短め
次回長めにしてあるからさ。




